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2度目

大公

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 王宮で1番広い、王の間に呼ばれる私。

 護衛騎士や専属メイド達に付き添われて中に入ると、陛下と側近達、そして沢山の貴族がいた。

 えっ、何の会合なの?

「リーナ、私の隣に来るのだ!」

 陛下が呼んでいる。
 いつもは優しい陛下だけど、今日は貴族達のいる前だからか、なんだか威厳があるように見える。

 王座の隣に行くの?嫌なんだけど…。そこは王族の場所でしょ?

「リーナ、来なさい。」

 うっ。陛下の笑顔が引き攣っている。怖いから行くか。

「…陛下の隣にいるのは恐れ多いのですが。」

 周りに聞こえないように、ヒソヒソと陛下に言ってみる。

「リーナ、聖女という身分は、国王と同等の立場なのだから問題ない。」

「はぁ。初めて知りました。」

 ああ、目立ちたくないのに貴族達の視線が痛いわ。
 こんな場だから、メイド達は、私に白のドレスを着せたのね。いつもの魔導師の服装は、今日は絶対にダメだって止められたのはこういうことか。

「それでは、貴族裁判を始める!罪人を連れて来い!」

 裁判だって?

「リーナに毒を持った犯人が見つかった。リーナは何の心配もないから、私の隣にいなさい。」

 毒の犯人が見つかったの?誰なのよ!
 
 すると、身分の高そうなおじ様風の人と、私よりも年上らしき、身分の高そうな令嬢が近衛騎士に連れられて入って来る。
 おじ様風の人は、殿下と髪色と瞳の色が一緒だ。もしかして、王族?でも顔に黒い大きなアザのようなモノがあって、具合がすごく悪そうだ。

「リーナの解いてくれた呪いは、呪いをかけた相手に、しっかりと返されたようだぞ。」

「陛下に呪いをかけたのは、あの方なのですか?」

「ああ。予想通りの人物だった。あれは前国王である父上の弟、大公だ。王位の横取りを企てていたから、私が邪魔だったのだろう。」

 呪い返し?怖っ!

「私を呪い殺して、弟は戦死させようとしたようだ。隣国に、我が国の結界が消えかかっていると漏らしたのも大公だろう。しかし、私が聖女を召喚し、やってきた聖女が思った以上に優秀で、あっさりと隣国を倒して結界を張ってしまった。だったら、せめて自分の娘を私に嫁がせて、王妃の父として権力を握りたかったようだが、従兄妹とはいえ、あんな性根の腐った女など、私が妃にするはずはないのに。」

 権力争いは怖いのね!こんな身内同士で。
 …ああ、早く平和な日本に帰りたい!

「私がリーナを寵愛しているのは、皆が知ることだからな。だから、リーナが邪魔だと思って毒を仕込んだようだ。全く馬鹿な女だよ。」

 ひいぃー。怖いから!
 もうすぐ帰るから、寵愛とかいらないから!





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