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連載
グーム国
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親方さんは、いつも食材の取り引きをしているという商会のオーナーさんを紹介してくれた。
オーナーさんは、親方さんよりは少し年下の30代くらいの優男風の男の人だった。
私が、読み書きや計算、料理に洗濯、掃除が出来ると言ったら、すぐに商会で雇ってくれることに決まる。
「リーゼ、仕事が決まって良かったな。
俺はこの後、買い物をしたら船に戻って、この国を離れる。
何ヶ月後かにまた来ると思うから、その時に会えたらいいな!頑張れよ!」
「親方さん。助けて下さっただけでなく、仕事まで紹介して下さってありがとうございました。
私、頑張ります!」
「おう!……そういえば、この手紙をリーゼのいた国の港に行くことがあった時に、ここに書いてある宿屋の女将に渡せばいいんだな?
もしかしたら、数ヶ月から一年先になるかもしれないが、忘れないように渡すからな。」
この世界の郵便システムが未発達だと判断した私は、この面倒見のいい親方さんに、港町の女将さん宛の手紙を託すことにしたのだ。
「よろしくお願いします。港から歩いてすぐの宿屋の女将さんなんですが、私の親代わりのような存在で、大切な人なんです。
多分、すごく心配をかけていると思うので、いつになってもいいから、渡して頂けたら助かります。」
「分かった!きっと心配しているだろうから、いつになるか分からないが、必ず届けるからな。
じゃあ、俺はそろそろいくぞ。またな!」
「はい!親方さん、どうかお気をつけて……。」
短い間だったけど、親身になって私を助けてくれた親方さんと別れるのは、何だか寂しい気持ちになってなってしまった。
その後、商会のオーナーさんと話し合いをした私は、商会で経営するレストランで働くことになる。
レストランの近くには、商会の独身寮もあるらしい。
オーナーさんは私がすぐに生活できるように、急いで入寮の手続きをしてくれ、早速その日から寮に住まわせてもらうことになった。
色々な食材を取り扱っている商会が経営しているレストランは、平民からお忍びの貴族まで色々なお客さんが来るらしい。
その店は、食堂ではなくレストランと言うだけあって、ちょっとしたホテルのラウンジのような、お洒落なお店だった。
デートで彼女を連れて行くのに、ちょうどいい店って感じだと思う。
私はその店で接客を担当することになり、黒のメイド服のような制服が支給される。
メイド服を着るのは、前世も含めて初めてのことなので、何だか新鮮な気分だった。
オーナーさんは、早速、レストランのスタッフを私に紹介してくれた。
「明日からこの店で働くリーゼだ。
接客を担当してもらうから、みんなでリーゼに仕事を教えてやってくれ。」
「「はい。」」
レストランと言うだけあって、働いている人は沢山いるようだった。
シェフだけでもぱっと見た感じ、数人はいるみたいだし、私と同じ接客を担当する従業員も何人もいるようだ。
そして私は、接客担当の従業員が、美男美女ばかりだということに気付いてしまった。
男性の従業員は、制服のタキシードをカッコよく着こなしているし、女性の従業員もメイド服が良く似合っていて可愛い。
毒母に似て、普通よりも目立つ容姿の私としては、この美男美女揃いの従業員のお陰で、あまり目立つことはなさそうだから、良かったかもしれない。
「リーゼの教育は、キャサリンに頼む。」
「畏まりました。
キャサリンです。よろしく。」
「リーゼです。
どうぞよろしくお願い致します。」
キャサリンは、落ち着いた雰囲気の色っぽい美女だと思う。
銀座でママとかやってそうだわ。
その日は職場を紹介してもらった後に、寮の方に案内してもらう。
寮には管理人のマダムがいて、寮での生活のルールや、街で注意することなど、色々教えてもらえてよかった。
「リーゼ。荷物は何もないようだけど、これから買い物とか行くのかい?」
手ぶらで入寮するのは、事情を知らない人からすれば、かなり不自然に見えているようだ。
私、見るからに訳ありって感じだもんね。
「はい。事情があって、着の身着のままでここに来たので、これから買い物に行こうと思っています。
それでこの近くに質屋があったら教えて頂きたいのですが。」
「質屋か……。分かった。私も一緒に行ってやるよ。
まだ若いリーゼだけだと、質屋にぼったくられるかもしれないからね。
ついでに街中を案内してやるよ。」
「いいんですか?ありがとうございます。」
マダムが信頼出来るという質屋に連れて行ってくれることになり、イヤリングを売ることにした私。
イヤリングのエメラルドが大きかったので、イヤリングの片方だけで、しばらくは生活に困らないほどの大金が入ってきた。
そのお金で、服や靴など、日用品を購入することが出来たので良かったと思う。
これも、マダムがいい店を紹介してくれたお陰だ。
明日から頑張ろうっと!
オーナーさんは、親方さんよりは少し年下の30代くらいの優男風の男の人だった。
私が、読み書きや計算、料理に洗濯、掃除が出来ると言ったら、すぐに商会で雇ってくれることに決まる。
「リーゼ、仕事が決まって良かったな。
俺はこの後、買い物をしたら船に戻って、この国を離れる。
何ヶ月後かにまた来ると思うから、その時に会えたらいいな!頑張れよ!」
「親方さん。助けて下さっただけでなく、仕事まで紹介して下さってありがとうございました。
私、頑張ります!」
「おう!……そういえば、この手紙をリーゼのいた国の港に行くことがあった時に、ここに書いてある宿屋の女将に渡せばいいんだな?
もしかしたら、数ヶ月から一年先になるかもしれないが、忘れないように渡すからな。」
この世界の郵便システムが未発達だと判断した私は、この面倒見のいい親方さんに、港町の女将さん宛の手紙を託すことにしたのだ。
「よろしくお願いします。港から歩いてすぐの宿屋の女将さんなんですが、私の親代わりのような存在で、大切な人なんです。
多分、すごく心配をかけていると思うので、いつになってもいいから、渡して頂けたら助かります。」
「分かった!きっと心配しているだろうから、いつになるか分からないが、必ず届けるからな。
じゃあ、俺はそろそろいくぞ。またな!」
「はい!親方さん、どうかお気をつけて……。」
短い間だったけど、親身になって私を助けてくれた親方さんと別れるのは、何だか寂しい気持ちになってなってしまった。
その後、商会のオーナーさんと話し合いをした私は、商会で経営するレストランで働くことになる。
レストランの近くには、商会の独身寮もあるらしい。
オーナーさんは私がすぐに生活できるように、急いで入寮の手続きをしてくれ、早速その日から寮に住まわせてもらうことになった。
色々な食材を取り扱っている商会が経営しているレストランは、平民からお忍びの貴族まで色々なお客さんが来るらしい。
その店は、食堂ではなくレストランと言うだけあって、ちょっとしたホテルのラウンジのような、お洒落なお店だった。
デートで彼女を連れて行くのに、ちょうどいい店って感じだと思う。
私はその店で接客を担当することになり、黒のメイド服のような制服が支給される。
メイド服を着るのは、前世も含めて初めてのことなので、何だか新鮮な気分だった。
オーナーさんは、早速、レストランのスタッフを私に紹介してくれた。
「明日からこの店で働くリーゼだ。
接客を担当してもらうから、みんなでリーゼに仕事を教えてやってくれ。」
「「はい。」」
レストランと言うだけあって、働いている人は沢山いるようだった。
シェフだけでもぱっと見た感じ、数人はいるみたいだし、私と同じ接客を担当する従業員も何人もいるようだ。
そして私は、接客担当の従業員が、美男美女ばかりだということに気付いてしまった。
男性の従業員は、制服のタキシードをカッコよく着こなしているし、女性の従業員もメイド服が良く似合っていて可愛い。
毒母に似て、普通よりも目立つ容姿の私としては、この美男美女揃いの従業員のお陰で、あまり目立つことはなさそうだから、良かったかもしれない。
「リーゼの教育は、キャサリンに頼む。」
「畏まりました。
キャサリンです。よろしく。」
「リーゼです。
どうぞよろしくお願い致します。」
キャサリンは、落ち着いた雰囲気の色っぽい美女だと思う。
銀座でママとかやってそうだわ。
その日は職場を紹介してもらった後に、寮の方に案内してもらう。
寮には管理人のマダムがいて、寮での生活のルールや、街で注意することなど、色々教えてもらえてよかった。
「リーゼ。荷物は何もないようだけど、これから買い物とか行くのかい?」
手ぶらで入寮するのは、事情を知らない人からすれば、かなり不自然に見えているようだ。
私、見るからに訳ありって感じだもんね。
「はい。事情があって、着の身着のままでここに来たので、これから買い物に行こうと思っています。
それでこの近くに質屋があったら教えて頂きたいのですが。」
「質屋か……。分かった。私も一緒に行ってやるよ。
まだ若いリーゼだけだと、質屋にぼったくられるかもしれないからね。
ついでに街中を案内してやるよ。」
「いいんですか?ありがとうございます。」
マダムが信頼出来るという質屋に連れて行ってくれることになり、イヤリングを売ることにした私。
イヤリングのエメラルドが大きかったので、イヤリングの片方だけで、しばらくは生活に困らないほどの大金が入ってきた。
そのお金で、服や靴など、日用品を購入することが出来たので良かったと思う。
これも、マダムがいい店を紹介してくれたお陰だ。
明日から頑張ろうっと!
応援ありがとうございます!
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