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第八章

二話【懐かしき未来】

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何はともあれ懐かしい顔に嬉しい惣一郎は、中庭の食堂にゾロゾロと降りて行く。

食堂では、凄い量を食べているベンゾウ達を遠巻きに見る村人が囲んでいた。

口の中の物を撒き散らしながら声を上げるミコ。

「だんば!」

ミコと競う様に食べていた対面のベンゾウの顔に、ご飯粒が飛ぶ。

「久しぶりだな、ミコ! それにガオ!」

「元気そうじゃないか旦那」

「ガオ!」

顔の食べカスを拭い、立ち上がるベンゾウの頭に、惣一郎の拳骨が落ちる!

「相談ぐらいしろ! ベンゾウ」

「はぅ~」

そこに長い黒髪に前髪の一部が白髪のツナマヨが現れる。

「まぁ、実際危なかったではないか、許しておやりな」

「ツナマヨ……」

長い刀を腰に下げ、姿勢良く凛と立つその姿は、以前と変わらない物だった。

いや、少しシワが増えたか?

首元から古傷を覗かせるワイルドなお姉様。

そう考えるとミコは昔と変わってないな……

ベンゾウと同じ獣人なのに……

ガオも違いが分からん。

「ガブガや他のみんなは?」

「ガブガは腰やって引退した」

「フジンカガイライもトーマの引退を機に解散したのだ。エルとギコルは仲間を集め違うチームで動いているのだが、今回連絡がつかなくてな」

「そうか8年か…… みんな変わるわけだ」

「ツナマヨも今やギルドに欠かせない、ギルドマスターなんだぜ! ビルゲンなんて女王様だぞ」

マジか!

「ああ、ゼリオス達も今や国に使える騎士だ」

そこに割って入る大きな白い体。

「惣一郎、肉だ! わざわざ来てやったのだ、あの肉を食わせるのが礼儀という物」

よだれを垂らす大きな犬神。

「クロ…… クロも大きくなったな……」

だが可愛くない……

久しぶりの毛感触を感じようと手を伸ばす惣一郎に、見覚えのある杖が前を塞ぐ。

「お姉様は! お姉様がいると聞いて来たのだ。何処にいる!」

フードの中から険しい顔のピノが、惣一郎に冷たい目を向ける。

「やめろピノ! アタイの旦那様に失礼は許さんぞ」

後ろから杖を握る弁慶。

惣一郎が手を挙げ、弁慶をなだめる。

「その事でみんなに話がある」

惣一郎はみんなに今までの事を、詳しく話し始める……







その頃、大陸では。

「貴様! 誰も居ないじゃないか」

「いや、あれ? まだ渡る時期じゃないはずなんだが……」

赤い岩場にヒョロリと生えた一本の大きな木の上に集落があり、訪れていたキッドとスワロが、誰も居ないその集落跡に呆然と立ち尽くしていた。







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