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第八章
二十一話【害虫駆除】
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「あかん、岩山から登って来るで!」
ドラミの声に、外壁の上から唾を垂らすミコが振り向く。
外壁の下では無数のゴキブリがワラワラと月に照らされ、黒い影を揺らしていた。
「なんか言ったか!」
ミコがライトの魔法で照らされる明るい内側を見下ろしながら大きな声をあげる。
「だから、岩山の方から蟲が登って来る言うてんねん!」
視線をそのまま惣一郎達が入って行った洞窟の上の岩山に向けると、一気に雪崩落ちるゴキブリ!
大きなゴキブリは、一匹が荷車程の大きさで、長い触覚を振りながら次々と外壁の中に落ちて来る。
ドラミが蔓を出すが、魔力が足らないのか一本では役に立ちそうもなかった。
ガオが落ちて来るゴキブリを殴りながら流れに逆らうが、どんどん量に押されていく!
クロはセシルとピノを乗せて、外壁の上に避難し体制を立て直す。
ミコが慌てて鉈を振り回し群れに飛び込むと、埋もれかけたガオが息を吹き返す様に、また殴り始める!
だがそう長くは保たなそうだ!
「下がって!」
後ろから聞こえる声に反応し、後方に飛ぶミコとガオ!
ツリーハウスから現れたゴゴとジジに盾で守られたハクが、白い空気の球をミコ達と入れ替わる様に飛ばすと、ゴキブリの群れの中で弾け白い爆風を広げる!
外壁の内側に広がる白い煙。
ハク達は首に巻いた布で口を塞ぎ、煙で見えない中でじっと耐える!
岩山から落ちるゴキブリも勢いを無くし、煙の中に飛び込む数も減っていく……
「ゲフォ、けふぉ、ゲェフォ!」
「ケフォケフォケフォ」
「ガフォッ! ガァフォ!」
「エッフォ、オェェェ!」
何を言っているか不明だが、ゆっくりと後退しユグポンの中に避難するミコ達。
ガオの手にはドラミが引きずられていた。
白い煙が充満するドラミの作った外壁の中を、外壁の上に避難したクロとセシル、ピノが見下ろす。
「無事避難した様だな……」
「でもこのままでは、洞窟の中に蟲が入り込んでしまいますね……」
「煙で何も見えんが……」
外壁の外にもまだ蟲が蠢いていた。
様子を伺うセシル達が、白い煙が晴れていく内側を見下ろしていた。
「今ので全部死んだのか?」
ひっくりがえった無数のゴキブリを見下ろしピノが呟く。
洞窟の入り口は、ドラミが出した一本の太い蔓が塞いでいた。
ホッとするセシルが、ツリーハウスから様子を見ていたミコ達が出て来るのが見えた。
「毒が効いたな…… ウエッホン!」
「ケホ、惣一郎様がくれた火を使わず、水を入れる置き型の毒です」
「ザズガ、ゾウイジロウザマノドグダ!」
まだピクピクと動く蟲もいた。
トドメを刺して回ろうと、両手に鉈を握るミコの目に、岩山の上に月に照らされ立っている、ひとりのシルエットが見えた……
ドラミの声に、外壁の上から唾を垂らすミコが振り向く。
外壁の下では無数のゴキブリがワラワラと月に照らされ、黒い影を揺らしていた。
「なんか言ったか!」
ミコがライトの魔法で照らされる明るい内側を見下ろしながら大きな声をあげる。
「だから、岩山の方から蟲が登って来る言うてんねん!」
視線をそのまま惣一郎達が入って行った洞窟の上の岩山に向けると、一気に雪崩落ちるゴキブリ!
大きなゴキブリは、一匹が荷車程の大きさで、長い触覚を振りながら次々と外壁の中に落ちて来る。
ドラミが蔓を出すが、魔力が足らないのか一本では役に立ちそうもなかった。
ガオが落ちて来るゴキブリを殴りながら流れに逆らうが、どんどん量に押されていく!
クロはセシルとピノを乗せて、外壁の上に避難し体制を立て直す。
ミコが慌てて鉈を振り回し群れに飛び込むと、埋もれかけたガオが息を吹き返す様に、また殴り始める!
だがそう長くは保たなそうだ!
「下がって!」
後ろから聞こえる声に反応し、後方に飛ぶミコとガオ!
ツリーハウスから現れたゴゴとジジに盾で守られたハクが、白い空気の球をミコ達と入れ替わる様に飛ばすと、ゴキブリの群れの中で弾け白い爆風を広げる!
外壁の内側に広がる白い煙。
ハク達は首に巻いた布で口を塞ぎ、煙で見えない中でじっと耐える!
岩山から落ちるゴキブリも勢いを無くし、煙の中に飛び込む数も減っていく……
「ゲフォ、けふぉ、ゲェフォ!」
「ケフォケフォケフォ」
「ガフォッ! ガァフォ!」
「エッフォ、オェェェ!」
何を言っているか不明だが、ゆっくりと後退しユグポンの中に避難するミコ達。
ガオの手にはドラミが引きずられていた。
白い煙が充満するドラミの作った外壁の中を、外壁の上に避難したクロとセシル、ピノが見下ろす。
「無事避難した様だな……」
「でもこのままでは、洞窟の中に蟲が入り込んでしまいますね……」
「煙で何も見えんが……」
外壁の外にもまだ蟲が蠢いていた。
様子を伺うセシル達が、白い煙が晴れていく内側を見下ろしていた。
「今ので全部死んだのか?」
ひっくりがえった無数のゴキブリを見下ろしピノが呟く。
洞窟の入り口は、ドラミが出した一本の太い蔓が塞いでいた。
ホッとするセシルが、ツリーハウスから様子を見ていたミコ達が出て来るのが見えた。
「毒が効いたな…… ウエッホン!」
「ケホ、惣一郎様がくれた火を使わず、水を入れる置き型の毒です」
「ザズガ、ゾウイジロウザマノドグダ!」
まだピクピクと動く蟲もいた。
トドメを刺して回ろうと、両手に鉈を握るミコの目に、岩山の上に月に照らされ立っている、ひとりのシルエットが見えた……
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