44 / 73
王妃
しおりを挟む
「エカテリーナ様!お迎えにあがりましたのに…」
カエラが慌てて扉に近寄る。
「カエラ!!そんな時間がもったいないわ。気にしないで。ほら、リリアーヌちゃんが困ってしまって…」
(可憐なる妖精は、少々強引…な一面をお持ち?アレク様は、王妃様に似たのかな…?)
私はスプリングが素晴らしいソファから立ち上がると、前に進み、
「この度はお招き並びにおもてなし頂き、誠にありがとうございます。キース国フォンデンベルグ侯爵家が長女、リリアーヌでございます」
カーテシをした。
「お顔をあげて?リリアーヌちゃん」
王妃のリリアーヌちゃん?!に驚くも、笑顔、笑顔!
「まぁ……!お人形さんみたいに可愛いのねぇ」
お、お人形さん?わ、私が?
妖精みたいな王妃様にお人形さんと言われ戸惑いを隠せない。
「あの子が来るまでお話いたしましょう!リリアーヌちゃん」
はっきり言って押しが凄い、王妃……!
「……ハイ、カシコマリマシタ」
王妃がソファに腰をかけると、私にも着席を促した。
その後、王妃からはまるで尋問の如く根掘り葉掘り質問が飛んでくる。
(アレク様は何でも王妃様にお話されてるのね……)
どのみち筒抜けのため商会のこと、現在の侯爵家のことなど包み隠さずお話させて頂いた。
私自身、恐れ多くてそんなつもりはなかったが未来の花嫁候補の話が気になるといったところだろうか?
「ごめんなさいね。あの子からいろいろ話を聞いていたからたくさん質問してしまって……。本当にリリアーヌちゃんはいい子ね~。単刀直入に言うわ。あの子の婚約者にならなくて?どう?親のわたくしが言うのもあれですけど、あの子優良物件よっ!わたくしもリリアーヌちゃんが気に入ったわ!」
「王妃様……っ!何と恐れ多い……。私なんかが殿下に嫁ぐなど……」
「あの子のことは嫌い?」
「いえ、そうではなくて……」
「あの子は次期国王にはならないから、婿入りでも構わないわっ!どのみち公爵か何かにと思っていたから……」
エカテリーナ様の押しの口調は本当に凄い……!!
「……失礼ながら申し上げますと、私と殿下が知り合いましてまだ日が浅く、もう少し時間が欲しいと申しますか……」
「……うふふっ。わかったわ。ここにいる間はたくさんお話しましょう?」
ふうぅ……と王妃の口撃をやっとかわしたと思っていたところに、アレク殿下が現れた。
「母上!!もういらしたのですか……!!リリーが驚いてしまうので後ほどお伺いしようと思っていたのですが……」
「待ちきれなくて来てしまったわ!もう、本当にリリアーヌちゃんってばいい子ね~。早く婚約しちゃいなさい!」
エカテリーナ様はアレク様の肩を押すと、アレク様が苦笑いしながら私に視線を向けた。
「母上が済まなかった……。お茶は口に合ったかな?」
「アレク様、お気遣いありがとうございます。先ほど、カエラにも話したのですが、私ナッツを使ったスイーツが大好きで……。さすが王宮のパティシエですね。どれもとっても美味しく頂きました!」
アレク様はなんだかほっとされた表情でカエラがサーブした紅茶を口にした。
「では、もうしばらくしたら王宮を案内しよう。夜は……その両親と一緒に晩餐にしないか?」
私は思わず手にしていた薔薇のカップを落としそうになってしまった。
「……皆様と晩餐ですか?」
契約に来ただけだったはずなんだけど……?と思いながら、周りからじわりじわりと何かを固められている気がしてならなかった。
カエラが慌てて扉に近寄る。
「カエラ!!そんな時間がもったいないわ。気にしないで。ほら、リリアーヌちゃんが困ってしまって…」
(可憐なる妖精は、少々強引…な一面をお持ち?アレク様は、王妃様に似たのかな…?)
私はスプリングが素晴らしいソファから立ち上がると、前に進み、
「この度はお招き並びにおもてなし頂き、誠にありがとうございます。キース国フォンデンベルグ侯爵家が長女、リリアーヌでございます」
カーテシをした。
「お顔をあげて?リリアーヌちゃん」
王妃のリリアーヌちゃん?!に驚くも、笑顔、笑顔!
「まぁ……!お人形さんみたいに可愛いのねぇ」
お、お人形さん?わ、私が?
妖精みたいな王妃様にお人形さんと言われ戸惑いを隠せない。
「あの子が来るまでお話いたしましょう!リリアーヌちゃん」
はっきり言って押しが凄い、王妃……!
「……ハイ、カシコマリマシタ」
王妃がソファに腰をかけると、私にも着席を促した。
その後、王妃からはまるで尋問の如く根掘り葉掘り質問が飛んでくる。
(アレク様は何でも王妃様にお話されてるのね……)
どのみち筒抜けのため商会のこと、現在の侯爵家のことなど包み隠さずお話させて頂いた。
私自身、恐れ多くてそんなつもりはなかったが未来の花嫁候補の話が気になるといったところだろうか?
「ごめんなさいね。あの子からいろいろ話を聞いていたからたくさん質問してしまって……。本当にリリアーヌちゃんはいい子ね~。単刀直入に言うわ。あの子の婚約者にならなくて?どう?親のわたくしが言うのもあれですけど、あの子優良物件よっ!わたくしもリリアーヌちゃんが気に入ったわ!」
「王妃様……っ!何と恐れ多い……。私なんかが殿下に嫁ぐなど……」
「あの子のことは嫌い?」
「いえ、そうではなくて……」
「あの子は次期国王にはならないから、婿入りでも構わないわっ!どのみち公爵か何かにと思っていたから……」
エカテリーナ様の押しの口調は本当に凄い……!!
「……失礼ながら申し上げますと、私と殿下が知り合いましてまだ日が浅く、もう少し時間が欲しいと申しますか……」
「……うふふっ。わかったわ。ここにいる間はたくさんお話しましょう?」
ふうぅ……と王妃の口撃をやっとかわしたと思っていたところに、アレク殿下が現れた。
「母上!!もういらしたのですか……!!リリーが驚いてしまうので後ほどお伺いしようと思っていたのですが……」
「待ちきれなくて来てしまったわ!もう、本当にリリアーヌちゃんってばいい子ね~。早く婚約しちゃいなさい!」
エカテリーナ様はアレク様の肩を押すと、アレク様が苦笑いしながら私に視線を向けた。
「母上が済まなかった……。お茶は口に合ったかな?」
「アレク様、お気遣いありがとうございます。先ほど、カエラにも話したのですが、私ナッツを使ったスイーツが大好きで……。さすが王宮のパティシエですね。どれもとっても美味しく頂きました!」
アレク様はなんだかほっとされた表情でカエラがサーブした紅茶を口にした。
「では、もうしばらくしたら王宮を案内しよう。夜は……その両親と一緒に晩餐にしないか?」
私は思わず手にしていた薔薇のカップを落としそうになってしまった。
「……皆様と晩餐ですか?」
契約に来ただけだったはずなんだけど……?と思いながら、周りからじわりじわりと何かを固められている気がしてならなかった。
56
あなたにおすすめの小説
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
赤貧令嬢の借金返済契約
夏菜しの
恋愛
大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。
いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。
クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。
王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。
彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。
それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。
赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。
【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
はじめまして、旦那様。離婚はいつになさいます?
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
「はじめてお目にかかります。……旦那様」
「……あぁ、君がアグリア、か」
「それで……、離縁はいつになさいます?」
領地の未来を守るため、同じく子爵家の次男で軍人のシオンと期間限定の契約婚をした貧乏貴族令嬢アグリア。
両家の顔合わせなし、婚礼なし、一切の付き合いもなし。それどころかシオン本人とすら一度も顔を合わせることなく結婚したアグリアだったが、長らく戦地へと行っていたシオンと初対面することになった。
帰ってきたその日、アグリアは約束通り離縁を申し出たのだが――。
形だけの結婚をしたはずのふたりは、愛で結ばれた本物の夫婦になれるのか。
★HOTランキング最高2位をいただきました! ありがとうございます!
※書き上げ済みなので完結保証。他サイトでも掲載中です。
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
拝啓 お顔もお名前も存じ上げない婚約者様
オケラ
恋愛
15歳のユアは上流貴族のお嬢様。自然とたわむれるのが大好きな女の子で、毎日山で植物を愛でている。しかし、こうして自由に過ごせるのもあと半年だけ。16歳になると正式に結婚することが決まっている。彼女には生まれた時から婚約者がいるが、まだ一度も会ったことがない。名前も知らないのは幼き日の彼女のわがままが原因で……。半年後に結婚を控える中、彼女は山の中でとある殿方と出会い……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる