443 / 574
第13章
第39話 呼び出された。 2
しおりを挟む退出を促された王子が騒ぎ出す。
まぁ、ヴァンスからしたら想定内だ。
「ち、ちょっと待て!何故私が、王女ではなく。ヴァンス陛下から、婚約の話しを断られるのだ?あり得ないだろ!」
「あり得ない?それは何故か?」
「何故?それは、私程王女を愛する男は」
すると……何処からか王子の声が貴賓室の中に響いた。
【あの、傷物の女だろ?ハハハ。私が慈悲で貰ってやるんだ!感謝しろよ?】
という声が何処からか流れた。
王子は焦る、なんで自分の声が何処からか流れる?なんだこれは?
後ろで控える執事は……頭痛が酷くなる。
(なんと愚かな……、私が駆けつける前の会話なのでしょうか。しかしどうやって?鳥でも飼育して覚えさせたか?)
と、訳のわからない事を考える執事である。
「な、なんだ?今のは!わ、私の声か?」
「おや?ご自分の声とお認めになるか?」
「た、確かに私の声だが……。今の話しはなんだ!」
「なんだと、言われるても……。昨夜の貴殿が言った言葉だが?私達の前で言ったのを、覚えてはいないのかな?まあ、惚けるなんてさせないが?私の妹をこの様に思う、男の口から妹を愛する?お巫山戯も大概にて頂きたい物だ」
「そ、そんな物は偽物だ!それに昨夜は直ぐに寝て……」
「偽物か、先程自分の声だと認めたのでは?それに直ぐに寝た?為らばこれはどうかな?」
【愚か者!ここは私が……ゆくゆくは私がここの、持ち主に為るのだ!何処を歩こうと、誰にも文句は言わせん】
「そ、それは誰の?」
「おや?貴殿の声では?昨夜良い酒を飲んだ様だが。随分と、我国の酒を気に入ってくれた様で?」
【「ん……酒?ああ、あの酒か……中々言い味だったぞ?田舎の国にしては良いものをだす。貧乏な、国の癖にな?ハハハ!見栄を張っても、我が国に敵わぬのになぁ?マルナス!」
「で、殿下!口を謹んで下さい!」
「煩い!マルナス私に口答え等許さんぞ!」】
「と、このように気に入って頂いた様だが?」
「そ、そんな物は知らん!出鱈目だ!難癖を付けて何がしたいのだ」
「なにが?別だん此方からは何も?早々にそちらの護衛と、この国に潜り込ませて居る。間者共々お帰り頂ければ、何もしませんが?貴殿は、私達がなにかをするとでも?フフフ」
「っ!(間者迄調べてたのか?)」
「だ、だが私は王女からの、直接の言葉を聞かないと……」
【「あら、私が傷物の女ですか?殿下」
「お!居たな!堅物女。お前を俺が貰ってやるんだ!感謝しろよ?それで貰ってやったら、鎖で繋いで!鞭で打ってやる!その生意気な…………」】
「貴殿に、この様な事を言われたのに?妹本人から話をだと?」
「そ、それは私の声ではない!そ、そうだ私ではない!私を愚弄するか!」
「愚弄だと!今までの貴殿の態度!それに今の話で、私達を愚弄してる事はどう思ってるのか?どうやら貴殿は、自分の事が随分と棚に上げて居るようだが……」
「な、何が……言いたいのだ!」
付け上がるなよ餓鬼が!と言いたいが…。
「何と言われても……此方としては、お帰り願いたいだけだが?謝ることも出来ない人間には、私の目の前から消えて貰いたいものだ」
ヴァンスの身体から、威圧の冷気が漏れ始めると宰相が慌てて止める。
「陛下……冷静に……」
「おっと……すまんな。ハハハ」
「さて、マルナス殿」
「な、なんでしょうかヴァンス陛下」
「貴殿も昨夜は私達とそちらの、王子殿下のこの会話を、聞いていたな?王子の側に居たな?」
「…………(ま、不味いです!認めれば私はクビで殺される。かといって、先程の会話は知られてる……ここは黙りが正解か?)」
「ほぅ……王子殿下は、子飼の教育はちゃんとお出来の様だ」
この一言で釣れるか?宰相に目配せをすると軽く目を伏せた。了解と。
「う、煩い!黙れ」
チョロいな……釣れた。
「ほう?黙れ……誰に命令してるのだ?」
「黙れ!俺が…私が傷物を貰ってやるんだ!ありがたく思えよ!糞が」
「ほう?傷物……誰が傷物だ?」
「お前の妹!パトリシアだろ?あれの事に、決まってるだろうよフフフ」
何と言う無礼な!こいつは絶対に許さない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4,132
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる