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第5章 シドニア訪問編

5.3.2 シドニアへ移動する前

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「ジルベール様、これどうですか?」
「二人とも、新作ドレスか。形も似せたんだね。殆ど色違いな感じだね」
 スザンヌが淡い青のドレスで、マリアテレーズがピンクだ。
「サフィーナ様は紫なんです」
「紫、それはなんだか大人びた感じだね」
「そうですよね。あとはエレノア様が黄色、クリシュナ様が緑です」
「へー、みんな作ったんだ。良く間に合ったな」
「ジル様が寡婦の方々が働ける場所を用意されたのでしょ。そこの職人で十分足りましたよ。元ドレス職人の方もちゃんといたので、その方の指示で皆さま動かれてました。とても優秀な方々をお雇いになっていたのですね。わたくし次のドレスもクロスロードの方に頼もうと思ってますわ」
「わたくしもです。ジルベール様のお育てになられた施設ですから。わたくしもそうしたいです」
「ありがとう、スザンヌにマリアテレーズ。二人の王女からまた注文が入れば、皆の励みになると思う」

「微力ながら、協力できるのなら良かったです。ジル様からは受け取るばかりだったから」

「さて、じゃあ1週間後に陛下達が到着される。陛下達はクロスロードの新しい商業施設を見学されて、3日後に出発されるそうだ。皆の修行の成果も見られるらしいよ」
「そう、陛下にしっかりと見て貰わなくちゃ」
「わたくしの成果はお見せできませんよ。わざわざお怪我をさせるわけにもいきませんし」
「マリアテレーズ様は重症者の治療はまだ禁止ですよ」
「実力は付いてきましたわ」
「僕も女神メリーナ様から治癒魔法は大きくなるまではなるべく使うなと言われていました。理由は良くは知りませんが、まだ力はセーブした方が良いと思います。僕も治療魔法は使うことを最小限にしてますよ」
「そういえば、ジル様は積極的には活用していませんね。騎士たちの治療もしないし」

「治療魔法を頻繁に受けると自己治癒力が下がります。ですから王城でマリアテレーズ様の練習台になってもらった方は、同じ人が重ならないように管理して頂いております。治癒は治療する側にも影響を及ぼしますから、重傷者は抵抗ができるまでは止めた方が良いでしょう」
「説明ありがとうコハク」
「いえ」
「シドニアの移動だけど、コハクも付いてくるよね。今更だけど行ってはいけない土地とかあったりする?」
「幻獣ですので、特に行けない土地はありません。あえて言うならダンジョンには入れません」
「え、そうなの」
「はい、ダンジョンは魔の魔力が濃いので、精霊が入りにくい場所です。特に聖属性の精霊が入れません」
「じゃあ、ダンジョンでは精霊魔法が使えないの?」
「聖属性の精霊魔法は使えないと思ってください。後の属性は、威力が落ちますが使えます」
「そうなんだ。ダンジョンの不思議な現象の一つか」
「コテツ様、イシス様、ガルダ様は問題ないと思います。聖獣と呼ばれていますが、聖属性ではなく雷、水、火ですし、神力もありますから」
「なるほど。聖獣だからって聖属性魔法を使っているわけじゃないのか」
「はい」
「じゃあジル様、この後、剣の練習に付き合ってください。わたくしだんだんとエイミー様と打ち合えるようになってきました」
「え、そうなの。それはすごい。身体強化しながら魔力検知を使えるんだ」
「はい」
 スザンヌは、とても良い笑顔での返事をした。成長した姿を見て欲しいと言うことか。

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