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王宮庭園と招かざる者
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王妃の突撃訪問を何とか乗り越え、晩餐というなの囲い込み作戦の前にアレク様と一緒に王宮を散策することになった。
明日は一日、商会の契約や仕事の話をすることになっていたから今日は王宮でのんびりと過ごしてほしいとアレク様がおっしゃる。
(……のんびりと言われても、のんびりな感じじゃないけどね……)
普段使用人扱いな私が、王宮になぜか客人扱いで滞在なんて少し前なら考えられなかったけれど、アレク様と出会えて私はとっても嬉しかったのは事実だった。
「リリー?」
アレク様がさりげなく手を差し伸べる。私は一瞬ためらったけれどもエスコートの手を取った。
(男性の手ってやっぱり大きくて温かいのよね……)
ふとレイの温もりを思い出す。
「今、あいつのこと少し考えただろう?」
アレク様がぼそっとつぶやいた。
「……?!」
私は咄嗟に声が出なかったが、表情でばれてしまったようだ。
「……今は、俺だけのことを考えて、リリー?」
額に唇を落とすアレク様。その吐息だけで倒れてしまいそうなほどの色気があった。
「この薔薇園はね、母上がとても大事にしているんだ。手入れも見事だろう?あとで晩餐の時に薔薇園の話をするととても喜ぶと思うよ」
アレク様に連れられて来た薔薇園は本当に見事で、数十種類の薔薇が色とりどりに咲き乱れていた。
「あそこの四阿で少し休憩しようか?」
私は頷くとアレク様は私の手を引きながらゆっくりと四阿に向かった。
四阿が前方に見えてきたところで、アレク様が立ち止まる。四阿には、令嬢と護衛、侍女がいるように見えた。
「……ちょっとここで待っててもらえるかな?」
アレク様が四阿に一人で向かう。
(先約がいるのに、割り込むのは悪いわよね……)
私はそれを伝えようとアレク様の後を追った。
「アレク殿下!!お久しぶりですわっ」
その令嬢はアレク様を見るなり駆け寄るほどの勢いだった。
身なりからして私よりもだいぶ高貴な身分なのが分かった。
「……システィーナ嬢。どうしてここに?」
あきらかにアレク様の口調は嫌がっていたが、このご令嬢はそれをもろともせずにがんがんと攻めてくる。
「もちろん殿下に会うためですわっ!」
これが侍女カエラが言っていた殿下は女性に人気がある……ということね。
殿下は明らかに嫌そうだけれどもご令嬢のその熱意には拍手を送りたいほどだった。
「……殿下、そちらの女性は?」
アレク様の背後にいた私に気がついたご令嬢が私を見つけて説明を求めた。
(やっぱり、あそこで待っていればよかった感じよね……)
アレク様に心の中でごめんなさいを送った。
「……私の大事な客人だ」
「……大事な客人?お名前を教えてくださらないの?」
さすがに身分が下の者から挨拶しないわけにいかなかった。
「……キース国フォンデンベルグ侯爵家が長女、リリアーヌでございます」
ご令嬢の表情が一瞬変わったのを見逃さなかった。
明日は一日、商会の契約や仕事の話をすることになっていたから今日は王宮でのんびりと過ごしてほしいとアレク様がおっしゃる。
(……のんびりと言われても、のんびりな感じじゃないけどね……)
普段使用人扱いな私が、王宮になぜか客人扱いで滞在なんて少し前なら考えられなかったけれど、アレク様と出会えて私はとっても嬉しかったのは事実だった。
「リリー?」
アレク様がさりげなく手を差し伸べる。私は一瞬ためらったけれどもエスコートの手を取った。
(男性の手ってやっぱり大きくて温かいのよね……)
ふとレイの温もりを思い出す。
「今、あいつのこと少し考えただろう?」
アレク様がぼそっとつぶやいた。
「……?!」
私は咄嗟に声が出なかったが、表情でばれてしまったようだ。
「……今は、俺だけのことを考えて、リリー?」
額に唇を落とすアレク様。その吐息だけで倒れてしまいそうなほどの色気があった。
「この薔薇園はね、母上がとても大事にしているんだ。手入れも見事だろう?あとで晩餐の時に薔薇園の話をするととても喜ぶと思うよ」
アレク様に連れられて来た薔薇園は本当に見事で、数十種類の薔薇が色とりどりに咲き乱れていた。
「あそこの四阿で少し休憩しようか?」
私は頷くとアレク様は私の手を引きながらゆっくりと四阿に向かった。
四阿が前方に見えてきたところで、アレク様が立ち止まる。四阿には、令嬢と護衛、侍女がいるように見えた。
「……ちょっとここで待っててもらえるかな?」
アレク様が四阿に一人で向かう。
(先約がいるのに、割り込むのは悪いわよね……)
私はそれを伝えようとアレク様の後を追った。
「アレク殿下!!お久しぶりですわっ」
その令嬢はアレク様を見るなり駆け寄るほどの勢いだった。
身なりからして私よりもだいぶ高貴な身分なのが分かった。
「……システィーナ嬢。どうしてここに?」
あきらかにアレク様の口調は嫌がっていたが、このご令嬢はそれをもろともせずにがんがんと攻めてくる。
「もちろん殿下に会うためですわっ!」
これが侍女カエラが言っていた殿下は女性に人気がある……ということね。
殿下は明らかに嫌そうだけれどもご令嬢のその熱意には拍手を送りたいほどだった。
「……殿下、そちらの女性は?」
アレク様の背後にいた私に気がついたご令嬢が私を見つけて説明を求めた。
(やっぱり、あそこで待っていればよかった感じよね……)
アレク様に心の中でごめんなさいを送った。
「……私の大事な客人だ」
「……大事な客人?お名前を教えてくださらないの?」
さすがに身分が下の者から挨拶しないわけにいかなかった。
「……キース国フォンデンベルグ侯爵家が長女、リリアーヌでございます」
ご令嬢の表情が一瞬変わったのを見逃さなかった。
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