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第14章
第39話 エンバスside アルスとクララ
しおりを挟むパトリシア達兄妹と、ルースとで今後の話し合いをしている同じ時間。
ルースの父アルスは、城から出て急いでエンバス商会に戻ると、直ぐに屋敷の中に早足で入って行く。
「これは旦那様、お帰りなさいませ。どうされましたか?それにルース様は?」
「……ヤッガス!ケビンとクララを私の部屋に来るように伝えなさい!」
「は?ですが、お二人とも未だ……」
「いいから、呼べ!」
「は、はい!ただいま!」
エンバス家に務める執事、ヤッガスは慌ててケビン夫妻を呼びに向かう。
ヤッガスはケビンを見つけると、直ぐに旦那様が呼んで居ると伝えたのだ。
それから、アルスが待つこと数分でケビン夫婦が揃ってアルスの部屋を訪れた。
「父上、お呼びと聞きましたがどうされました?」
「お父様、何か私にもお話しでしょうか?(子供達が騒ぐから、早くして欲しいのだけど?)」
「ああ、二人共そこに座れ…」
「はぁ」
「……」
二人が座ったのを確認するとアルスは口をひらいた。
「クララ、お前に聞くが?」
「な、なんでしょうか?お義父様?」
「クララ、お前…ルースに何をした?」
「は?お義父様、仰ってる意味が分かりませんわ?」
「分からないのか?お前がルースに何かを言ったのだろ?それも、お前がここに嫁いだ日に!ルースを呼び出したそうではないか!何を言った!」
「わ、私は何も……(チッ、あいつ…絶対に言うなと言ったのになに?何処でチクったのよ…)」
「ち、父上、お気を沈めてください。お体に触りますから!」
私は未だ耄碌などしてない!人を老人扱いするな!
「……喧しい、私は私は未だ老いて等ないぞ。ケビン!お前もなにか知ってるな?何を私に隠している?」
「い、いえ、私は何も?ですが、先日ルースに気になる事を謂われましたが……それだけです。ルースは私の弟ですよ?私がルースに何かする訳がありませんよ」
「そうか?では、ルースはお前に何を言ったのだ?」
「それは……ルースがクララに何かされてるらしいと…」
「それで?お前は何故、それを私に伝えて来ない?何で言わなかったのだ?」
「それは…クララに聞けば、何も知らないと謂うものですから…。それにルースは、今まで普通に私達と暮らしていたので気にも…」
そう、気にしなかった。
一時はクララを責めたが……それでも夫婦中が壊れて仕舞えば、子供達の未来にも関わると思い。
ルースの事は除外してしまった。
「そうか……この愚か者目が……。ケビン、お前には後妻を探す故、クララとは別れて貰うぞ。無論子供達は此方で引き取る」
「そ、そんな!私が何をしたと?それに、肝心のルースさんは何処に居るのです?(あの!くそ餓鬼!私の事を、義父に言いつけたのね!戻って来たら、今夜の食事にたっぷりと下剤を入れて出してやる!)私は何もしてません!神に誓って!貴方、私何もしてないわ!」
明らかにルースに何かをしてるのが、バレバレな態度だな。
目が泳いで要るし挙動も不審だ。
全く何年も私の眼を盗んで、ルースに何をしていたのか…ちゃんと聞き出さなければ!
「……お前、なにをそんなに焦ってるんだ?何もしていないなら騒ぐな!」
「そ、そんな、私は焦っていませんよ?なに言ってるの?貴方!変な疑いを掛けないで下さい」
「……クララお前、やはり後ろめたい事が何かあるのか?」
「い、いえ何もないです……(まずいわ)」
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