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第二章

三話【素敵な家】

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迷彩柄のポンチョに身を包むふたりが、森のすぐ上を銀の杖にまたがり、飛んでいた。

流れる景色を見ながらスワロが、空の旅を楽しんでいると、急に地面に降りだす惣一郎。

「ふぅ~ 疲れた」

魔力がではない、尻が痛かったのだ。

「随分と進んだな、主人よ」

伸びをしながら話すスワロに惣一郎は、肉付きのいい尻には辛くないのだろうか?っと思う。

惣一郎の視線の先に気付くスワロは、頬を赤く染めながら、

「ま、まだ陽も高いうちから…… わ、私は全然構わんぞ、主人よ♡」

っと、モジモジしだす。

何のこっちゃ?

少し休憩しようと危険が無いか、サーチを飛ばす。

厄災は居ないが、森の奥に奇妙な反応を感じた。

魔獣なのか、薄っすらと生体反応の様な物を感じる。

モジモジとローブを脱ぎだすスワロを置いて、歩きだす惣一郎。

どんどん奥へ入って行く惣一郎は森の中で感じた反応が、一本の普通の木だった事に気付く。

もしや、以前ダンジョンで倒した木の魔獣なのか?

惣一郎は幻腕を出し、ライターと殺虫スプレーを構えながら、ゆっくりと近付く。

だが、襲っても来ない普通の木である。

不思議そうに木を触りながらぐるぐる木を調べていると、首の紋様が魔法陣を地面に作り、半裸のスワロが現れる。

「「「 なっ! 」」」 ん?

驚き声を上げた者がもう1人いる?

驚くスワロを無視し、ポンチを脱ぐ惣一郎が、もう1人の声を出した者を探す。

「誰か居るのか!」

サーチの反応は、やはり薄っすら感じる木だけであった。

惣一郎は空に向け、スプレーで火柱をあげる。

「出て来ないなら燃やすぞ!」

ハッタリだったが、効果はあった。

「まっ、待て! 今出る!」

木からする声に、驚く惣一郎と服で前を隠すスワロ。

木の根元に急に現れたのは、ダークエルフの男であった。

銀の短髪で高身長、細身マッチョなイケメンに、瞬時に殺意が芽生える惣一郎。

「何処から出て来た!」

ダークエルフは両手をあげて、

「[ツリーハウス]だ、知ってて脅したんじゃ無いのか?」

『『 ツリーハウス? 』』

惣一郎はスプレーを仕舞い、脅かした事を謝ると、テーブルにお茶を出す……

急展開に付いて来れないスワロ。




「はぁ~ 美味いお茶だ! こんな森の奥に旅人が来るなんて珍しいな、しかし何故分かったのだ」

「いや、何となく他の木と違う気がして……」

「外からは見分けが付かないはずなのだが…… ズズズゥ~ はぁ~」

「済まぬが、ツリーハウスとは、何なのだ?」

服を着たスワロが、核心に迫る。

「ああ、我々の家だ」

ピンと来ない。

「「 家? 」」

「ハハハッ! いいだろう、良い物も見せてくれたし、お茶のお礼だ。中に案内しよう」

まだピンと来ない。

立ち上がる男は付いて来いと、木に触れると中へと消えて行く。

「なっ! 主人よ」

「消えた……」

惣一郎は恐る恐る木に触れると、さっきまで触っていた木が、今度は映し出された映像の様に中へと入って行けた。

「どうなってるんだ!」

中は木造の家であった。

スワロも入って来て驚き、惣一郎にしがみつく。

「ハハハッ、驚いたか? さぁこっちだ」

ダークエルフの男は、土間の部屋を通り過ぎ、奥の台所のテーブルに案内する。

窓もあり、外が見える。

惣一郎が出したテーブルも、後ろの窓の外に見えた。

「ここは、木の中の空間なのだ」

「凄い…… 外から見た木の太さと、まるっきし合ってないぞ」

「アッハハハ、ツリーハウスだからね~ ベテランの旅人は、結構持ってるんじゃないかな~」

「えっ! 持ち運べるのか?」

「ああ、小さな種にして運べるのが、ツリーハウスの最大の特徴さ!」

素晴らしい!

目を輝かせる惣一郎。

スワロも驚きっぱなしであった。






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