転生者はめぐりあう（チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー）

第5章 シドニア訪問編

5.3.3 シドニアへ移動する前

　陛下達がクロスロードに到着した。アメリ母様は具合が悪くなり家で休憩。それ以外の人がお出迎え。
　普通の出迎えと違うのは、すでに王子や王女がこちらにいたことだろうか。

　今日に備えて、領内の貴族の子供たちが演奏やダンスの練習をしていたらしい。さすがに余裕が無く、見に行けなかった。エレノアが知った者が多いからと行ってくれたので助かった。この直前は忙しくて大変だったのだ。

　そんな歓迎を受けて、陛下と1妃のエミリア様が予定された領内を回る。
　見て回ると言っても、クロスロードの中心地は低地と高地にそれぞれ人が集まって生活しているので、自然と施設もその2か所に集まっている。
　見て回ると言ってもそれほど時間がかかるわけではない。

　晩餐になると、高地側に作られた唯一の舞踏会場が使われる。ここは領内のすべての貴族を集めて舞踏会でできる施設。普段は訓練施設に変わったりもするが、大きい施設はここしかない。
　1日目は居なかったが、2日目の晩餐には陛下だけでなくカルスディーナ公爵家も到着された。転移門で移動して来たのだ。これ以降は公爵も一緒に移動する。
　公爵と一緒に居るのは第1夫人のレッシィ様、そして第2夫人のセルニア様も一緒だ。そして最後に成人されたばかりのダリウス様も来ていらっしゃった。つまりこの場にカルスディーナ公爵家の一家が全員そろっている。
　オレリアン様と、クリシュナ様がここでずっと訓練を受けていたので会うのが久しぶりなのだろう。公爵が二人の頭をなでていた。
　オレリアン様はそういう年じゃないと反発するのをセルニア様が笑ってみていた。微笑ましい様子だ。
　明日は、皆の成果を見て貰い午後からは出発式がある。
　短い滞在時間だが、他に比べると1日長いらしいのでクロスロードにそれだけ配慮した形になっているそうだ。
　2日目の夜の晩餐にアメリ母様もやって来た。見た目、そこまで目立たないが妊婦と言うのはわかる。最初の挨拶の時に、陛下から声をかけて貰っていた。陛下も楽しみにしていると言ってくれたが、再び金眼の子が生まれるとは思えないので期待しないで欲しい。
　アメリ母様からまたも金眼の子が生まれたら、絶対に転生者だと思う。それどころか、僕の予想では、アメリ母様から転生者が生まれる確率は高いのではないかと思っている。
　僕が生まれる下地は難しいのだと、以前メリーナ様が言っていた気がする。今回も両親揃って血筋は殆ど変わらない。そうなると、確率的には金眼の子供でかつ異世界転生者と言うのはあり得るのだ。
　それを前提に考えると、出来れば他の人と同じように幼少時には記憶を持っていないと方が良いと思う。メリーナ様が失敗しないことを祈るだけだ。

　3日目、午前中に王子達を含む全員の能力向上結果を確認している。
　陛下がみるのは自分の子供と公爵家や侯爵家の子供達だけだ。バーニィ達や近衛の結果は軍部の上司が確認するので、僕も放置。子供たちに比べると成果は今一つだが、今までの練習を続けて上昇するレベルではないはずなので、大丈夫だろう。
「うーむ。子供たちの成長に驚きを隠せんな。わしも執務の空きで鍛錬はしたが、ここまで成長するとは。預けたかいがあったとは思う。うむ」
　成長した姿は親としては嬉しいが、先を行かれたのがショックということかな。
「これほどの成長が見込めるのならば、教育のやり方を見直すべきではないか。どうだレグルス」
「そうですね。私もそう思いますが、現状はまともな指導者がジルベール一人という状況ではどうしようもありませんな。魔導士と近衛が若干名成長しているようなので、一般の物には一般の魔導士や騎士が教えらえる方法を考えるべきでしょう」
「そうじゃな、今回の方法は特殊じゃった。受ける者もそれに応じた資質のある者ばかり。確かにそのままでは学院では教えられんな」
「ええ、陛下。少し時間はかかりますが、なるべく早急にカリキュラムの変更にこぎつけられるようにします」
「そうか、頼むぞカルスディーナ公」
「は」

　大人の間で僕が居なくても習得できる仕組みを考えると言うのだからそれは任せよう。これから先も直接魔力を見ながら指導していたら大変だもんな。
　しかし、鑑定の魔道具があるんだ、もしかしたら魔力を見る眼鏡が作れるのではないだろうか。
　変な思い付きが頭によぎるとそちらにリソースが割かれる。
　賢者の能力で並列思考の能力があるが油断すると並列すべてがそちらの思い付きに割かれてしまうようだ。注意しないとまずいまずい。