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わかるでしょ
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最初はブティック、靴屋さんに、宝飾品店――蒼汰に連れまわされていたら、アッという間に帰りの新幹線の時間になってしまった。
「そうちゃん、さすがに買いすぎじゃない……? こんなに悪いよ」
水着どころではない。蒼汰は新しいキャリーバック、通勤用のカバンやスーツ、時計まで、次々に買い込んでいったのだ。
「足りないくらいだよ。しーちゃんと離れてた年月の分の誕生日って思うと」
「いや、その……」
「それに、合理的に考えて必要でしょ? しーちゃんいろいろ、前の家に置いてきちゃってるし、バッグもスーツも、いちいちこっちに来るたびに持ち運ぶの大変だろうし。 一式置いておいた方がいいよ。行き来させてるのは僕だし」
よいしょ、と蒼汰は大きなショップの紙袋を抱えた。
「この服とかは、僕がしーちゃんの実家に届けておくね。で、そうだ、この靴とかバッグは東京用。持って帰って、月曜日から会社で使って。あとお土産のいちごもね」
てきぱき仕分ける蒼汰に、詩音は苦笑しながら受け取った。
「ありがとう。でもさすがに悪いから、あとで建て替えるよ」
「だーめ。プレゼントなのに、野暮なこと言わないで。僕、生まれて初めてショッピングを楽しんだんだから」
「え? どういうこと?」
蒼汰は晴れやかな顔で言った。
「僕、社長になって、けっこう大きなお金を稼いだけど……自分のためにそれを使うって、したことなかったんだよね。趣味は仕事だし、ブランドどかも興味ないし、欲しいものとか特になくて」
「なるほど……?」
人の事を言えた義理ではないが、かなりのワーカーホリックである。
「けど不思議。しーちゃんに着せようとか、持たせようって思うと、あれもこれも欲しくなっちゃったし、選ぶのもすっごく楽しかった。ありがとうしーちゃん」
にこにこ、あんまり楽しそうな顔で言うので、さすがの詩音も否定できなかった。
「そっか……ありがと。そうちゃんって優しいっていうか……ほんと無欲なんだね」
詩音が仕事でかかわってきた若い起業家たちは、皆全身をブランドで固め、持ち物もオフィスもこれでもかといわんばかりにギラギラしているのが普通だった。
それに比べたら、蒼汰はかなり質素で、自然体に感じる。
「えー? 無欲? 僕が?」
しかし、蒼汰はクスクス笑った。
「物欲はないかもしれないけど、独占欲は人一倍だよ」
笑顔ながらもその目はじっと詩音を見つめていて、詩音は妙に納得してしまった。
――確かに、普通の人が持ち合わせている物欲や権力欲がない分、そっち方面が半端ない、のかもしれない。
蒼汰は詩音の耳元に唇を寄せた。
「東京戻ったら、またしーちゃんとデートしたい。いい?」
ち、近い近い。ちょっとドキッとしながら、詩音は一歩下がった。
「いいっていうか……戻ったら同じ部屋に住んでるわけだし」
そう考えると、もうずっと、四六時中蒼汰と一緒なのだ。
しかし、蒼汰は肩を落とした。
「そうは言っても、今日はしーちゃんと離れ離れなわけで」
駅のホームで、蒼汰がため息をつく。
「ここでお別れするの寂しいなぁ。せっかく恋人になれたのに……」
ホームで子供のようにしょんぼりする彼に、詩音は思わず笑った。
「またすぐ東京に来るんだよね?」
「うん。土日は工場動かないから……来週、仕事が済み次第すぐに行くよ。でも……」
新幹線に乗り込んだ詩音を見て、蒼汰はふと、その端正な顔をゆがませた。
「やっぱり……やっぱり、僕も今一緒に帰ろうかな、うん、そうしよう」
蒼汰が新幹線に乗り込む。
詩音はそれを押しとどめた。
「そうちゃん、それはさすがに。私のために仕事をほったらかすなんてさ、良くないよ」
すると蒼汰は、責めるような切ないまなざしで詩音を見上げた。
「嫌だよ……この状況、僕すっごくきついんだ。わかるでしょ?」
蒼汰は言い募った。
「また後で会えるって、頭ではわかってるよ? でも……ここで新幹線に乗ってるしーちゃん見ちゃうと、またしーちゃんがどっか行っちゃうって……怖くて」
なんだかダダをこねる子供のようだが――蒼汰は一応成人しているのだ。詩音は優しく諭した。
「大丈夫、私はいなくなったりしないよ。ちゃんとあのマンションで待ってる。
そうちゃんは、シュガードロップの社長さんでしょ。そうちゃんにしかできない大事な仕事なんだから、そっちに集中しないと」
その時、新幹線出発のメロディが流れ出した。
「僕が社長になったのは、しーちゃんのためなんだよ」
ドアが閉まる。詩音はガラスの向こうの蒼汰に、とりあえず手を振った。
――社長になったのは、私のため?
どういうことなんだろう。さすがにわからなくて、詩音はひとり首をかしげた。
(仕事が趣味、って言ってたし、私のため、とか関係ないよね……?)
しかしそれにしても。詩音は一抱えある荷物を見てため息をついてしまった。
(そうちゃん、やっぱりちょっと、変わってるっていうか……)
今回の出張を思い返して、詩音はひとり目を閉じた。
――ずっと小さなころから、蒼汰は詩音が好きだったと言う。
その『好き』が、ちょっとこう、普通とは違っている。
(勝手にお母さんたちに付き合ってるって言ったり、わ、私の初体験を、盗み聞きしてたり……)
法は犯してはいないが――彼の『好き』は、ちょっと常軌を逸している。
詩音は新幹線の窓から、遠ざかる駅を振り向いた。
ホームの端で、ずっと手を振っている蒼汰の姿が、遠ざかっていく。
その目はただただ一途であった。が。
(もしかしたら、大変な男と付き合う事になっちゃったのかもな……)
そう思いながら、詩音も手を振り返した。
◆
「大きいイチゴ! すごい美味しそう!」
「わー、先輩、ありがとうございます」
月曜日、詩音は食べきれないイチゴを会社にもっていき、フロアの皆にお土産として差し出した。
「ちょっとたくさん買いすぎちゃって。田中くんもどうぞ」
「どうも」
ちょっと不愛想だが、彼もイチゴを口にした。
「おいしいですね、これ」
もちろん部長もである。
「ありがとう佐倉、で、出張はどうだった?」
「実りある時間でした。先方の工場も設備も立派で、今以上の量産も可能だと」
「それは頼もしいな。販路を広げられる」
「ええ」
良かった。いちごで皆のテンションが上がっている。そう思いながら仕事に入ろうとしたとき、部長がこそっと詩音を呼び止めた。
「そういえば、笠原のことだが」
「……彼がどうかしましたか」
「お前が出張に出たこと、気にかけていたぞ。シュガードロップ社長とお前の仲を誤解しているようだったから、説明はしておいた」
詩音は頭を下げた。
「すみません、お気遣いを……」
亮め、まだ会社に迷惑をかけるつもりか……。
詩音はそう思って、内心ため息をついた。
(ちゃんと別れるって話したのにな……落ち度があるのはあっちの方なのに、まだ何か、いちゃもんをつけてくる気なのかな)
今夜はそうちゃんもいないことだし、彼とトラブルを起こさないように気を付けないと。
詩音はそう思いながら、仕事に戻った。
(えーっと、あ、さっそく協力工場からメールが来てる。チェックして返信しなくっちゃ。あと……)
デスクに向かって集中していると、不意に後ろに誰かが立った。
「えー、先輩、これ誰のですか?」
振り向くと、三輪が立っていた。
あまりもう、彼女とかかわりたくはないが……仕事だから致し方ない。詩音は波風を立てないよう冷静に言った。
「ん? このメールは私宛だけど……」
すると三輪は小ばかにしたように言った。
「違いますよ。パソコンじゃなくてこっち」
詩音はデスクにかけられた、詩音の新しいバッグを指さした。
「この白バッグ? 私のだけど……」
「そうちゃん、さすがに買いすぎじゃない……? こんなに悪いよ」
水着どころではない。蒼汰は新しいキャリーバック、通勤用のカバンやスーツ、時計まで、次々に買い込んでいったのだ。
「足りないくらいだよ。しーちゃんと離れてた年月の分の誕生日って思うと」
「いや、その……」
「それに、合理的に考えて必要でしょ? しーちゃんいろいろ、前の家に置いてきちゃってるし、バッグもスーツも、いちいちこっちに来るたびに持ち運ぶの大変だろうし。 一式置いておいた方がいいよ。行き来させてるのは僕だし」
よいしょ、と蒼汰は大きなショップの紙袋を抱えた。
「この服とかは、僕がしーちゃんの実家に届けておくね。で、そうだ、この靴とかバッグは東京用。持って帰って、月曜日から会社で使って。あとお土産のいちごもね」
てきぱき仕分ける蒼汰に、詩音は苦笑しながら受け取った。
「ありがとう。でもさすがに悪いから、あとで建て替えるよ」
「だーめ。プレゼントなのに、野暮なこと言わないで。僕、生まれて初めてショッピングを楽しんだんだから」
「え? どういうこと?」
蒼汰は晴れやかな顔で言った。
「僕、社長になって、けっこう大きなお金を稼いだけど……自分のためにそれを使うって、したことなかったんだよね。趣味は仕事だし、ブランドどかも興味ないし、欲しいものとか特になくて」
「なるほど……?」
人の事を言えた義理ではないが、かなりのワーカーホリックである。
「けど不思議。しーちゃんに着せようとか、持たせようって思うと、あれもこれも欲しくなっちゃったし、選ぶのもすっごく楽しかった。ありがとうしーちゃん」
にこにこ、あんまり楽しそうな顔で言うので、さすがの詩音も否定できなかった。
「そっか……ありがと。そうちゃんって優しいっていうか……ほんと無欲なんだね」
詩音が仕事でかかわってきた若い起業家たちは、皆全身をブランドで固め、持ち物もオフィスもこれでもかといわんばかりにギラギラしているのが普通だった。
それに比べたら、蒼汰はかなり質素で、自然体に感じる。
「えー? 無欲? 僕が?」
しかし、蒼汰はクスクス笑った。
「物欲はないかもしれないけど、独占欲は人一倍だよ」
笑顔ながらもその目はじっと詩音を見つめていて、詩音は妙に納得してしまった。
――確かに、普通の人が持ち合わせている物欲や権力欲がない分、そっち方面が半端ない、のかもしれない。
蒼汰は詩音の耳元に唇を寄せた。
「東京戻ったら、またしーちゃんとデートしたい。いい?」
ち、近い近い。ちょっとドキッとしながら、詩音は一歩下がった。
「いいっていうか……戻ったら同じ部屋に住んでるわけだし」
そう考えると、もうずっと、四六時中蒼汰と一緒なのだ。
しかし、蒼汰は肩を落とした。
「そうは言っても、今日はしーちゃんと離れ離れなわけで」
駅のホームで、蒼汰がため息をつく。
「ここでお別れするの寂しいなぁ。せっかく恋人になれたのに……」
ホームで子供のようにしょんぼりする彼に、詩音は思わず笑った。
「またすぐ東京に来るんだよね?」
「うん。土日は工場動かないから……来週、仕事が済み次第すぐに行くよ。でも……」
新幹線に乗り込んだ詩音を見て、蒼汰はふと、その端正な顔をゆがませた。
「やっぱり……やっぱり、僕も今一緒に帰ろうかな、うん、そうしよう」
蒼汰が新幹線に乗り込む。
詩音はそれを押しとどめた。
「そうちゃん、それはさすがに。私のために仕事をほったらかすなんてさ、良くないよ」
すると蒼汰は、責めるような切ないまなざしで詩音を見上げた。
「嫌だよ……この状況、僕すっごくきついんだ。わかるでしょ?」
蒼汰は言い募った。
「また後で会えるって、頭ではわかってるよ? でも……ここで新幹線に乗ってるしーちゃん見ちゃうと、またしーちゃんがどっか行っちゃうって……怖くて」
なんだかダダをこねる子供のようだが――蒼汰は一応成人しているのだ。詩音は優しく諭した。
「大丈夫、私はいなくなったりしないよ。ちゃんとあのマンションで待ってる。
そうちゃんは、シュガードロップの社長さんでしょ。そうちゃんにしかできない大事な仕事なんだから、そっちに集中しないと」
その時、新幹線出発のメロディが流れ出した。
「僕が社長になったのは、しーちゃんのためなんだよ」
ドアが閉まる。詩音はガラスの向こうの蒼汰に、とりあえず手を振った。
――社長になったのは、私のため?
どういうことなんだろう。さすがにわからなくて、詩音はひとり首をかしげた。
(仕事が趣味、って言ってたし、私のため、とか関係ないよね……?)
しかしそれにしても。詩音は一抱えある荷物を見てため息をついてしまった。
(そうちゃん、やっぱりちょっと、変わってるっていうか……)
今回の出張を思い返して、詩音はひとり目を閉じた。
――ずっと小さなころから、蒼汰は詩音が好きだったと言う。
その『好き』が、ちょっとこう、普通とは違っている。
(勝手にお母さんたちに付き合ってるって言ったり、わ、私の初体験を、盗み聞きしてたり……)
法は犯してはいないが――彼の『好き』は、ちょっと常軌を逸している。
詩音は新幹線の窓から、遠ざかる駅を振り向いた。
ホームの端で、ずっと手を振っている蒼汰の姿が、遠ざかっていく。
その目はただただ一途であった。が。
(もしかしたら、大変な男と付き合う事になっちゃったのかもな……)
そう思いながら、詩音も手を振り返した。
◆
「大きいイチゴ! すごい美味しそう!」
「わー、先輩、ありがとうございます」
月曜日、詩音は食べきれないイチゴを会社にもっていき、フロアの皆にお土産として差し出した。
「ちょっとたくさん買いすぎちゃって。田中くんもどうぞ」
「どうも」
ちょっと不愛想だが、彼もイチゴを口にした。
「おいしいですね、これ」
もちろん部長もである。
「ありがとう佐倉、で、出張はどうだった?」
「実りある時間でした。先方の工場も設備も立派で、今以上の量産も可能だと」
「それは頼もしいな。販路を広げられる」
「ええ」
良かった。いちごで皆のテンションが上がっている。そう思いながら仕事に入ろうとしたとき、部長がこそっと詩音を呼び止めた。
「そういえば、笠原のことだが」
「……彼がどうかしましたか」
「お前が出張に出たこと、気にかけていたぞ。シュガードロップ社長とお前の仲を誤解しているようだったから、説明はしておいた」
詩音は頭を下げた。
「すみません、お気遣いを……」
亮め、まだ会社に迷惑をかけるつもりか……。
詩音はそう思って、内心ため息をついた。
(ちゃんと別れるって話したのにな……落ち度があるのはあっちの方なのに、まだ何か、いちゃもんをつけてくる気なのかな)
今夜はそうちゃんもいないことだし、彼とトラブルを起こさないように気を付けないと。
詩音はそう思いながら、仕事に戻った。
(えーっと、あ、さっそく協力工場からメールが来てる。チェックして返信しなくっちゃ。あと……)
デスクに向かって集中していると、不意に後ろに誰かが立った。
「えー、先輩、これ誰のですか?」
振り向くと、三輪が立っていた。
あまりもう、彼女とかかわりたくはないが……仕事だから致し方ない。詩音は波風を立てないよう冷静に言った。
「ん? このメールは私宛だけど……」
すると三輪は小ばかにしたように言った。
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