上 下
569 / 574
第16章 

第12話 約束だったでしょ? 1 (改稿)

しおりを挟む


 武道大会も終わり、サロンでのんびりまったり一時一いっときのお茶の時間に。
 ……来客有り。
 でも…お客と言いましても…お母様デスガネ。 
 何やら、お母様が私にお話があるらしい。

 なに…怖い。

 ちなみに、パートナーであるお父様と言えば、先日謹慎を解いたのですよ。
 ですから、今はお兄様のお仕事をサポートをしてます。
 まあ、あれでも、某失くなった国では宰相を勤めてましたからね。
 役には立つ、と言いってヴァンスお兄様が私に相談しに来たのですよ。
 お父様と一緒にね。

 ま、叔父様と画策して私を利用しようとしたのは許せませんが、もう月日も経ってますし?私も婚約が決まりましたので、ここは水に流す感じで、お父様の謹慎を解くのを了承しましたのよ。
 、お兄様たちの執事たちは絶対に許しませんけど。
 おほほほ!絶対に渡すものか、私が造った大容量のアイテム鞄。
 しかも時限停止付き!

 根に持つタイプなんです私は。

 ヴァンスお兄様もアレクお兄様も呆れてますけどね。

 そんなことを考えて、お茶をすすってると私を訪ねてきたお母様。
 なんと、サロンにお一人で入って来のにはビックリ。

 一体なんのご用意でしょうかしら?

「お母様、ごきげんよう。今日はどうしましたの?  共も付けずにわざわざ此方へいらっしゃるなんて。本当に珍しいですわね?」

 と、わざとらしく聞いてみた。
 それに、何時もならメイドか兄を連れて来るのに一人で来るなんて。
 明日は雪が降るのかしら。

「ごきげんよう、パトリシア。私も偶には一人で来るわ。それより……ねぇ、パトリシア?」
「なんですの」
「私は思うのよ!」

 近い!お母様お顔が近い。

「お母様、お顔が近いです。もう少し離れてくださいませ。それで、なにを思うとおっしゃるのですか? お母様、取り敢えず其方にお座りに為られては? あっとリナお母様にもお茶をお出して差し上げて」

 部屋に居たリナに声を掛けて、母にお茶をだす様に声をかける。
 そして、母も私に言われた通りソファーにストンと座った母。
 あら、素直に座ったけど…何だかとっても嫌な予感。

「そのねぇ……パトリシア?」

 もじもじとしてる母。

「はい?」

 うん、気持ちが悪い一体なんですか?

「あの…ねぇ…」

「あのね」と歯切れが悪い母は、リナの出したお茶を受け取りお茶を一口飲む。
 そんな母を見て私は、イラッとしながらも声を荒げずに、口調を押さえて母に声を掛ける。

「………じれったいですわ、お母様。いったいなんでしょうか」
「あ、あのね?」

 あ~イライラする。
 話があるならはっきり言って貰いたいわ。

「だから、なんでしょうか?」
「なら、言うわね。パトリシア、貴女の作る化粧品の品物だけど!」

 化粧品かい!ドキドキしたじゃない。
 
「…はあ…品物ですか?」
「そう、それよ。あれ、もう少し数を多くして売らないのかしら?」
「…………はぁ?(また唐突な事を言い出して…)数ですか?」
「そう、数よ」
「数って…化粧水なら、ルースの元の実家で売られてますわよ?」

 そう、エンバス商会で売ってるのは化粧水と石鹸とシャンプーだ。
 エンバス商会で造る量を決めてるらしいから、十分数は足りてると思うのだけれど。

「違うわよ、種類よ、種類を増やして欲しいのよ!」

 数って言ったじゃないのよ。
 初めからちゃんと種類と言って下さいな。
 なんで、私が怒られるのよ。

「ああ、そっちですか。種類……種類ですの?」

 売り物を…もとい、種類を増やす…増やすねぇ……。
 増やすなら、リンスと乳液の二種類くらいかしらね。
 後は……日焼け止めの効果がある白粉……ファンデーションですけど。
 でも売らないわよ!あれ、造るの大変だし。
 私しか今のところ造れないし。
 シャンプーだって結構大変だったのに。

 オリーブオイルを作れるから、石鹸とシャンプーはなんとか為ったけどね。
 それに、造れるかは…分からない。
 でも、オールインワン!あれは絶対造りたいわね。
 シミとシワを改竄する効果の付けたいし。
 若い内からちゃんと予防はしないと!おっと脱線したわね。

 軌道修正。

「それは…お母様、無理ですわね。ですが、なんで急にそんなことを?」

 そんな厄介な事を言い出したのか?

「い、いえね…。その、先日のお茶会でお友達に迫られてしまったのよ」 

 母が言うには、お茶会での一幕で…「マリーン様って、いつもお綺麗だわねぇ~。何か、お肌を美しくする秘訣でもあるのかしら? 良ければ、私にも教えて下さらない?」

 としつこく、ねちっこく、数人のご婦人達から迫られたらしい。
 なんて面倒な。

「お母様……化粧水でと言って、誤魔化してくださいませ」

 そこはシカトしてくださいませ。
 絶対に、化粧品の事は誰にも話さないと約束してお渡ししてる筈だから、お母様のお友達にも秘密。
 だから言えないのよ。
 だって私は、もう誰からも利用はされたくはありません!

「それはそうなのだけれどね、毎回お茶会を開く度に聞かれるのよ。その度に返事をするにも疲れるし、何処で売ってるのかとか、探られるのは飽きたのよ」

 飽きたって…この人……

「いいえ、お母様!化粧品関連は、もう売りに出せません。お母様に渡しているあれだけの品は、私が一人で造るので手が回りません。商品は、エンバス商会で扱ってるのですから、そこへ訪ねろと申してくださいませ。それに、他の物は材料がまだまだ足りない状態ですわ」

 それに、あれらを造るのならレシピを公開せねば為らないし、技術者も居るだから無理。
 トリートメントなんてどうやったら出来るのか?私の魔法でしか造れないしね。 
 と、言うことで、「無理ですわね」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【立場逆転短編集】幸せを手に入れたのは、私の方でした。 

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:6,426pt お気に入り:826

邪魔者というなら私は自由にさせてもらいますね

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:227pt お気に入り:3,663

異世界ゆるり紀行 ~子育てしながら冒険者します~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:44,616pt お気に入り:35,285

ぶりっ子男好き聖女ヒロインが大嫌いなので悪役令嬢やり遂げます!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:3,408

婚約破棄の翌日に謝罪されるも、再び婚約する気はありません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,748pt お気に入り:6,430

ちーちゃんのランドセルには白黒のお肉がつまっていた。

ホラー / 完結 24h.ポイント:809pt お気に入り:15

グラティールの公爵令嬢

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:15,599pt お気に入り:3,371

処理中です...