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第二十四話 ガリア学院に抱く、不快感
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「まさかゼットン先輩が負けるなんてな......」
エラルドは悔しそうに闘技場中央に未だに佇むゼットン先輩を見ていた。
「エラルド......」
「ゼットン先輩は覚えていなかったが、昔助けられたことがあってな。さっきのゼットン先輩の言葉に衝撃を受けたが、やはりゼットン先輩の根はそうだったんだ」
「そうさ、エラルド。前にも言っただろう。この学院には俺やエラルドみたいな少数派はいるって。だから、ゼットン先輩は間違ってない。間違ってるのはラリアとガリアだ」
そう、俺は気づいてしまった。こんなことで人が死ぬのはおかしい。ラリアの血統主義、ガリアの狂ったような実力主義はおかしい。
だから正さなければいけない、俺たちの手によって、いつか必ず。
周りを囲っているラリアの貴族たちも、ガリアの生徒たちも狂ったように妄信しているだけだ。
「そうだよ。エミル先輩も狂ってるよ! あんなことを言うなんて」
ユラはきりっとした表情でそう言うと、俯き、
「そりゃー私だって変人です! でも、最低限の道徳心はもっているつもりです。だから、私たちは間違ってない。ガリアもラリアも狂っている!」
「そうだ。だから、俺たちの手でいつかラリアもガリアも変えるんだ」
「そうだな」
「うん!」
エラルドは照れながら、ユラは元気よく頷いていた。
俺はそれを見て、やはりうれしくなった。
「そうね、こんなの間違っているわ」
「「「リーフェ?」」」
リーフェはいつの間にか俺の横で銀髪を風になびかせていた。
「別にそこまで驚かなくてもいいじゃない」
珍しくツンとした雰囲気がないリーフェは、俺たちを見ると矢継ぎ早に、
「ラリアの行き過ぎた血統主義、ガリアの行き過ぎた実力主義。お互いの行き過ぎた主義のせいで私たちが血を流すなんて間違っているに決まっているわ!!」
大声を出し片足で地面を強く叩くリーフェ。
「そうだな。だから俺たちで変えよう、リーフェ」
俺がそう言うとリーフェは俺を力強い目で見つめながら首を横に振っていた。
「私だって、本当はあんた達と一緒にダンジョン攻略したかったわ。でも、できなかったの。ごめんなさい」
ああ、知っている。リーフェがエミルと対峙したその時から分かっていたこと。そう言いたかったが、俺たちは黙ってリーフェの開かれた口から発せられる言葉の続きを待った。
「それとね、ゼットン先輩の最後を見て、やっぱり言わなきゃと思ったの」
「なんだ?」
するとリーフェは思いっきり深呼吸をすると、
「私はこの戦いで、ラリア側に付いてあんた達と戦うことになる。だからお願い。棄権してほしい。プライドなんて捨ててほしい、罵倒されようが私が何とかする。だから、棄権してほしい」
リーフェは深々と頭を下げていた。
「どうしてもね、私にはやらなきゃいけない理由があるの。この戦いに勝たなきゃならない理由が。だから...... お願い」
地面にはリーフェの涙がぽたぽたと落ちている。
未だに頭を深く下げているリーフェに俺は無理やり頭を上げさせた。
「それはできないな、リーフェ。だって俺たちはパーティーじゃないか。今後もガリアやラリアを正す、俺のパーティーメンバーだ。だから、俺たちは戦う」
そう、ゼットン先輩は仲間を守るべくして死んだ。
そんなゼットン先輩たちが選ばれた理由もガリアとラリアの利益によるものだったのだろう。
推測するにガリア側としては邪魔だから。だから、あえて未完成なゼットン先輩たちを送り出した。
だけどゼットン先輩は文句の一つも言わずに、仲間たちを守り抜いた。
そしてゼットン先輩が言った言葉、「だから、僕らの試合を見逃すなよ。なにせ1組でもない君らは代表とは言い難いからな」
これはきっと、俺たちも未完成で最弱な2組のパーティーだから言った言葉なんだろう。
そして何よりこの言葉に込められたメッセージは「生きて、ガリアを変えろ」そう言うことだと俺は思う。
だから、俺はゼットン先輩のやれなかったことをやり遂げなければいけない。
その最初の一歩はリーフェを助けることだ。
「そうだぞ、リーフェ。実はお前が仲間思いだってことはもう知ってるんだからな。だから、リーフェを助けるのは当たり前だ」
「そうですよ、リーフェちゃん。私たちを頼ってもいいんです! そして私たちは負けない。だから......」
「あんたたち馬鹿じゃないの!! ほんと馬鹿よ! 自分たちが死ぬかもしれないのに!!」
語調を強ませたリーフェは涙を頬につたわせながら、俺の手を振りほどいていた。
「ごめんなさい、本当に...... でも、本当にできないのよ。だから、棄権して」
涙でぐしゃぐしゃの顔のリーフェはそう言うと、再び俺たちの前から去っていた。
「リーフェちゃん......」
「ああ、必ず助けよう」
俺たちは再びリーフェを助けることを誓った。
エラルドは悔しそうに闘技場中央に未だに佇むゼットン先輩を見ていた。
「エラルド......」
「ゼットン先輩は覚えていなかったが、昔助けられたことがあってな。さっきのゼットン先輩の言葉に衝撃を受けたが、やはりゼットン先輩の根はそうだったんだ」
「そうさ、エラルド。前にも言っただろう。この学院には俺やエラルドみたいな少数派はいるって。だから、ゼットン先輩は間違ってない。間違ってるのはラリアとガリアだ」
そう、俺は気づいてしまった。こんなことで人が死ぬのはおかしい。ラリアの血統主義、ガリアの狂ったような実力主義はおかしい。
だから正さなければいけない、俺たちの手によって、いつか必ず。
周りを囲っているラリアの貴族たちも、ガリアの生徒たちも狂ったように妄信しているだけだ。
「そうだよ。エミル先輩も狂ってるよ! あんなことを言うなんて」
ユラはきりっとした表情でそう言うと、俯き、
「そりゃー私だって変人です! でも、最低限の道徳心はもっているつもりです。だから、私たちは間違ってない。ガリアもラリアも狂っている!」
「そうだ。だから、俺たちの手でいつかラリアもガリアも変えるんだ」
「そうだな」
「うん!」
エラルドは照れながら、ユラは元気よく頷いていた。
俺はそれを見て、やはりうれしくなった。
「そうね、こんなの間違っているわ」
「「「リーフェ?」」」
リーフェはいつの間にか俺の横で銀髪を風になびかせていた。
「別にそこまで驚かなくてもいいじゃない」
珍しくツンとした雰囲気がないリーフェは、俺たちを見ると矢継ぎ早に、
「ラリアの行き過ぎた血統主義、ガリアの行き過ぎた実力主義。お互いの行き過ぎた主義のせいで私たちが血を流すなんて間違っているに決まっているわ!!」
大声を出し片足で地面を強く叩くリーフェ。
「そうだな。だから俺たちで変えよう、リーフェ」
俺がそう言うとリーフェは俺を力強い目で見つめながら首を横に振っていた。
「私だって、本当はあんた達と一緒にダンジョン攻略したかったわ。でも、できなかったの。ごめんなさい」
ああ、知っている。リーフェがエミルと対峙したその時から分かっていたこと。そう言いたかったが、俺たちは黙ってリーフェの開かれた口から発せられる言葉の続きを待った。
「それとね、ゼットン先輩の最後を見て、やっぱり言わなきゃと思ったの」
「なんだ?」
するとリーフェは思いっきり深呼吸をすると、
「私はこの戦いで、ラリア側に付いてあんた達と戦うことになる。だからお願い。棄権してほしい。プライドなんて捨ててほしい、罵倒されようが私が何とかする。だから、棄権してほしい」
リーフェは深々と頭を下げていた。
「どうしてもね、私にはやらなきゃいけない理由があるの。この戦いに勝たなきゃならない理由が。だから...... お願い」
地面にはリーフェの涙がぽたぽたと落ちている。
未だに頭を深く下げているリーフェに俺は無理やり頭を上げさせた。
「それはできないな、リーフェ。だって俺たちはパーティーじゃないか。今後もガリアやラリアを正す、俺のパーティーメンバーだ。だから、俺たちは戦う」
そう、ゼットン先輩は仲間を守るべくして死んだ。
そんなゼットン先輩たちが選ばれた理由もガリアとラリアの利益によるものだったのだろう。
推測するにガリア側としては邪魔だから。だから、あえて未完成なゼットン先輩たちを送り出した。
だけどゼットン先輩は文句の一つも言わずに、仲間たちを守り抜いた。
そしてゼットン先輩が言った言葉、「だから、僕らの試合を見逃すなよ。なにせ1組でもない君らは代表とは言い難いからな」
これはきっと、俺たちも未完成で最弱な2組のパーティーだから言った言葉なんだろう。
そして何よりこの言葉に込められたメッセージは「生きて、ガリアを変えろ」そう言うことだと俺は思う。
だから、俺はゼットン先輩のやれなかったことをやり遂げなければいけない。
その最初の一歩はリーフェを助けることだ。
「そうだぞ、リーフェ。実はお前が仲間思いだってことはもう知ってるんだからな。だから、リーフェを助けるのは当たり前だ」
「そうですよ、リーフェちゃん。私たちを頼ってもいいんです! そして私たちは負けない。だから......」
「あんたたち馬鹿じゃないの!! ほんと馬鹿よ! 自分たちが死ぬかもしれないのに!!」
語調を強ませたリーフェは涙を頬につたわせながら、俺の手を振りほどいていた。
「ごめんなさい、本当に...... でも、本当にできないのよ。だから、棄権して」
涙でぐしゃぐしゃの顔のリーフェはそう言うと、再び俺たちの前から去っていた。
「リーフェちゃん......」
「ああ、必ず助けよう」
俺たちは再びリーフェを助けることを誓った。
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