婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね

第15章

第2話 和解？

　それから……。

「で、父上たちは今日はなにをしに来られたのでしょうか？私とパトリシアも色々と忙しくしておりますので、ご用件は端的に且つ迅速にお願いしますよ」

　私たちは暇ではないと仰いますが…どうされたのかしらね？棘棘しい喋り方です。
　私と？いえ…私の家族といる時は穏和な方なのに。
　こうも本当のご家族の前でギスギスした空気を出すのは…如何なものでしょうか。
　まぁ、でも…ご家族の間で蟠りがあるなら仕方ないのかしらね。

「そ、そんな…ルース」
「き、今日来たのはな？」　
「なんですか？」
「私の嫁だった女を家から追い出した。その報告にな？来たんだよ。それと前とパトリシア様との婚約祝いを持って来たんだよ」
「……はあ？今更ですか？それに…あの人追い出したんですか？ちゃんと私になにをしたか、分かった上での事でしょうか？兄さん」
「あっ、ああ…追い出す前にちゃんとお前になにをしていたのか聞いた上で、実家にお帰り頂いたよ。ルース…すまなかったな。長年私や父上の知らん所で、お前はあいつに嫌がらせと謂う暴力を受けていたのだな…」

　まあそんなことをされて居たのね…。
　兄嫁って怖いわ……私も気を付けないと。
　と、言いますかこれって私が聞いててもいい話しなのかしら？

「ふぅ……父上、兄上…そうですか、追い出せたのですか。それはもっと早くして欲しかったですよ。でも、私も言い出せなくて兄上の嫁と謂う方でしたし。それに…子供も居ましたからね。あっ、そういえば子供は？」
「あれの子供のだがまぁ、子供には罪はないだろ？なので成人するまでは、家には置くがそれ以降は本人たちの気持ち次第だ。今は母親が居ないと落ち込んでいるよ」
「そう…ですか。子供たちには悪い事をしました、申し訳ありません。兄上…」
「い、嫌、元々私がお前の事に気づかなかったからこうなったのだ。すまない」
「それを言うなら、私が一番の原因だな。何せ見合いをさせたのは私だ。ケビン、ルースすまなかった」

　とこんな感じですが…これは和解したのかしら？
　私が居なくても良い話しでしたわね。
　でも、和解出来て良かったわ。

「今更………そんな……謝ってくるなんて…。それでも、父上私は家を出て独立したかったので、そこはお分かりくださいね？それとパトリシアとは別れませんからね！」
「わ、分かったよ。それで、この品々だ。パトリシア様にお前は未だ贈り物ができてないだろ？」
「ほら、ルースよ色んな物を用意してきたんだよ。パトリシア様、どれが宜しいてしょうか？」

　目の前に出されたのは、見事に加工された宝飾品ですが……これは困りましたよ。
　豪華過ぎて引き気味です。

「えぇっと…ルース様。私はどうしたら？」
「フフフ、パトリシア。何か気に入った物はあるかな？在るなら、私と父上達からの贈り物としたいのだが」
「えぇっと、ここからですか？」

　出された豪華なケースの中を見れば、普段に使えない物ばかりで……どうしましょう。
　でも、この中から決めるの？

「そ、それなら……このルース様の瞳のお色と同じ首飾りを」

　と手にしたのはエメラルドのネックレスです。
　エメラルドの回りにダイヤが飾られてますが品の良い物です。

「それですね？」
「ええ、これならドレスに似合いそうですわ」
「ああ、今作らせてるドレスにかい？」
「ええ」
「それなら…揃いのイヤリングと指輪を、それとは別にこのティアラを、私からの贈り物にさせてくださいね。父上いいでしょうか？」
「ああ、いいぞ！それで、ドレスとは？」
「ああ、一年後に行う私とパトリシアとの式です」
「そ、そうか……」
「ええ、そうです」

　それきり三人が黙ってしまわれて場の空気が固まりました。
　本当に仕方ない方たちです。