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聖者で狂者のリカルド=シェハード

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人格者を気取った父親。
誰にでも優しい偽善者の弟。
聖者を装った狂者の自分。

周りから見れば仲のいい理想な家族。
幸せな家族ごっこ。
そんなものはどこにもない。
処刑人である父親は自分のしていることを隠していたようだが、リカルドは幼い頃から知っていた。それどころかリカルドもまた処刑人だった。
きっかけは司教からの脅しだった。家族を守るために手を血で染める。
家族を守るため、と言えば聞こえは良い。
結局のところ自分のためだ。
生きるためには、仕方のないこと。
おそらく、弟も同じようなものだろうということは予測はついていた。

ーーお父様とお兄様がお守りできるのであれば。
そう言って身を堕とした弟の言葉は本心か。
本心ではあるだろう。慕われていた自覚はある。
ただ、本当の狙いは。

「魔女狩りに加担していた罪から逃げるためですよ、お兄様」

耳に直接吹き込まれる。
リカルドが一度引き抜いて、奥を穿つと、顔を歪めて喘いだ。
ルネットはすでに意識を失っていて、会話を聞く者はいない。飼育員の監視はあるだろうが声を落とした睦言を聞くほどではないはず。万が一聞かれたとしても、どうということではない。魔女狩りを行った罪人は大勢雌化され、子どもを産む道具になっている。
だからもう、ユリアンの告白も今更だった。

リカルドは、「全て話してくれ」と頼んだだけだった。そうすれば好きなように抱いてやると。ユリアンはにこりと笑い簡単に口を割った。

「わたしは、薬学の知識はありますし、毒にも詳しい、ですから…そこに、目をつけられたみたいですね」

言われるがままに毒を作った。狂った女に薬と言って毒を飲ませた。
誰に何をしたとまではっきりと言い連ねる。

「わたしだって死にたくないんです……あ、でも、殺してくれるのがお兄様なら考えます…っっっふぁ、あっあっおにいさまっ」

望まれた通りに中で射精してやれば、ユリアンはびくんびくんと身体を震わせて絶頂し、しばらくその余韻に浸っていた。
リカルドは口を塞ぐと、素直に舌を絡ませ、目の焦点が合う。自分と同じ色の眼が笑った。

「うそです。相手がお兄様でも死ぬのはいやです」
「お前、ほんと何?」
「ユリは少し頭が弱くなってしまったので、うそがつけないみたいです。かわいいでしょう?もっとかわいがってくれていいんですよ?ユリはお兄様との交尾、大好きです」
ユリアンは腰を揺らすが、リカルドはペニスを引き抜いて、アナルプラグを挿した。いやそうな顔をする。
「にいさま」
「終わりだよ。満足したし。寝るから2時間したら起こして」
「………寝るなら、帰って、いただきたいのですが」
リカルドはルネットを引っ張りあげて、抱き枕にし、横になった。
「わたしのルネを返してください」
その声にルネットが薄らと目を開いた。リカルドに抱き枕されていることに気付いて身を震わせたので、ユリアンがキスをして落ち着かせる。
「ルネ、大丈夫ですよ。ルネを傷つける雄はいませんよ」
ルネットは人見知りで、特にリカルドに対しては怖がっていた。それでも身体は正直なので股は開くし、雄という生き物に媚を売らないといけないのでされるがままにもなる。
だからユリアンは内心怖がっているルネットをあやさないといけなかった。
ユリアンもルネットにひっついた。中に射精された余韻で、しばらく止まらないのでルネットに身体を擦り付けて紛らわす。勃起したままのペニスを擦り合わせた。
ルネットにしゃぶってもらいたい。ルネットの口で気持ちよくなりたい。たくさんマーキングしたい。なのに今は雄に取られてできない。
リカルドがルネットに「大人しくして」と言うものだから、震えながら口に手を当てて大人しくしている。腰が勝手に動くのも抑えようとしていて、本当にルネットは可愛い。
「こんなに雌くさいのに、眠れるなんて。信じられないですね」
さすが、お兄様。この図太さ、尊敬する。


リカルドもユリアンも周りからどう見られているかわかっていた。
銀髪に青い眼、端正な顔立ち。女神やら天使やらそういう類に揶揄されて、会話しているだけで絵になると言われ、勝手に優しいと思われる。
実際は真逆だ。
ユリアンは周りからのイメージ通りに孤児の面倒を見る傍ら介護活動も積極的に行っている善人で薬を作るのと同時に「仕事ですから」と毒を作っていた。
リカルドは神を語り愛を語る司祭であり、教会の私塾で教師も行う傍ら、司教の命令を聞くフリをしつつ、魔女狩りを行っていた者、関わっていたものを炙り出していた。
魔女狩りを行う者もいれば、それに反対する者もいる。リカルドは魔女狩り反対勢力側に雇われた人間で、必要であればその暗殺も行っていた。
その勢力はいまでこそ、王派と言われており、リカルドはその王の犬として暗躍している。

「教会にバレたら一発で処刑。しかもその処刑人は俺の父親。なかなかスリルがあったな」
「楽しそうで何より。で、騎士団にお喋りしに来たわけじゃないでしょ?」
リカルドは第一騎士団副長のアンリの机に座って事務作業の邪魔をする。報告書の山を片付けているらしいアンリはイラついていた。帰れていない、いや、雌とヤれてないらしい。
「俺の弟が、魔女狩りについて思い出してくれたから報告。毒の密売ルートも含めて全部。……雌化するとあぁも簡単に口を割るんだな。楽」
「弟に対する感想は?」
「俺の弟は最悪で可愛い」
「キミも弟に対する感情狂ってるよね」
リカルドは微笑んだ。
「今度俺の弟抱いてみなよ。“お人形”遊びしてんの、なかなかクると思うな」
「あぁ、あの」
アンリは目を細める。
大罪人の息子で、唯一生き残った無力な少年の顔が脳裏に浮かんだ。
「その子の家族、処刑、というか、暗殺したのキミじゃなかったっけ?」
リカルドは笑って頷いた。
「目の前で全員殺したのは、少しやりすぎたかね。…その後のことは全く知らなかったんだけどさ、相当虐められたようだ。それを、あの弟がわざわざ拾って、一緒に雌化させるってのもなかなかだと思うけど」
教会側も手持ち無沙汰になっていたので遅かれ早かれ雌にするつもりではあっただろうが。
アンリはなくならない書類に目を戻した。
「どのみち、キミの弟は遠慮するよ。僕は、“僕の雌”以外抱く気ないし」
へぇ、とリカルドは目を見開く。
「今度抱かせて」
「………どうぞ、ご自由に」



始終微笑みを浮かべて善人を装っていた弟はどこにもいない。
必死で雄に縋り付く哀れな獣だ。
「お兄様……ユリの中きもちいです?ユリも、きもちい、あ、あ、ユリが、うごく、んです、お兄様に、気持ちよくなって、もらうんです」
騎乗位で自ら抜き差ししているユリアンを教会の連中が見たらどう思うのか。
元々奉仕活動は好きだったなと思いながらリカルドはユリアンを見ていた。
ルネットは、傍で震えているので震えがおさまるまでキスをしてやる。少し慣れてきた。
「ルネは俺になにしてくれんの?」
ルネットは、涙目になりながらも、リカルドから離れてユリアンに近づいた。ユリアンのペニスに口付ける。
「ルネっ!だぁめ!!いま、それされたら」
イク瞬間で口を離すと、中を締め付けながら、前でもイって、漏らした。
「うわぁ、すご」
後ろは締め付けたままで、前は1回ではなく、数回に分けて噴出する。
「やだ、まだでちゃうっっ、あっあっあっまたっっああっはっっとまんなぁぁっいおにいさま、たすけて、おにいさま、ユリのここおばかになっちゃったから」
助けてと言われるのはなかなかにキた。
下から突き上げて、奥に射精する。
それでようやく満足したのか、力なく崩れた。その体をルネットが慌てて支えた。
ユリアンがルネットにキスをした。
リカルドは笑う。
「ルネット。お前わかってるんだな。オレがユリアンいじめるの好きなの」
ユリアンを転がして、ルネットを引っ張り込む。
「ご褒美をあげよう。お前どう抱かれたい?そのお口できちんとお話ししてみよっか」



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