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晩餐
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殿下ご一家との晩餐に参加するため、私はカエラ始め侍女軍団に全身を磨きに磨かれていた。
もちろんドレスの色は、エメラルドグリーン。
宝石もエメラルド。
(しつこいくらいの殿下の色だ……)
あからさま過ぎるが、まあそういうことなのだろう、と理解した。
「今晩は身内だけのごく内輪の晩餐なので、リラックスして参加してね、と王妃様からの言付けでございます」
その内輪のメンバーがメンバーだ。
(リラックス……は無理だ……)
支度が済むと、アレク様が丁度迎えに現れた。
アレク様は先程から衣装替えなさり、自分の色であるエメラルドグリーンのスーツに、私の色であるブルーを基調にした小物が取り入れられていた。
「リリー、急遽手配したドレスだから既製品だが、本当に良く似合っているよ」
「……ありがとうございます、アレク様」
「それと……。先程はすまなかった。断じてあの公爵令嬢とは清い関係だ」
あまりに必死なアレク様がとても可愛く見えて仕方ない。
「アレク様、分かっております。謝らないで下さい。楽しい晩餐が台無しになりますよ?」
アレク様の顔が青くなったり、赤くなったり。
晩餐では今度は私の番かな?
「では、参ろう。リリー?」
私は場違いになるであろう今夜の戦場に向かった。
晩餐会場はアレク様曰く私が畏まらないように小さめのダイニングが選ばれたそうだ。
参加者は、国王、王妃、王太子夫妻、アレク様と私だ。
明らかに私如きが場違いだし、何だか回りから固める感が半端ない。
晩餐会は和やかにスタートした。
王太子様はアレク様と顔の作りも似てらっしゃる。
(国王様の面影ね……)
ちなみに、王太子妃はあの公爵令嬢の姉だそう。
本日のプチびっくりだった。
そのためか、王妃と王太子妃から謝罪があった。
皆様からは、リリーと呼ばれる間柄になり、恐れ多い。
「リリー、システィーナはね、小さい頃からずっとアレク殿下一筋なのよ。でも、まず私が王家に嫁いだ関係で、パワーバランス的にあの子が殿下と結ばれることはないわ」
王太子妃はシスティーナ嬢と比べると、かなり理智に富み、穏やかな性格なようだ。
(システィーナ嬢もある意味可哀想よね…。愛する人と結ばれたいだけなのにね……)
おまけに、自分から見たら格下の隣国の侯爵令嬢を殿下が見初めてしまった。
きっと自分に素直な方で、真っ直ぐな性格なのだろう。ある意味、羨ましかった。
晩餐のお料理もどれも美味しく、さすが王宮だった。
「リリーちゃんはもう帰国してしまうのでしょう?私、寂しいわ。ねぇ、アレク?リリーちゃんに留学してもらったら?貴族学院に通えなくて残念だったようだし……」
王妃様のまさかの提案に、私以外の皆様が賛同している。
「リリー、どう思う?」
アレク様の縋るような視線が突き刺さる。
「……すみません。突然の申し出に驚いてしまいまして。でも、とても嬉しいです。ありがとうございます。少し考えさせて頂いても宜しいでしょうか?」
留学なんて考えたこともなかった。
商会のこともあるし、何より留学する=アレク様と一緒になる、と言うことになるのだ。
(しっかり考えないと………!)
そして、この和やかな晩餐が終了した後にとんでもない事件が起きるなんてその時は思いもしなかった。
もちろんドレスの色は、エメラルドグリーン。
宝石もエメラルド。
(しつこいくらいの殿下の色だ……)
あからさま過ぎるが、まあそういうことなのだろう、と理解した。
「今晩は身内だけのごく内輪の晩餐なので、リラックスして参加してね、と王妃様からの言付けでございます」
その内輪のメンバーがメンバーだ。
(リラックス……は無理だ……)
支度が済むと、アレク様が丁度迎えに現れた。
アレク様は先程から衣装替えなさり、自分の色であるエメラルドグリーンのスーツに、私の色であるブルーを基調にした小物が取り入れられていた。
「リリー、急遽手配したドレスだから既製品だが、本当に良く似合っているよ」
「……ありがとうございます、アレク様」
「それと……。先程はすまなかった。断じてあの公爵令嬢とは清い関係だ」
あまりに必死なアレク様がとても可愛く見えて仕方ない。
「アレク様、分かっております。謝らないで下さい。楽しい晩餐が台無しになりますよ?」
アレク様の顔が青くなったり、赤くなったり。
晩餐では今度は私の番かな?
「では、参ろう。リリー?」
私は場違いになるであろう今夜の戦場に向かった。
晩餐会場はアレク様曰く私が畏まらないように小さめのダイニングが選ばれたそうだ。
参加者は、国王、王妃、王太子夫妻、アレク様と私だ。
明らかに私如きが場違いだし、何だか回りから固める感が半端ない。
晩餐会は和やかにスタートした。
王太子様はアレク様と顔の作りも似てらっしゃる。
(国王様の面影ね……)
ちなみに、王太子妃はあの公爵令嬢の姉だそう。
本日のプチびっくりだった。
そのためか、王妃と王太子妃から謝罪があった。
皆様からは、リリーと呼ばれる間柄になり、恐れ多い。
「リリー、システィーナはね、小さい頃からずっとアレク殿下一筋なのよ。でも、まず私が王家に嫁いだ関係で、パワーバランス的にあの子が殿下と結ばれることはないわ」
王太子妃はシスティーナ嬢と比べると、かなり理智に富み、穏やかな性格なようだ。
(システィーナ嬢もある意味可哀想よね…。愛する人と結ばれたいだけなのにね……)
おまけに、自分から見たら格下の隣国の侯爵令嬢を殿下が見初めてしまった。
きっと自分に素直な方で、真っ直ぐな性格なのだろう。ある意味、羨ましかった。
晩餐のお料理もどれも美味しく、さすが王宮だった。
「リリーちゃんはもう帰国してしまうのでしょう?私、寂しいわ。ねぇ、アレク?リリーちゃんに留学してもらったら?貴族学院に通えなくて残念だったようだし……」
王妃様のまさかの提案に、私以外の皆様が賛同している。
「リリー、どう思う?」
アレク様の縋るような視線が突き刺さる。
「……すみません。突然の申し出に驚いてしまいまして。でも、とても嬉しいです。ありがとうございます。少し考えさせて頂いても宜しいでしょうか?」
留学なんて考えたこともなかった。
商会のこともあるし、何より留学する=アレク様と一緒になる、と言うことになるのだ。
(しっかり考えないと………!)
そして、この和やかな晩餐が終了した後にとんでもない事件が起きるなんてその時は思いもしなかった。
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