転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.14.4 王都からの帰還

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皆でお茶を飲みながらの話だ。
「わたくし、第3王子の婚約者候補には残りましたが、辞退しようと思っていますの」
 イザベラ様が唐突に話し始めた。こんな大事な事を僕らに言っても良いのだろうか。

「イザベラ様、それは僕らに話しても良い内容ですか。ご両親は?」
「大丈夫よ。両親にも話したわ。好きになさいと言われているから」
「そうですか、それなら」
 僕が安心したという顔をしたら、隣にいたアマーリエ様が理由を尋ねた。
「そうね、今まではクリシュナ様が筆頭候補だったけど、それにエレノア様も加わったでしょ。そうするとね、一緒にいると、私の埋没感がすごいのよ」
 エレノアとクリシュナ様とイザベラ様は全くタイプが違う。どちらかと言うと二人の方が似ているか。
「そう、君は君で特徴があると思うけど」
「ええ、それは解っています。でも理由の一つはエレノア様ね」
「エレノアが? 何かするとは思えないけど」
「エレノア様は、公爵家の養女として恥ずかしくない所作よ。とても子爵家の子とは思えないわ。ジルベール様の妹として育てられていたと聞いてましたが、それにしてもできすぎよ。私が少し武闘派と言うのもあるけど、二人と並ぶと明らかなのよ。私とはレベルがちがうわ」
「ああ、それ解る。私もあの二人とは並びたくないわ」
 カーリンサンチェ様がそういうと、アマーリエ様は隣の頷いている。
「そうでしょ。二人とも完璧なのよ。令嬢として。
ただでさえ私は見た目でキツメに見える。そうすると年齢が一つ違うというのもあって、わたくしはどうしても姉役。
それに、第3王子はジルベール様と同じ年。そして良く二人が並ばれているでしょ。
そうするとあの方も弟のように思えてしまうのよ。
まあ、そもそもわたくしが年上の方を好んでいるのもあるけど、ダメなのなのよね」
 なるほど。第3王子は第1王子がいるせいか、少し幼い感じもする。そうなるとイザベラ様が年上好きなら、合わないわな。

「それに、エレノア様の方は魔法がものすごくお上手。
わたくしが勝っている点は金眼を持つことぐらい。それだとクリシュナ様がいる。
年齢も、一つ下の方が可愛く見える。
これだと、勝負する気にもなれないわ。負けと言われて評価が下がる前に抜ける方が良いと思ったのよ」
 ああ、それは解る。

「確かに、フィリップ王子はちょっと兄を頼りすぎの幼さがある。
第1王女にくっついて育ったのもあって、姉を頼ろうとするのもたまにあるし。
まあ、イザベラ様が彼とくっつけば、彼は楽だろうけどイザベラ様の為になるかと言えばそうも思えない。その上、ここで候補から外れると残り物と言われる気がすると言うのも解る。辞退はありだね。確かに」
 うんうんとうなずきながら話すと、皆もうなずいていた。
「ジルベール様もしっかりとされていると思いますが、第1王女は年上ですよね。やっぱり男性は、しっかり者の女性の方が良いのですか」
「うーん、僕の場合は年上とかそういうのは関係ないかな。
第1王女も第2王女も最初に会った時に解ったんだ。あっ、結婚する相手だって。
そういえば、アメリ母様も言ってたし。
運命の人は会った時にそうだと解るんだって。
だから、年上とか年下とか関係ない相手だったんですよ、
たまたま政略的にもちょうど良い相手だった、それだけですよ。
イザベラ様も、まだ時間はあるでしょ。
そうと解る相手が出てくるかもしれませんよ」
「まあ、素晴らしい話。夢のようね。良いわねお二人は。
こんなにも思ってくださる殿方に出会えて」
 両手を合わせて祈るような感じで上を見上げながら息を吐くアマーリエ様。

「他人ののろけ話は、呪いたくなりますわね」
 きつめの感想を言うイザベラ様。
「今度、王女様に会った時にのろけ話を伝えておきますね。きっと喜びますよ。お二人とも。お二人とも本当にジルベール様の事がお好きのようですもの」
 まともそうな意見を言う、カーリンサンチェ。

 その後で、たわいの無い話をした後で、夜の食事会は終わった。

 もちろん夜に盗賊が出るなどのイベントは発生しない。
 外には野営をしている数十名の騎士達がいるのだからありえないだが。
 そして、無事に朝を迎えた。

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