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第1章 

第3話 卒業パーティー会場へ 1 (改稿)

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 鏡の前のに立つのは今の私の姿。
 ……なんとも複雑ですが。
 可愛らしく、おめかししたお人形の出来上がり。

 ……フフフ…完璧ですですわね。
 ほんと、信じられないけれどね。


「流石よ、エルサ完璧ですわね。貴女に任せておけば安心ですわ。ありがとう。さあ行きましょうか?」
「お褒め頂き、ありがとうございます。では、サロンで皆様お待ちの筈です。さぁさぁ、参りましょう」
「ええ、ありがとう」

 エルサに手を引かれ、ドレスの裾を若干気にしつつ、サロンの中はいる。
 サロンに入り待たせてしまった家族にお詫びしょうと一度開いたその口を閉じ目を疑う。そのサロンにいた家族は、一家全員のんびりとお茶してましたよ。もう笑しかありません。
 アハハ、どうやら長い時間お待たせしてしまった様ですわね。
 申し訳ないです。


「お父様、お母様。それに、お兄様たち、長い時間お待たせして申し訳ありませんでしたわ?」

 とりあえず待たせてしまった家族に、サロンの入り口でペコリと頭を下げて謝る。

「まぁ、パトリシア。私達はそう長くは待っては居ない……ぞ」
「……まぁ~パトリシア!貴女今日は一段と綺麗で可愛いわよ!ねぇ~貴方、そう思うでしょ~」

 良かった、お父様は不機嫌ではないのかしらね。
 それに、日頃厳しい母がドレスを誉めてくれると嬉しくなるわね。
 フフフ、綺麗で可愛いと誉め父に感想を求める母ですが…目が笑ってない。
 その母の目を見て父がたじろぎ口がどもる。

「そ、そうだな綺麗だぞ。私の娘は綺麗だ!それに可愛い!!」

 なんかテンションが可笑しいぞ…父。           

 どうされまして?まあ良いわ、変に突っ込んでも時間が勿体ないし。
 ここは素直にお礼を言っておいた方がお利口ですね。

「フフ。お母様、それに…お父様。お褒め頂きありがとうございます」

 わたしは、テンションの可笑しな父とニコニコ顔の母にお礼を言うと、ソファーに座るお兄様達に振り返って訊いてみる。

「兄様達、今日のわたしのドレス何処か変じゃ無いかしら?」

 兄達にニッコリ笑って振り返り一応感想などを訊いてみた。
 すると、アレクお兄様が満面の笑みを浮かべて誉めてくれます。それにさきほどの事を心配してくれます。

「パトリシア、今日のお前も可愛い。だが、先ほどの怪我は平気かい?」
「ええ、お兄様。心配お掛けしましたわ、もう平気です。それと誉めて頂きありがとうございます」

 等と、賑やかにアレクお兄様と挨拶を交わして居ると、突然ヴァンスお兄様が私の顔を見つめて、私を誉めちぎる。

「パトリシア。あぁ、綺麗だぞ!私の妹は世界一綺麗だなぁ~」

 ……ヴァンスあにどうしましたか?
 変なものでも食べたのかしら残念あにですわ。


 ヴァンスが変なテンションなのをそのままスルーするアレクお兄様……。
 
 その騒ぎの中、お父様がどうやら冷静に為られた様子ですわ。
 変なテンションから普通に戻ってる。なんだか…忙しい父です。そんなお父様が、私にパーティー会場まで行く時間だと声を掛けて来ます。

「さて、そろそろ出発しないと間に合わん。パトリシア行くぞ!」
「ええっ………お父様」
「では行くか(はぁ~私の娘が……)」

 今度は何か気が重そうですわね?
 一体全体どうしたのかしら?お父様何か御座いましたか?今度はご機嫌が斜めですか? 
 忙しい人ですわね?ほんと面倒。

「はい!では、お母様とお兄様達……後程」

 お母様達にカーテシーをして父と並んで廊下を歩き、エントランス前に乗り着けていた馬車に乗り込む。

 私たちが向かっているのは、学園で開催するパーティー会場です。そのパーティー会場迄、父にエスコートをして貰う予定なのです。

「パトリシア……」
「はい? なんですのお父様」
「なんで、私がお前のエスコート役なのかね?」

 あぁ、それで機嫌が悪いのね。
 ご免なさい…お父様。
 お馬鹿様が問題有りで、父か兄達かの二択でしたのよ。それで、お父様の方が都合が良いと考えた結果ですわ。他意は、ございません。

「あらお父様、私のエスコートはお嫌でしたかしら? それでしたら…もっと早く…そう、お兄様達お二人のどちらかにお願いしましたのに」

 兄達ににお願いするの忘れてましたわ。

「そうではないぞ!そうではないのだ、パトリシア。お前のエスコートは嬉しい。だがな?本来ならあの馬鹿王子がするはずだ!」

 それを私に言わないで欲しいわ、私だって!ここまでされるとは………思っていなかったのよ。

 まぁ、半年程前から善からぬ噂は耳に入っていましたが………知りませんわよ。

「お父様、私も存じ上げないのです。少し前から、馬鹿な噂を耳にして居たのですが……。まさかエスコートの申込みさえ無いとは思ってませんでしたのよ。(嘘だけれど)。それで私も困ってしまい………」

 急遽お父様に頼ったのですと言葉を濁し困った素振りをして頬に手を当ててた。

「ふん、事の真意は必ず!あの、馬鹿王子に聞くがな」
「ええ、是非そうして下さいませ?」

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