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新人魔女に届いた蜂蜜色の丸薬(1)
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新人魔女のリッカは、いつものようにまだ外が暗いうちに目を覚ました。そして布団の中で身じろぎをする。
(……んっ)
体が熱い。だが熱ではないようだ。風邪をひいた時特有の寒気もないし、節々に痛みがあるわけでもない。ただ体が重たいのだ。まるで全身に鉛を流し込まれたかのような感覚だ。
それでもリッカはなんとか起き上がると、カーテンを開ける。すると窓の向こうでは雨が激しく降っていた。ただでさえ体が重くて億劫なのに、雨のせいでさらに憂鬱になる。
今日はこのまま仕事を休んでしまいたい。リッカはマグノリア魔術工房へ勤め出して、初めてそんなことを思った。
しかしそうも言っていられない。リッカは重い体に鞭打って、着替えようとクローゼットの取っ手に手をかけた。しかし、へなへなと床に座り込んでしまう。足腰に力が入らない。まるで自分の体が自分のものじゃないみたいだった。
これはまずいかもしれない。そう思いながら、ベッドまで這っていこうとする。その時、部屋の窓がコツリと鳴った。風で何かぶつかっただけかと思ったが、もう一度音が鳴る。今度はコツコツという音だ。どうやら誰かが外からノックしているらしい。
こんな明け方に誰が?
リッカは働かない頭で考える。
不審者だろうか。それとも泥棒?
どちらにせよ怪しいことには変わりない。そもそも、リッカの部屋は二階にある。その窓を叩くなど、明らかに普通ではない。
リッカはよろめきながら立ち上がると、壁に手をつきつつ、ゆっくりと窓へ向かう――。
リッカの目に飛び込んできたのは、ずぶ濡れになった一羽の白い鳥の姿だった。フクロウだろうか。
フクロウは窓ガラスを嘴でつついている。助けて欲しいということだろうか。
リッカはその意図を測りかねたが、とにかくガラス戸を開けてやった。フクロウがトトッと部屋の中に入る。そしてひと鳴きした。まるで感謝するように。
リッカはフクロウへ意識を向けつつ、窓を閉める。ずぶ濡れのフクロウは窓際から動こうとはしなかった。閉じた翼からはポタポタと雫が垂れている。
とりあえずタオルを持ってきて拭いてやったほうがいいだろう。そう思って動こうとした瞬間、くらりと目眩に襲われた。そのまま倒れそうになるところを、なんとか近くの机に手をつくことで支える。
動こうとしただけでこれだ。やはりおかしい。今日の仕事は諦めたほうが良いだろう。リゼに連絡しなければならない。
「フェン。頼みたいことが……」
(……んっ)
体が熱い。だが熱ではないようだ。風邪をひいた時特有の寒気もないし、節々に痛みがあるわけでもない。ただ体が重たいのだ。まるで全身に鉛を流し込まれたかのような感覚だ。
それでもリッカはなんとか起き上がると、カーテンを開ける。すると窓の向こうでは雨が激しく降っていた。ただでさえ体が重くて億劫なのに、雨のせいでさらに憂鬱になる。
今日はこのまま仕事を休んでしまいたい。リッカはマグノリア魔術工房へ勤め出して、初めてそんなことを思った。
しかしそうも言っていられない。リッカは重い体に鞭打って、着替えようとクローゼットの取っ手に手をかけた。しかし、へなへなと床に座り込んでしまう。足腰に力が入らない。まるで自分の体が自分のものじゃないみたいだった。
これはまずいかもしれない。そう思いながら、ベッドまで這っていこうとする。その時、部屋の窓がコツリと鳴った。風で何かぶつかっただけかと思ったが、もう一度音が鳴る。今度はコツコツという音だ。どうやら誰かが外からノックしているらしい。
こんな明け方に誰が?
リッカは働かない頭で考える。
不審者だろうか。それとも泥棒?
どちらにせよ怪しいことには変わりない。そもそも、リッカの部屋は二階にある。その窓を叩くなど、明らかに普通ではない。
リッカはよろめきながら立ち上がると、壁に手をつきつつ、ゆっくりと窓へ向かう――。
リッカの目に飛び込んできたのは、ずぶ濡れになった一羽の白い鳥の姿だった。フクロウだろうか。
フクロウは窓ガラスを嘴でつついている。助けて欲しいということだろうか。
リッカはその意図を測りかねたが、とにかくガラス戸を開けてやった。フクロウがトトッと部屋の中に入る。そしてひと鳴きした。まるで感謝するように。
リッカはフクロウへ意識を向けつつ、窓を閉める。ずぶ濡れのフクロウは窓際から動こうとはしなかった。閉じた翼からはポタポタと雫が垂れている。
とりあえずタオルを持ってきて拭いてやったほうがいいだろう。そう思って動こうとした瞬間、くらりと目眩に襲われた。そのまま倒れそうになるところを、なんとか近くの机に手をつくことで支える。
動こうとしただけでこれだ。やはりおかしい。今日の仕事は諦めたほうが良いだろう。リゼに連絡しなければならない。
「フェン。頼みたいことが……」
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