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エーテルアダマントの加工は難しいのです

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 俺たちが持ち寄ったエーテルアダマントを真剣な目で見つめるローノ先生。
 彼は魔工界隈ではとても有名らしい。
 何が有名かって非常に無口でコミュニケーションが取れないことでです。
 本人に悪気はないのです。
 彼のようなタイプは、実はパン屋に沢山いるのですよ。
 そして俺の前職はパン屋。
 つまり何の問題も無いということです! 

「……よし。作業に入る」
「今まで眺めてたのは何だったわけ!?」
「……綺麗だったからな」
「そ、そうね。この塊で何キロくらいあるの?」
「三トンくらいだろう」
「三トン!? 三トンですか? 床抜ける……」
「……問題ない。加工は難しいがやってみよう」
「えっ? 何も持ってないじゃない。どうやって……」

 そう、ここは教室。道具は確かに色々あるが、目の前のエーテルアダマントすは床に転
がったままです。
 炎もないし加工なんてこの場所で出来るはずがありません。
 なのに……「手先が、工具に……信じられない。どんな魔術なのかしら」
「うひょおーー! ローノ先生凄い。シザーハンズならぬナイフハンマーハンズですと!?」

 ローノ先生は自らの手先をハンマーとナイフに切り替えました。
 それだけでも凄いのですが、何と……魔術で熱を加えているのか、そのハンマーとナイ
フが真っ赤に燃え上がります。

「……これが俺の仕事道具だ」
「驚いたわ。あのナイフ、一体何度出るのかしら。凄い熱よ」
「サルサさん。この世界に来て初めて凄い魔術を見た気がします」
「それってつまり私の魔術が凄くないってことかしら?」
「うん、そうです。頭の上で眠ってる炎ちくりんの炎なんて比べ物になりませんーいだだ
だだ」

 思い切りほっぺをつねられました……だってぇ、比較対象が凄すぎるんだもん! 
 しかし俺たちのやり取りなどお構いなしに、一心不乱に材料を加工するローノ先生。
 か、格好いい……真剣な眼差しにクールな表情。
 額ににじむ汗に、きらめきなびく長髪……こいつはいい男です。
 しかし無口。
 当然女性生徒は一人もおりません。
 いわゆる観賞用キャラってやつでしょう。
 こういう方は全然モテナイことを俺は知っています。
 しばらく打ち付けていましたが、一度手を元に戻すローノ先生。
 エーテルアダマントは今のところ変化がみられないが、きっと何かあるのかな? 
「……うむ。予想より硬い。失敗だ」
「今の流れどうみても加工完成する奴でしたよね!? しないの? 出来ないのー!?」
「……いや、必ず加工してみせる。少しだけお使いを頼まれてはくれないか」
「どんな奴が必要なんですか?」
「軟化液というスライムの液体を媒介にした調合薬だ。それがあれば加工しやすくなる
が、切らしていてな」
「だそうですサルサさん。急いで取りに行きましょう!」
「仕方ないわね。それでどこにあるのかしら?」
「……!」
「……じゃなくて、眺めてないで教えて下さい!」
「……ああ、すまん。魔付与の教室にあるかもしれん」
「かもって何よ。しょうがないわね。行くわよシロン」
「はぁい。お使いかぁ……嫌な予感がするなぁ」

 仕方なく教室を離れ、魔付与の部屋まで行きます。
 しかし確認してみたところ、スライム軟化液は在庫無し。
 戻ってローノ先生に説明すると……「仕方ない。狩りに行く」
「えっ? スライムをですか?」
「ううん、丁度良いわ。私も少し魔術ギルドの仕事をこなさないといけないから。ついで
にスライム討伐依頼受けて来るから待ってて」
「スライム討伐……イメージだとスライムって物理攻撃が殆ど通らないイメージなんです
が」
「……その通りだ。犬のシロンはスライムと戦ったことはないのか」
「スライムは一度だけあります。それこそ最初の最初なのです」
「奴らは貫通攻撃に弱い。核を突けば一撃で倒せる魔生物だ。しかしただのスライムじゃ
なく、アシッドスライムというスライムの亜種だ」
「ほうほう。アシッドスライム? 酸を吐く?」
「……周囲に覆われている粘液も酸性で装備が錆びやすい」
「じゃあ、うかつに攻撃すると不良品になっちゃうんですね」
「……少し試したい装備がある。これを着てくれ」

 そういって何かを渡してくるローノ先生。
 俺で実験ですか!? 勿論いいけど何だろう? 



「前半はこれで終わりね」
「じつはですね……JCOMの調子が悪くてあまり書けていないのです。ネットがオワコ
ンなのです」
「何ですって!? あの男に至急連絡しなさい!」
「しましたとも。そしたら回線ぶつ切りが数日間発生してるのを確認してもらったの
で、訪問されるそうです。しょぼんなのです」
「それはやる気がそがれるわね……そんなに酷い状況なのかしら?」
「はい。小説を書いて保存しようとするとオフライン。リロード、オフライン、モデ
ムリセット、オフラインで三十分に一回くらいちょっとだけ繋がる感じです」
「不可抗力なトラブルじゃしょうがないわね……」


 そんなわけで今週は一話のみです。まことに申し訳ございません……かなり書き辛い
状況でございます……。
 これはギャグではなくリアル。
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