転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.3.1 シドニアへ移動する前

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 春からの商業ギルドで貸し出したアイテムボックス。
 この事業はとても人気が高く順調だ。
 アイテムボックスは、軍事転用の禁止条項は記載されているが他国への流出が懸念されていた。なので、契約はあくまで1年間のレンタル。1年半以内に領地に戻してキーの更新をしなければ開けられなくなる制約が付いている。
 なので、購入ではなくレンタルなるのだ。
 それによって初期費用も抑えてあるので、商人側にも優しい仕組みだ。
 同時に、倉庫の貸し出しや取引所などをリリアーナ母さんとアメリ母さまが準備していたので、クロスロードは流通の拠点となりえそうだ。
 それに王都に抜けるための新しい道も出来上がっている。その噂はすぐに広まった。新しい道はそれなりに通行料を取っているが、山越えとは言え馬車が通れる道がつながっているので難所は無い。距離も短くかなりの時短になる。物によるが、通行料以上に儲かるのだ。
 こうして初版で貸し出した3000個のアイテムボックスは余ることなくすべてレンタル契約が結ばれた。
 残念だが今年の追加登録は予定されていない。来年はもっと数を増やすので、予約受付中だ。

 そんな感じで領地の運営は順調だ。もちろん、アメリ母さまのお腹も順調に育っている。夏から秋の間に生まれるそうなので、年の離れた弟か妹が楽しみだ。

 時が順調に進むと、第1王子のシドニア行きが始まる。
 結局、行きは地道に移動し、帰りは転移で時短するそうだ。なので、すでに王都を護衛隊が出発している。
 王様と王妃様が一緒の馬車でずっと移動し、新婚旅行の時以来の長旅だそうだ。だがお付きの者が領都に到着するたびに転移門で移動し、書類を持って来るのであまりゆっくりとした時間は過ごせないそうだ。
 どうやら移動中は、旅行では無いらしい。

 その部隊が来週にはクロスロードに到着する。

「ルカディレック王子、陛下達の旅は順調だそうです。来週には到着されるそうですので、移動の支度をお願いします。と言っても、もう準備万端でしょうけど」
「まあ、なんだ。腰を落ち着けるように荷ほどきしてしまったからな。1週間後か、大丈夫だよな」
「ええ、シドニア行の物品は大半そのままですよ。殿下は大丈夫でしょうけどサフィーナ様は大丈夫ではないかもしれませんけど」
「そうなのか?」
「ええ、こちらに来てからもドレスをお直し、いえ新作を作ってましたから」
「あれは、針子まで連れて来ていたのか」
「シドニアから来た商人が新しい絹の反物を持って来たそうで、シドニアで着るために新作を作ることになったそうです。リリアーナ様が紹介したクロスロードの針子を雇ったようです」
「クロスロードの針子か、地元に金を落としているのなら良いだろう。がそれが間に合わないのか」
「おそらく大丈夫かと。丁度よろしいので、たまには婚約者様との二人だけでお茶会をしませんか。きっと新作のドレスを見せてくれますよ」
「ああ、そうしてくれ。ではジルベールすまないが」
「はい、僕もスザンヌとマリアテレーズのところへ行ってきます」

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