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だましあいコンビニスイーツ
ナポリタン目玉焼き添え。デザートは白玉あんこちゃん
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聞かれたからとはいえ、白玉あんこちゃんの美味しさをぺらぺらと熱弁してしまうなんて。私ってば、どうかしてる。
しかもさっきの人が神澤部長ではないなら、まったくの初対面だったというのに。
考えれば考えるほど恥ずかしくなり、火照る体を冷やしたくて、走って自宅のアパートへと帰った。息せき切って自分の部屋の前に到着すると、鍵を開けて家の中へ飛び込んだ。
「シャワー浴びたのに、汗だくになっちゃった。もう一回、浴びてこよう」
汗だらけの体では、せっかくのコンビニスイーツが台無しになる気がする。熱がこもった体をどうにか冷やしたかった。
「はぁ。さっぱりしたぁ~」
やや冷たいシャワーを浴びたことで、ようやく気持ちが落ち着いてきた。
調子に乗ってしゃべりすぎたけど、神澤部長に似た人も嫌がってはいなかったみたいだし、きっと大丈夫だ。次回会うようなことがあったら、会釈だけしておけばいい。
「さて。まずはナポリタン弁当から食べようっと。デザートは後のお楽しみね」
気持ちを切り替えるため、まずは腹ごしらえだ。ナポリタン弁当を取り出すと、温め直すため電子レンジへ。
ケチャップ色に染まったウィンナーと玉ねぎが、なんとも美味しそう。粉チーズが別に添えてあるのも嬉しい。
「うーん。せっかくだから、ちょっと手を加えようかな」
そのまま食べても美味しいけれど、お家で食べるのだから、少しだけスペシャル感を出したい。
「そうだ、目玉焼きを乗せちゃおう!」
愛用のフライパンを用意すると、冷蔵庫から卵を取り出した。
フライパンを軽く温め、油をひいて、卵をぱかっと割り落とす。
「目玉焼きって、ひとり分でも簡単にできるところがいいよねぇ」
じゅーっと軽やかな音をたてて焼けていく卵を見ていると、早く食べたくて、うずうずしてしまうのは私だけだろうか。
最初はやや強めの火で、徐々に弱火にして、半熟の目玉焼きに仕上げる。
その間にたポリタン弁当を電子レンジで温め、ふたを開けておく。
「温め直したナポリタン弁当に、半熟目玉焼きを乗せて……っと」
ケチャップで染まった赤いナポリタンに、黄色い黄身と白身の目玉焼きをトッピング。ビジュアル的にも、美味しそうな雰囲気がぐっと増した気がする。
そこへ付属の粉チーズをふりかけて完成だ。
「特製ナポリタン、目玉焼き添えの完成でーす!」
誰もいない部屋に向かって、ひとりで叫んでしまった。
当然返ってくる返事はなく、部屋の中はしーんと静まり返った状態だ。
「やだ、私……。さっきからひとりでペラペラしゃべってる。これじゃあ、ただのイタイ女だよ……」
さすがにちょっと恥ずかしくなってしまった。
「た、たまには独り言を言いたいときだってあるよね。人間だもの」
よくわからない理屈をつけて、自分を無理やり納得させた。
今日の自分はちょっとどうかしてる気もするけど、そんな日もあると思う。うん、たぶん。
「とにかく温かいうちにいただこう」
食卓代わりにしているミニテーブルにナポリタン弁当を置くと、家にあった粉チーズを追加でふりかける。
ノートパソコンを立ち上げ、動画配信サービスで海外ドラマを視聴できるようにすれば、準備は万端だ。
「追い粉チーズに、タバスコをプラスしてと」
今日だけは、カロリーなんて気にしない。思う存分食べてやるんだ。
フォークで半熟目玉焼きをちょんとつついて、黄身をたらっと流す。
ケチャップ味のナポリタンに、黄色い黄身がからまり、てらりと光っている。ちょっとジャンキーな雰囲気が、たまらなく美味しそうだ。
「いただきまーす」
目玉焼きとナポリタンを合わせてフォークで巻き取り、口の中へそっと運ぶ。
「ん~っ。最高っ!!」
少しだけ柔らかくなっているケチャップ味のパスタに、目玉焼きの黄身がほどよく絡まっている。こってり味に卵が加わったことで、少しマイルドな味わいになってるところが美味しい。ナポリタンと卵の愛称は抜群なのだ。卵が絡まってないところは、普通のナポリタン(当然だけど)味わいに変化が生まれているところがまた楽しい。
あまりの美味しさに、あっという間にナポリタン弁当を食べ終えてしまった。
「さて。お次は本日のデザート。まずは白玉あんこちゃん!」
透明プラスチックのカップを開けると、まず確認できるのは純白のホイップクリーム。少しだけスプーンですくって口の中に入れ、続けて甘さ控えめのあんこをぱくっと一口。
「あま~いぃ! あんこってやっぱり日本人の心の友だよねぇ。洋風のホイップクリームとも仲良くできるなんてさすがだわ」
美味しさのあまり、グルメ記者の実況レポやってる気分だけど、今日だけは良いということにしておこう。
幸か不幸か、ひとり暮らしだし、何の問題もない。
「さぁ、お次はいよいよ白玉ちゃんの登場ですよ~」
ふっくら丸い白玉をすくいとり、あんことホイップクリームを添えて、一気に口の中へ運び入れる。
もちもち、むちむちした素朴な白玉が、あんことホイップクリームが加わることで、可憐にドレスアップしたみたい。白玉のもちっと感を心ゆくまで堪能したながら、ゆっくり噛み、ごくんとのみこんでいく。五つほどあった白玉が亡くなる頃には、私のお腹も心も十分に満たされていた。
ああ、やっぱり甘いものっていいな。食べ終わった後の満足感がすごいもの。
「うーん。今日シュークリームまで食べたら、ちょっともったいないかな。明日のお楽しみにしよう」
明日も家に帰ってのお楽しみのスイーツがあると思えば、仕事も頑張れそうだ。
「それにしても。今日サンピースで会った神澤部長によく似た人は、どういう人なんだろう? 部長の兄弟とかかな?」
よれよれ白Tシャツの男性がどういう人なのかはわからないけれど、神澤部長よりずっと優しそうだった。
「次にサンピースに行ったときに会うかどうかもわからないし、気にしてもしかたないか」
目玉焼きトッピングのナポリタン弁当と白玉あんこちゃんのおかげで、すっかり気分がよくなった私は就寝時間まで海外ドラマを楽しんだのだった。
しかもさっきの人が神澤部長ではないなら、まったくの初対面だったというのに。
考えれば考えるほど恥ずかしくなり、火照る体を冷やしたくて、走って自宅のアパートへと帰った。息せき切って自分の部屋の前に到着すると、鍵を開けて家の中へ飛び込んだ。
「シャワー浴びたのに、汗だくになっちゃった。もう一回、浴びてこよう」
汗だらけの体では、せっかくのコンビニスイーツが台無しになる気がする。熱がこもった体をどうにか冷やしたかった。
「はぁ。さっぱりしたぁ~」
やや冷たいシャワーを浴びたことで、ようやく気持ちが落ち着いてきた。
調子に乗ってしゃべりすぎたけど、神澤部長に似た人も嫌がってはいなかったみたいだし、きっと大丈夫だ。次回会うようなことがあったら、会釈だけしておけばいい。
「さて。まずはナポリタン弁当から食べようっと。デザートは後のお楽しみね」
気持ちを切り替えるため、まずは腹ごしらえだ。ナポリタン弁当を取り出すと、温め直すため電子レンジへ。
ケチャップ色に染まったウィンナーと玉ねぎが、なんとも美味しそう。粉チーズが別に添えてあるのも嬉しい。
「うーん。せっかくだから、ちょっと手を加えようかな」
そのまま食べても美味しいけれど、お家で食べるのだから、少しだけスペシャル感を出したい。
「そうだ、目玉焼きを乗せちゃおう!」
愛用のフライパンを用意すると、冷蔵庫から卵を取り出した。
フライパンを軽く温め、油をひいて、卵をぱかっと割り落とす。
「目玉焼きって、ひとり分でも簡単にできるところがいいよねぇ」
じゅーっと軽やかな音をたてて焼けていく卵を見ていると、早く食べたくて、うずうずしてしまうのは私だけだろうか。
最初はやや強めの火で、徐々に弱火にして、半熟の目玉焼きに仕上げる。
その間にたポリタン弁当を電子レンジで温め、ふたを開けておく。
「温め直したナポリタン弁当に、半熟目玉焼きを乗せて……っと」
ケチャップで染まった赤いナポリタンに、黄色い黄身と白身の目玉焼きをトッピング。ビジュアル的にも、美味しそうな雰囲気がぐっと増した気がする。
そこへ付属の粉チーズをふりかけて完成だ。
「特製ナポリタン、目玉焼き添えの完成でーす!」
誰もいない部屋に向かって、ひとりで叫んでしまった。
当然返ってくる返事はなく、部屋の中はしーんと静まり返った状態だ。
「やだ、私……。さっきからひとりでペラペラしゃべってる。これじゃあ、ただのイタイ女だよ……」
さすがにちょっと恥ずかしくなってしまった。
「た、たまには独り言を言いたいときだってあるよね。人間だもの」
よくわからない理屈をつけて、自分を無理やり納得させた。
今日の自分はちょっとどうかしてる気もするけど、そんな日もあると思う。うん、たぶん。
「とにかく温かいうちにいただこう」
食卓代わりにしているミニテーブルにナポリタン弁当を置くと、家にあった粉チーズを追加でふりかける。
ノートパソコンを立ち上げ、動画配信サービスで海外ドラマを視聴できるようにすれば、準備は万端だ。
「追い粉チーズに、タバスコをプラスしてと」
今日だけは、カロリーなんて気にしない。思う存分食べてやるんだ。
フォークで半熟目玉焼きをちょんとつついて、黄身をたらっと流す。
ケチャップ味のナポリタンに、黄色い黄身がからまり、てらりと光っている。ちょっとジャンキーな雰囲気が、たまらなく美味しそうだ。
「いただきまーす」
目玉焼きとナポリタンを合わせてフォークで巻き取り、口の中へそっと運ぶ。
「ん~っ。最高っ!!」
少しだけ柔らかくなっているケチャップ味のパスタに、目玉焼きの黄身がほどよく絡まっている。こってり味に卵が加わったことで、少しマイルドな味わいになってるところが美味しい。ナポリタンと卵の愛称は抜群なのだ。卵が絡まってないところは、普通のナポリタン(当然だけど)味わいに変化が生まれているところがまた楽しい。
あまりの美味しさに、あっという間にナポリタン弁当を食べ終えてしまった。
「さて。お次は本日のデザート。まずは白玉あんこちゃん!」
透明プラスチックのカップを開けると、まず確認できるのは純白のホイップクリーム。少しだけスプーンですくって口の中に入れ、続けて甘さ控えめのあんこをぱくっと一口。
「あま~いぃ! あんこってやっぱり日本人の心の友だよねぇ。洋風のホイップクリームとも仲良くできるなんてさすがだわ」
美味しさのあまり、グルメ記者の実況レポやってる気分だけど、今日だけは良いということにしておこう。
幸か不幸か、ひとり暮らしだし、何の問題もない。
「さぁ、お次はいよいよ白玉ちゃんの登場ですよ~」
ふっくら丸い白玉をすくいとり、あんことホイップクリームを添えて、一気に口の中へ運び入れる。
もちもち、むちむちした素朴な白玉が、あんことホイップクリームが加わることで、可憐にドレスアップしたみたい。白玉のもちっと感を心ゆくまで堪能したながら、ゆっくり噛み、ごくんとのみこんでいく。五つほどあった白玉が亡くなる頃には、私のお腹も心も十分に満たされていた。
ああ、やっぱり甘いものっていいな。食べ終わった後の満足感がすごいもの。
「うーん。今日シュークリームまで食べたら、ちょっともったいないかな。明日のお楽しみにしよう」
明日も家に帰ってのお楽しみのスイーツがあると思えば、仕事も頑張れそうだ。
「それにしても。今日サンピースで会った神澤部長によく似た人は、どういう人なんだろう? 部長の兄弟とかかな?」
よれよれ白Tシャツの男性がどういう人なのかはわからないけれど、神澤部長よりずっと優しそうだった。
「次にサンピースに行ったときに会うかどうかもわからないし、気にしてもしかたないか」
目玉焼きトッピングのナポリタン弁当と白玉あんこちゃんのおかげで、すっかり気分がよくなった私は就寝時間まで海外ドラマを楽しんだのだった。
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