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第5章 シドニア訪問編
5.1.4 冬の終わり
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領主館に兵舎を立てている間に
雪はどんどんなくなっていく。
ブルンスワードへ行くための直通の道も通れるようになってきたので、一番に乗り込み馬車が通れるようにきちんと作り直さなければいけない。
最初に穴を大きくするのだが、人が来てしまうとまずいので反対側に進入禁止として、人を残し、安全を確保してから穴を大きくする。一度空いた穴があるので方向も気にする必要はないし、一度やった経験から二度めはかなり楽に感じた。
そして、最後にアメリ母様が計算してくれた場所に休憩所を設置する。そしてトンネルとトンネルの間を平らにして、トンネルの穴を巨大にして、片側は宿屋、片側は商人が商売をできる建物を作った。
そこへ、あらかじめ調べた場所から水を引き込み生活ができるようにしたが、雪はトンネルの屋根が防いでくれるが、水は氷る。燃料さえあれば雪を溶かして生活できるだろうが、そもそもトンネルと街をつなぐ道が雪で塞がれるのだ。冬の生活は無理だろう。
夏だけの管理者を雇うつもりだとアメリ母様は言っていた。
便利でなければ、今までの道を通るだろうからとアメリ母様が説明してくれた。多くの商人は自分が売り歩く物を持って移動する。自分の食事や水で荷物の場所が塞がれるのは嫌がるからだ。移動が目的の旅人なら途中に何もなくても野営して進むが、多くの商人は馬に与える水場があり、夜になると宿屋がある道を選ぶそうだ。
自分が物流を担う場合でもその方が確かに良い。安物を提供したいからと自らの生活レベルまで落として移動する者がどの程度いるのか。確かに、物流費用が高くなるのも納得だ。
こうして、春に向けての仕掛けが一通り終わると、春の風が吹き始め新緑が芽吹き始める。畑が耕され、種まきが始まり、商人も活発に動き始める時期だ。
もうじき、商人たちがクロスロードに集まってくるので収納の魔道具の貸し出しも始まる。
そんな日を前に、今日は、リリアーナ母様を連れて王宮へ行くことになっていた。
いつも通りメリルディーナ公爵家に移動して、馬車で王宮へ向かう。
アメリ母様は、まだまだ油断できない時期だから家でおとなしくしている。
「リリアーナ母様、今日の用事の内容を聞いていますか」
「ええ、もちろん。前に言ったでしょ」
「え、何をでしょうか」
「バーニィの事よ」
「ああ、出戻るって件ですか」
「おそらく、そうよ」
「まさか、フィンレワードで会ったときにはちゃんと王宮魔導士らしくしてましたよ」
「それはそうでしょう、あなたと一緒に居たのですから実力はあるのだから当たり前でしょ」
「じゃあ、どうして」
「そろそろ、預けた部下の成長が思わしくないとばれているころよ」
……
そうかもしれない。
「あとは、もしかしたら王子や王女を含めて金眼の子供達を預かる話が出るかもしれないわ」
「は? なんでですか」
「学園に行っている者を除けば、この時期は活動的に動けるチャンスよ。第2王子と第2王子、それに第1王女、他の公爵家、侯爵家の金眼の子供達。その子達を伸ばすにはあなたに預けた方が良いでしょ」
「冬の間の事を考えるとそうかもしれませんね」
「まあ、わたしの予想ではそんなところね」
「え、ってことは、今日の呼び出しの内容はリリアーナ母様もちゃんとは知らないのですか」
「ええ、もちろんよ。言った話が合ってるなら、特に王子たちの移動を伴うのだもの。手紙にも書けるわけないでしょ」
「ああ、なるほど」
「逆に手紙にも書かれていないから、予想できるのよ」
「いや、予想できるのはリリアーナ母様だけだと思いますよ」
「まあ、あなたもそのくらいの事ができるようになりなさい。魔道具の研究ばかりしていないで、情報を得るのも大切な事よ」
「はい、とてもよくわかりました」
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新作です。
「女の子みたいな容姿の年下はやっぱりダメですか?」
こちらの作品もよろしくお願いします。
雪はどんどんなくなっていく。
ブルンスワードへ行くための直通の道も通れるようになってきたので、一番に乗り込み馬車が通れるようにきちんと作り直さなければいけない。
最初に穴を大きくするのだが、人が来てしまうとまずいので反対側に進入禁止として、人を残し、安全を確保してから穴を大きくする。一度空いた穴があるので方向も気にする必要はないし、一度やった経験から二度めはかなり楽に感じた。
そして、最後にアメリ母様が計算してくれた場所に休憩所を設置する。そしてトンネルとトンネルの間を平らにして、トンネルの穴を巨大にして、片側は宿屋、片側は商人が商売をできる建物を作った。
そこへ、あらかじめ調べた場所から水を引き込み生活ができるようにしたが、雪はトンネルの屋根が防いでくれるが、水は氷る。燃料さえあれば雪を溶かして生活できるだろうが、そもそもトンネルと街をつなぐ道が雪で塞がれるのだ。冬の生活は無理だろう。
夏だけの管理者を雇うつもりだとアメリ母様は言っていた。
便利でなければ、今までの道を通るだろうからとアメリ母様が説明してくれた。多くの商人は自分が売り歩く物を持って移動する。自分の食事や水で荷物の場所が塞がれるのは嫌がるからだ。移動が目的の旅人なら途中に何もなくても野営して進むが、多くの商人は馬に与える水場があり、夜になると宿屋がある道を選ぶそうだ。
自分が物流を担う場合でもその方が確かに良い。安物を提供したいからと自らの生活レベルまで落として移動する者がどの程度いるのか。確かに、物流費用が高くなるのも納得だ。
こうして、春に向けての仕掛けが一通り終わると、春の風が吹き始め新緑が芽吹き始める。畑が耕され、種まきが始まり、商人も活発に動き始める時期だ。
もうじき、商人たちがクロスロードに集まってくるので収納の魔道具の貸し出しも始まる。
そんな日を前に、今日は、リリアーナ母様を連れて王宮へ行くことになっていた。
いつも通りメリルディーナ公爵家に移動して、馬車で王宮へ向かう。
アメリ母様は、まだまだ油断できない時期だから家でおとなしくしている。
「リリアーナ母様、今日の用事の内容を聞いていますか」
「ええ、もちろん。前に言ったでしょ」
「え、何をでしょうか」
「バーニィの事よ」
「ああ、出戻るって件ですか」
「おそらく、そうよ」
「まさか、フィンレワードで会ったときにはちゃんと王宮魔導士らしくしてましたよ」
「それはそうでしょう、あなたと一緒に居たのですから実力はあるのだから当たり前でしょ」
「じゃあ、どうして」
「そろそろ、預けた部下の成長が思わしくないとばれているころよ」
……
そうかもしれない。
「あとは、もしかしたら王子や王女を含めて金眼の子供達を預かる話が出るかもしれないわ」
「は? なんでですか」
「学園に行っている者を除けば、この時期は活動的に動けるチャンスよ。第2王子と第2王子、それに第1王女、他の公爵家、侯爵家の金眼の子供達。その子達を伸ばすにはあなたに預けた方が良いでしょ」
「冬の間の事を考えるとそうかもしれませんね」
「まあ、わたしの予想ではそんなところね」
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「ええ、もちろんよ。言った話が合ってるなら、特に王子たちの移動を伴うのだもの。手紙にも書けるわけないでしょ」
「ああ、なるほど」
「逆に手紙にも書かれていないから、予想できるのよ」
「いや、予想できるのはリリアーナ母様だけだと思いますよ」
「まあ、あなたもそのくらいの事ができるようになりなさい。魔道具の研究ばかりしていないで、情報を得るのも大切な事よ」
「はい、とてもよくわかりました」
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