次女ですけど、何か?

夕立悠理

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高校生編

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 ※本日三度目の更新です
 春。――それは、別れ、そして出会いの季節である。

 中学二年と三年がどうなったかというと、何も変わらなかった。私は、相も変わらず音痴だし、淳お兄様はお祖父様の気を変えるべく、奔走されたがお祖父様の意志は固く、現在に至るまで、私たちの婚約は破棄されていない。

 でも、淳お兄様とお姉様の関係は、変わられただろう、と思う。淳お兄様は一年前から、道脇家本邸ではなく、お姉様や桃の住む別邸に住み、淳お兄様は大学に通う傍らお父様のお仕事を手伝っている。でも、長女のキミ通りにお二人の仲が進んでいるなら、もうじき婚約破棄も近いはずだ。


 高等科のクラス分けを確認する。私は一年三組だった。他にも、見知った名前がないか探すと、美紀ちゃん、遼子ちゃん、それに、前川、赤田も一緒だった。高等科に入ると、かなり外部受験生が増えるので、知り合いと同じクラスなのは素直に嬉しい。――と、私がひそかに喜んでいると声をかけられた。


「楓様、今年こそ同じクラスですね」

「楓様と同じクラスで嬉しいです」

「私の方こそ、美紀さん、遼子さんと同じクラスで嬉しいです」

美紀ちゃんと遼子ちゃんとは、結局三年間クラスが違ったので、同じクラスなのはとても嬉しい。私たちは、談笑しながら入学式が行われる体育館へ向かった。


 ■ □ ■


 体育館から教室に移動すると、すでに赤田と前川は教室にいたようで、おはようの挨拶をする。すると、前川が自慢げに私に近づいてきた。

「ついに道脇の身長を超したぞ!」

そんなにドヤ顔をしなくても違いは歴然だ。前川は中学三年生のころから、伸び悩んでいた身長が急激に伸び始め、ついに私の身長を超した――というか、今なら既に180センチはあるのではなかろうか?

「よかったね、零次。ごめんね、道脇さん、朝からうるさくて」

困った顔をしている赤田にいいえ、と返して席に座る。そろそろホームルームが始まるのだ。教室を見回すと、何人か見知った顔もあるが、知らない顔ぶれ――おそらく外部受験なのだろう――もかなり多い。よし、あの子たちと友達になれるように頑張るぞ。


 ■ □ ■


 「楓様は、もうどの部活に入られるか決めました?」

ホームルームが終わると、美紀ちゃんから声を掛けられた。鳳海学園では、高等科も中等科と同じく部活に入ることが義務付けられるのだ。

 「いいえ、まだ迷っていて……」

三年間の料理部での活動のおかげで、炊事はだいぶ慣れたと思う。だから、今度は運動部がいいかなぁ、とも思うのだが、運動部だと忙しい。習い事の多い私は、わりと出席は緩めの部活がいいので悩みどころだ。

「私たちもまだ全然決まっていなくて……」

とは遼子ちゃんだ。そうだよね、どの部活に入るか悩むよね。しばらく、あの部活は怖い先輩多いらしいとか、あの部活の顧問の先生は優しいらしいとか、うわさ話に花を咲かせた。


 「あの、よろしければ今年も一緒に部活見学をしませんか?」

私の提案に頷いてくれた二人と一緒に、様々な部活を見学する。テニス部、バスケ部、バレー部、合気道部、少林寺拳法部、華道部、茶道部、漫画部、合唱部、美術部、吹奏楽部、軽音部……。


 どの部活も楽しそうで、中々入りたい部活が決まらない。私たちが、うーんと悩んでいると、美紀ちゃんが思わぬ提案をした。


 「いっそのこと私たちで、部活を立ち上げませんか?」

「……え?」

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