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さん
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お風呂に入ったし、授業にも間に合った。仮眠はとれなかったけれど。睡魔と戦いながら、教室に向かうと、友人たちに声をかけられた。
「おはようございます、撫子さん」
「おはようございます、茜さん、鏡子さん」
席つくと早速最近の噂話を友人たちはし始めた。
「聞きまして、撫子さん。あの噂」
「あら、なにかしら?」
「青野様と、転入生の噂よ」
忠司さんと、主人公の噂? 青野忠司。私の幼なじみだ。そして生徒会の書記であり攻略対象者でもある。でも、赤嶺会長と主人公ではなく? そのことを疑問に思いながらも、首を振る。
「いいえ」
「でも、撫子さんもしらないなら真実じゃないのかしら? とにかく、そのお二人が付き合っているっていう噂なの」
忠司さんと主人公が、ねぇ。赤嶺のルートに入っていると思ったけれど、そうじゃなかったのかしら。だったらあのキスマークは、忠司さんがつけた? いえ、でも。おっとりしている忠司さんが、あんな独占欲の塊をつけるのかしら。まぁ、私の知らない一面がないともいいきれないわね。
「ごめんなさい。その噂について何もわからないわ」
私がそういうと、二人は途端に元気になった。
「撫子さんが知らないってことは、やっぱりただの噂なのね」
「青野様は、皆の王子様ですもの」
「あら、私は、会長の方が素敵だと思うけれど」
二人がしばらくの間、どちらが格好いいか花を咲かせている間、私は睡魔と戦いながらぼんやりと外を眺めていた。
お昼休憩になった。いつも通り屋上に行くと、先客がいた。
「……でね、……っていうのよ! 本当に面白くて──」
珍しい。いつも屋上には私たちしかいないのに。屋上では楽しげな女子生徒の声がよく、響いていた。聞き覚えのあるその声にはっとする。主人公だった。
主人公がどうしてここに? そう思って、視線を横に移すと、隣には政隆さん、緑谷政隆がいた。彼も攻略対象者であり、そして、私の許嫁でもあった。
政隆さんと、主人公は私に気づいた様子もなく、楽しげに話している。
「そうか。慣れないことばかりで、大変だろう」
「ううん、皆よくしてくれるから……。あっ、深碧さん?」
私にようやく気づいた主人公が慌てて立ち上がった。主人公は、キスマークに気づいたのか、首に包帯を巻いていた。
「あの、違うの、深碧さん私たちは、そんな関係じゃなくてね、」
私は何も聞いていないのに、突然弁解を始める。
「いい、桜井。撫子には俺から説明するから」
「えっ、でも……。ううん、わかった。じゃあ、またね、緑谷くん」
そういって、主人公が去っていった。そして、残される不機嫌そうな許嫁と私。
「おはようございます、撫子さん」
「おはようございます、茜さん、鏡子さん」
席つくと早速最近の噂話を友人たちはし始めた。
「聞きまして、撫子さん。あの噂」
「あら、なにかしら?」
「青野様と、転入生の噂よ」
忠司さんと、主人公の噂? 青野忠司。私の幼なじみだ。そして生徒会の書記であり攻略対象者でもある。でも、赤嶺会長と主人公ではなく? そのことを疑問に思いながらも、首を振る。
「いいえ」
「でも、撫子さんもしらないなら真実じゃないのかしら? とにかく、そのお二人が付き合っているっていう噂なの」
忠司さんと主人公が、ねぇ。赤嶺のルートに入っていると思ったけれど、そうじゃなかったのかしら。だったらあのキスマークは、忠司さんがつけた? いえ、でも。おっとりしている忠司さんが、あんな独占欲の塊をつけるのかしら。まぁ、私の知らない一面がないともいいきれないわね。
「ごめんなさい。その噂について何もわからないわ」
私がそういうと、二人は途端に元気になった。
「撫子さんが知らないってことは、やっぱりただの噂なのね」
「青野様は、皆の王子様ですもの」
「あら、私は、会長の方が素敵だと思うけれど」
二人がしばらくの間、どちらが格好いいか花を咲かせている間、私は睡魔と戦いながらぼんやりと外を眺めていた。
お昼休憩になった。いつも通り屋上に行くと、先客がいた。
「……でね、……っていうのよ! 本当に面白くて──」
珍しい。いつも屋上には私たちしかいないのに。屋上では楽しげな女子生徒の声がよく、響いていた。聞き覚えのあるその声にはっとする。主人公だった。
主人公がどうしてここに? そう思って、視線を横に移すと、隣には政隆さん、緑谷政隆がいた。彼も攻略対象者であり、そして、私の許嫁でもあった。
政隆さんと、主人公は私に気づいた様子もなく、楽しげに話している。
「そうか。慣れないことばかりで、大変だろう」
「ううん、皆よくしてくれるから……。あっ、深碧さん?」
私にようやく気づいた主人公が慌てて立ち上がった。主人公は、キスマークに気づいたのか、首に包帯を巻いていた。
「あの、違うの、深碧さん私たちは、そんな関係じゃなくてね、」
私は何も聞いていないのに、突然弁解を始める。
「いい、桜井。撫子には俺から説明するから」
「えっ、でも……。ううん、わかった。じゃあ、またね、緑谷くん」
そういって、主人公が去っていった。そして、残される不機嫌そうな許嫁と私。
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