転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.15.4 海賊船との攻防戦

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「そうか、では質問を変えようか。ラルクバッハの王都で誘拐した貴族からお金を受け取ったのは君たちのうちの誰かか? お金を受け取った後で、瞬転で逃げたんだろう」
「ああ、そうだ。俺は転移ができる。せっかく捕まえたのに残念だったな。隙をみて、絶対に逃げてやるからな」

「君が使えるのは転移ではなく、瞬転だ。転移は、見えないほどの長距離を飛ぶ力だ。
君たちの空間魔法のレベルでは、転移魔法を使えない。それにそもそも総魔力量が足りない。確かに普通の貴族に比べると魔力は多いようだけど。瞬転は、見える範囲でしか飛べないし、飛んでも最大で200m程度だ。
君たちが使えるのはこの力。それも連続3回ほどが上限だろう。
僕は、転移もできるし、瞬転で移動しても後を探れる。君たちが僕から逃げるのは不可能だ」
「お前みたいな子供に負けるはずがない」
相手の言うことは無視して、自分の言いたいことを伝える。
「それと、聞きたいことはもう一つ」
『日本語がはなせる人がいるかい? メリーナ様の加護を受けた転生者がいないか』
 日本語で話しかけてみたが、どうだろうか。
 ライと呼ばれている子は、僕の顔をまじまじと見る。
 もしかしたら彼は言葉が解るのか?
『なぜこの言葉を話せる。これは、夢の国で使われる言葉だろう』
 16歳なら記憶があると思ったが、バンガロール子爵と一緒か。
『どうやら、前世を完全に思い出したわけでは無いようだね。
夢か。確かに。夢とも言えるのかもな。僕はその夢の国で育った記憶を持つ転生者だ』
『転生者、僕もなのか』
『恐らくそうだろう。後で教会に行けば女神メリーナ様の力で思い出せるかもしれない。
転生者だと仮定すると、君は貴族の出だ。女神メリーナ様は全員を貴族に転生させると言っていた。君が平民でこんな海賊をやっているのはおかしい』
 これで一つ確信もでた。鑑定で見えている裏の名前が元の名前なのだろう。
「君は貴族で、ミルディン・サイクリプト と言う名前だ」
「貴族? メリーナ?」

「君達も、元は貴族だろう、記憶は無いのか?」

「俺たちは捨て子だ。親に捨てられたのを船長が拾って、育ててくれたんだ」
「船長。ああ、あの黙ってる人か。しょうがないな。
レクティレイス・アーモナイド。君が船長だよね。今の話は本当なのか」
「なぜ俺の名前が解った」
 質問に質問で答える。こちらの言うことを聞く気が無いと言うことか。
「君が拾って育てたと言っているが本当かと聞いている。質問に答えろ」
「ああ、俺が育てた」
「質問に答えろ。拾ったのか、本当に。
本当は、捨て子ではなく、誘拐した貴族の子供だろう。
空間魔法のスキルを持っていたから便利だと思い、返さずに自分の手元に残し育てた。
そうだろう。嘘をついても解っているのだぞ」

「お前、なぜそれが解る。そういうスキル持ちか、畜生。ふん、だが俺はしゃべらないぞ」

 その一言を聞いた3人は、驚愕の顔で船長をにらんだ。

「若手に同じ様な人が多くいるな。皆、希少魔法スキルを持っている。
似た境遇か。
どうやら君たちは単純に加害者として裁くわけにはいかないようだ。
だからと言って被害者だとも言い切れない。
罪は償う必要があるだろうが、他の加害者とは違う扱いになるように進言しよう。
特に、君たち以外の誘拐されたと思われる人物は後で調べよう」

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