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第3章 竜の襲撃
3.8.4 竜との生活
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ティアマト指導の下、僕とエイミーが打ち合いの稽古をしていた。
本気の打ち合いをというので、二人ともガンガンに飛ばしていた。
エイミーの剣を飛ばしたことで油断した僕は最後に足蹴りの一撃をもらい、20mぐらい飛ばされた。
それほど吹き飛ばされた割にはなぜかダメージがなくて、すぐに立ち上がった。
これど、今回は降参。
体力的に限界だった。足がプルプルしていた。
「ジルベール様、大丈夫ですか」
練習を見ていたトシアキとレイブリングさんが走って確認に来た。
「ああ、たぶん大丈夫」
「ふえー、無事なんだろうとは思ってたけど、なんであれだけの攻撃を受けても大丈夫なの? あらためて不思議だわジルちゃんは」
「こらエイミー、9歳の子供相手に本気で蹴りを入れる馬鹿がいるか。
いくらティアマト様が回復魔法を使えると言っても、魔力消費が馬鹿にならんのだからな」
「いやー、ついね。つい」
え、本気だったの。まあでも怪我してないし。
「ジルちゃん丈夫だね。良かった良かった。いやー骨折させたかと思ってひやっとしたよ。まさか最後の蹴りがそのまま入ると思わなかったよ」
「いえ、油断しちゃいました。
剣の戦いだから蹴りが来ると予想してなくて、焦ったら体が反応しなくて」
「そっか。まあ予想外の攻撃がないと訓練にならないからよかったね。
僕の指導はジルちゃんの経験になったということで。
それにしても、9歳でここまで身体強化が使いこなせるとはすごいね。
でも、不思議なんだけど、なんとなく僕の軌道を魔力検知じゃなくて眼で見てる?
その割には魔力の変化もわかってるよね」
「魔力の可視化だよ。僕は魔力が見えるから。
エイミーは僕が瞬転で移動しても解っていたみたいだけど、あれが魔力検知なの」
「あれは魔力検知と勘さ」
「勘。まさか」
「ひらめきとも言う」
「怪しくなってきた」
「まあ良いじゃない。そうかジルちゃんは魔力検知ができないか。
ジルちゃんでもできないことあるんだね。ちょっと優越感。
でも、魔力検知って使うのは簡単だよ。
こう、ぶわっと魔力を感じればよいんだよ」
「ぶわっと?
それじゃわかんないよ」
「目を閉じてみると良い。
私は父様からそうやって習得するように教わった。
目を閉じたまま相手と真剣で打ち合えばすぐだ」
「いや、それはすぐにあの世じゃないの。
ところで、エイミーはどうやって身につけたの?」
「僕は小さい頃から自然に。みんな、なんでわかんないだろうね」
「エイミーは、天才肌の感覚派なんだね」
「いやだなー。そんなに褒めないでよ」
うん、バーニィに似ている。だから、教えるのが下手。
「でも、さっきのアイデアはよさそうだな。
よし、目隠しして周りを感じてみよう。
あれ、なんにもわかんないし、耳に注力しちゃうんだけど。
「耳に集中しちゃう。なにかコツってあるの」
「うーんとね。魔力をばーと外に。そんだけかな」
だからエイミーの話は分からないんだって。
「魔力を薄く広げるのだ。外にゆっくりと広げていけばわかる。
簡単に得られる能力ではないのだから、焦らずゆっくりとやればよい」
ティアマトが補足説明をしてくれた。
目隠した状態で魔力を外に薄く広げて感覚を研ぎ澄ます。
声の聞こえたあたりにいる人を捉える。
なんとなくそのうちに一人が近づいてきて、なにか振りかぶった?
右手の剣を頭の上にあげた。バンと音と共に衝撃。
「すごいね。もうできるようになったの。やっぱりジルちゃんは実践派だね」
目隠しを取ると目の前にエイミーが模造剣で攻撃したようだ。
「いやいや。今の危なかったって」
「うむ、突然何をするかと思ったが、エイミー殿はやるな。
しかし、父様の言うようにやはり実際にやる方がよいのだな」
気になってステータスを確認する。
いきなり魔力検知のレベルが6に上がっていた。
どういうこと?
実践で覚えるにしても、いきなり6まで上がるってどういうことよ。
スキルアップの速度が早いとかそういう類ではない。まるで前から覚えていたレベルに戻ったみたいな。
「ショックだ。こんな方法でスキルレベルが急上昇した。
エイミーの仲間と言われるのか。魔力検知のレベルが1から急に6だって。どういうことだよ」
「まあ、結果良ければすべてよし。
じゃあ、これからも目をつぶって訓練しようね」
エイミーの流派は剣と打撃を組み合わせた流派だ。僕もそれを習っている。
エイミーの流派を極めるためには、剣だけでなく柔軟、パンチ、蹴り、絞め技、投げといろいろとミックスされた訓練をしなければならない。
毎日これを繰り返し、打ち合いはある一定のルールで縛り練習をする。
普段は身体強化を使わずに地力を高める。
たまに身体強化を全力で使って慣れる。
こういった訓練にティアマトは付き合ってくれた。
ただ、どちらかというとエイミーと練習をしてそれを僕が見て覚える感じだった。
僕は見取稽古が多いのだが、見て考えろと言われているのでよく見て二人の技を研究しているのだ。
本気の打ち合いをというので、二人ともガンガンに飛ばしていた。
エイミーの剣を飛ばしたことで油断した僕は最後に足蹴りの一撃をもらい、20mぐらい飛ばされた。
それほど吹き飛ばされた割にはなぜかダメージがなくて、すぐに立ち上がった。
これど、今回は降参。
体力的に限界だった。足がプルプルしていた。
「ジルベール様、大丈夫ですか」
練習を見ていたトシアキとレイブリングさんが走って確認に来た。
「ああ、たぶん大丈夫」
「ふえー、無事なんだろうとは思ってたけど、なんであれだけの攻撃を受けても大丈夫なの? あらためて不思議だわジルちゃんは」
「こらエイミー、9歳の子供相手に本気で蹴りを入れる馬鹿がいるか。
いくらティアマト様が回復魔法を使えると言っても、魔力消費が馬鹿にならんのだからな」
「いやー、ついね。つい」
え、本気だったの。まあでも怪我してないし。
「ジルちゃん丈夫だね。良かった良かった。いやー骨折させたかと思ってひやっとしたよ。まさか最後の蹴りがそのまま入ると思わなかったよ」
「いえ、油断しちゃいました。
剣の戦いだから蹴りが来ると予想してなくて、焦ったら体が反応しなくて」
「そっか。まあ予想外の攻撃がないと訓練にならないからよかったね。
僕の指導はジルちゃんの経験になったということで。
それにしても、9歳でここまで身体強化が使いこなせるとはすごいね。
でも、不思議なんだけど、なんとなく僕の軌道を魔力検知じゃなくて眼で見てる?
その割には魔力の変化もわかってるよね」
「魔力の可視化だよ。僕は魔力が見えるから。
エイミーは僕が瞬転で移動しても解っていたみたいだけど、あれが魔力検知なの」
「あれは魔力検知と勘さ」
「勘。まさか」
「ひらめきとも言う」
「怪しくなってきた」
「まあ良いじゃない。そうかジルちゃんは魔力検知ができないか。
ジルちゃんでもできないことあるんだね。ちょっと優越感。
でも、魔力検知って使うのは簡単だよ。
こう、ぶわっと魔力を感じればよいんだよ」
「ぶわっと?
それじゃわかんないよ」
「目を閉じてみると良い。
私は父様からそうやって習得するように教わった。
目を閉じたまま相手と真剣で打ち合えばすぐだ」
「いや、それはすぐにあの世じゃないの。
ところで、エイミーはどうやって身につけたの?」
「僕は小さい頃から自然に。みんな、なんでわかんないだろうね」
「エイミーは、天才肌の感覚派なんだね」
「いやだなー。そんなに褒めないでよ」
うん、バーニィに似ている。だから、教えるのが下手。
「でも、さっきのアイデアはよさそうだな。
よし、目隠しして周りを感じてみよう。
あれ、なんにもわかんないし、耳に注力しちゃうんだけど。
「耳に集中しちゃう。なにかコツってあるの」
「うーんとね。魔力をばーと外に。そんだけかな」
だからエイミーの話は分からないんだって。
「魔力を薄く広げるのだ。外にゆっくりと広げていけばわかる。
簡単に得られる能力ではないのだから、焦らずゆっくりとやればよい」
ティアマトが補足説明をしてくれた。
目隠した状態で魔力を外に薄く広げて感覚を研ぎ澄ます。
声の聞こえたあたりにいる人を捉える。
なんとなくそのうちに一人が近づいてきて、なにか振りかぶった?
右手の剣を頭の上にあげた。バンと音と共に衝撃。
「すごいね。もうできるようになったの。やっぱりジルちゃんは実践派だね」
目隠しを取ると目の前にエイミーが模造剣で攻撃したようだ。
「いやいや。今の危なかったって」
「うむ、突然何をするかと思ったが、エイミー殿はやるな。
しかし、父様の言うようにやはり実際にやる方がよいのだな」
気になってステータスを確認する。
いきなり魔力検知のレベルが6に上がっていた。
どういうこと?
実践で覚えるにしても、いきなり6まで上がるってどういうことよ。
スキルアップの速度が早いとかそういう類ではない。まるで前から覚えていたレベルに戻ったみたいな。
「ショックだ。こんな方法でスキルレベルが急上昇した。
エイミーの仲間と言われるのか。魔力検知のレベルが1から急に6だって。どういうことだよ」
「まあ、結果良ければすべてよし。
じゃあ、これからも目をつぶって訓練しようね」
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エイミーの流派を極めるためには、剣だけでなく柔軟、パンチ、蹴り、絞め技、投げといろいろとミックスされた訓練をしなければならない。
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たまに身体強化を全力で使って慣れる。
こういった訓練にティアマトは付き合ってくれた。
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