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第九章

二話【巡る世界】

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「過去に解決してるとは?」

白目で話すクロをに聞き返す惣一郎。

答えはドラミの中の世界が口にした。

「惣一郎、私が過去に転生させた魔女と呼ばれるその少女の名は、ミルドラ……」

……はい?

「惣一郎ヨ、其方ハ未来ヲ過去トシテ先ニ、経験シタノダ……」

「待って! ミルドラ? ミルドラってあのミルドラの事ですか?」

「左様……」

「惣一郎、其方達が倒したあのミルドラです」

「全然意味が分からないのですが」

「良く聞いて下さい、惣一郎。貴方はこれから残された2人の蟲を倒し、このミルドラを復活させるのです」

「わざわざ?」

「復活したミルドラは、依然私が呼んだ勇者グラドゥの封印により、硬く傷を付ける事も出来ないでしょう…… ですがその封印のおかげでミルドラも力のほとんどを使う事が出来ません」

復活しても封印が生きてるのか?

ますます、どうやって食べたのだろう……

「グラドゥの命をかけた封印は、この世でのみ、その力が発揮されるのです」

この世……

「我ノ世ニ送レバ[勇者グラドゥ]ノ因果ガ切レルノダ……」

すでに死んだ勇者が向こうには行けないって事か……

俺みたいに生き返れば、また別なのだろう……

「次元を超えたミルドラは、時間のずれにより惣一郎、貴方が現れるずっと前に送られます」

「ソコデ我ガ[勇者ギド]ヲ呼ビ、溶岩ノ底ニ封印サセルノダ……」

「そして俺があの世界に現れ、ネウロがミルドラをベリルの身体で復活させ、ベンゾウに倒され、俺は死ぬと……」

「ソウイウ事ダ……」

ややこしい事実に衝撃を受ける惣一郎。

蟲を取り込み不死に近い魔女。

それを命がけで封印し、内からも外からも守る勇者グラドゥ。

俺が次元に放り込み、過去に送る。

復活したばかりで弱ってるミルドラを、ギドが火山に封印し、島で見守る……

ネウロがダンジョンで手に入れた魂丸で、復活を望んだベリルの体でミルドラが復活する。

それをベンゾウが勇者として覚醒し倒す。

ん~ なんとなく流れは分かったけど……

「では、俺が残りの2人を倒し御神体を次元に投げ込めば終わりなんですね?」

「如何ニモ…… タダ復活シタ[ミルドラ]カラ、アル程度ノチカラヲ奪ワナクテハナラナイ……」

「力を奪う? どうやって?」

「ミルドラが取り込んだ蟲を奪うのです!」

「奪う? どうやって?」

「精霊の力を……借り…るの…で……す……」

「えっ、どうしました?」

「私の力が……限界で…す。後は……頼み…まし…たよ、勇者……惣一…郎……」

力が抜ける様に倒れるドラミ。

慌てて支え地面に寝かせると、クロもふらつき始める。

「惣一郎、因果ガ切レタ其方ラハ戻レヌガ、其方ノ仲間ガ戻ル事ハ可能…… 戻レバ二度ト、我ノ世ト繋ガル事ハナイ……」

ああ、覚悟はしてたさ……

「ダガ安心スルガイイ…… 其方ノ仲間ハ時間ニズレル事無ク送リ届ケヨウ…… ソノチカラヲ残サネバ……」

「ああ、ありがとう。こっちはなんとかやってみるよ!」

「感謝スルゾ…… 惣一郎ヨ……」

ふらつくクロが、全身の毛をブルブルっと振るわせ、黒目に戻る。

「また厄介な事になっておるの、惣一郎」

「ああ、でもある程度謎が解けてスッキリしたし、やる事は変わらないさ!」

そこにドラミも目を覚ます。

「ったく何や! 勝手に人の体使いよって」

ドラミに手を差し伸べて、起こす惣一郎。

「ドラミ、精霊の元に案内してくれ!」




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