転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.2.5 春の訪れと共に

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 さて、こんな感じで子供たちは問題がなかったのだが、無詠唱の習得が進まないのは大人だ。つまりバーニィ達の部下。
 ついでに、殿下たちの護衛に来た騎士達の魔力検知。こっちはさすがのお母さまの予想もしていなかった。
「それは、トシアキからもエイミーからも報告にも上がってなかったと思うのだけど」
 はい、そうでした。
 やらかしたのは私です。
 あれ、そういえばあの時、後ろからこっそりエイミーがつけて来てたはずだけど。でもエイミーも僕と同じように魔力検知の習得に困らなかったから、意識しないか。

 そんな感じで、バーニィの部下と、騎士達にまずは基礎の魔力操作を習得しレベルを上げて貰っているのだが、大人になってしまったからなのか子供たちに比べると習得が遅い。
 子供用に作ってクロスロードの冬の館で使っていたが魔力操作のおもちゃ。これで魔力の流れを感じとりやすくしているのだが、それでも子供達の何倍も遅い。
 大人だから楽しめないことも原因かもしれない。

 期限は決まっているので、基礎を上げつつその先の事を教えていく。
 魔導士には、多少なりとも科学を教える。イメージを持つことが無詠唱のコツの一つだ。それには物が燃える仕組みや、温度、流体や固体の違いなど基礎的な事を知っておかなければならない。
 それらの科学に関する学問がまったく発達していなかったわけではない。
 バーニィが王都に行ってから無詠唱を教える時に、僕から聞いていた内容に一致する文献を探していた。
 全く同じでは無かったが、昔の魔導士が似たような内容を大別して記載した資料があったのだ。完全な科学とは一致しないが、魔法を使った現象との一致性を考えるとすべてを修正する必要はなさそうだった。逆に間違った内容の方が魔法との相性が良いのでそのまま教えることにした。

 あとは、お手本を見せれば大丈夫だろう。
「ジルベール様の魔法は威力がありすぎます。もう少し威力を落とせませんか。その威力の魔法を見せられると怖くて魔法が撃てません」
 バーニィと言うお手本があるのだ、大丈夫だろうと言うことにしておこう。
「バーニィがちゃんと先生になってるんだね」
「はい、出番があって良かったですよ。教え方もわかって来ました」
「コツ? ちなみにどうやるの」
「はい、あの二人。あの二人は私と違って教えるのが上手い。だから僕はあの二人だけに集中して教えます。残りはあの二人が教えれば良いのです」
「なるほどね。良いじゃない」

「後は魔力検知か。騎士たちどうしようかな」
「教えるのがエイミーじゃあ無理でしょ。トシアキはどうしたんですか」
「トシアキはクロスロードの新人たちの教育に回したよ。それに教えを受けたい人としてエイミーを指名して来たのは彼らだからね。教え方はうまいけど無名のトシアキ。教え方は下手だけど剣王のエイミー。バーニィならどっちに剣を習いたい」
「なるほど。わたしは知っているのでトシアキですが、知らない人はエイミーに習いたいでしょうね。自分も剣王を目指したいと思うなら特に」
「そうなんだよ。自分にそれだけの才能があるなら直感型のエイミーに付いて行けると思うけど、どうも彼らは平凡ではないけど、そこまででも無い」
「あ、それ本人の前で言ったらだめですよ、ジルベール様」
「わかってるよ」
「そんな感じじゃあ、とりあえずは放置したいところですね」
「いままではそう思ってエイミーに任せてたんだけどね。だから剣術のレベルは上がったんだけど、頼まれてるのは魔力検知の能力アップなんだよね」
「もう少しほっといても良いじゃないですか。脳筋ばかりなのでしょう。エイミー流の魔力検知の練習でそのうち一人ぐらいコツを掴むじゃないですか。それで運が良ければそいつが教え上手ってこともあるじゃないですか」

「エイミー流の魔力検知って目をつぶっている相手に切りかかるやつだよ。期待できると思う?」
「思いませんが、そういう者達は切羽詰まって追い立てられると壁を突破するものですよ。ジルベール様が手を煩わす必要もありませんよ」
「そんなもんかな」
「はい、ジルベール様はなんだかんだでお優しすぎますよ」

「そうかな」
「大丈夫ですよ。大丈夫」
「はー、バーニィにエイミーか。二人とも大器だねー」
 ほんと、二人はのんびり屋なのか、似ていると言えば似ているのだけど。
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