転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.12.4 防衛戦後の始末

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 到着した直後に出た言葉はこれだった。
「じゃあ、僕は休みます。休憩できるところに案内してください」
「はい、わかりました。すぐに」
 到着した侍女さんの1人が走って建物に入ろうとしたが。
「コレット、人前で走ってはなりません」
「えー。こんな時でもですか」
「当たり前です。王宮侍女たる者、いついかなる時で気品を忘れてはなりません」
 この人が今回の侍女達をまとめている人なのだろう。感心していると、その人がこっちを向いて、話しかけてきた。
「ジルベール様、見苦しいところをお見せしました。申し訳ありません。それと、国境からお運び頂きありがとうございました。部屋はこちらになります。わたくしがご案内しましょう、ついてきてください」

 さっき怒っていた時の顔とは違ってとても優しそうな顔で話しかけられた。
 さすがプロだ。変わりようがとてもすごい。

「はい。お願いします」
「では参ります」
 僕が侍女長さんの歩みに合わせて扉の方へ向かう。
 前の方にいた侍女さんたちは、すっと小さな会釈をして僕らよりも先に扉に入って行った。
 彼女が優雅に前を歩いているが、案内をゆっくりとすることで時間を稼いでいるんだ。
 おばあちゃんならゆっくり歩いても文句を言えない。
 まあ、たまにはゆっくりと歩いても問題ないか、僕はのんびりとおばちゃんに付いて行く。
 ようやく、侍女さんが腰を折って待っている部屋に到着した。

 その侍女さんが部屋から飛び出る瞬間が見えたので、本当にぎりぎりだったようだ。微妙な時間調整。プロの技を見せて貰った。
 おばあちゃんと侍女さんが目で語り合い、おばあちゃんが話す。
「では。ジルベール様。この部屋でお休みください。すぐにお茶を用意します」

 僕が部屋に入ると、テーブルと椅子が用意されており、その椅子に座るように案内された。
 おばあちゃん自らお茶を入れてくれるらしい。
「お茶をどうぞ」
 テーブルにはお菓子も用意されていた。
「あ、緑茶だ。うん、おいしい」
 少しぬるいお湯で作られた緑茶は甘みがあり、前世の玉露を思い出した。転生者が作ったのだろうか。
「お気に召しましたか」
「ええ、とてもおいしいお茶ですね」
「ラルクバッハやシドニアでは紅茶が主流ですが、シドニアでは緑のお茶も良く使われます。このお茶はラルクバッハの建国王であるシン様が伝えたと言われているのですが、あの方の没後に完成したのです」
「へー。シドニアの王都巡りをした時には見かけなかったけど」
「最高級の茶葉は、全て王宮に納められています。市井に流れている物はほぼありません。お気に召したようなら、少量ですがお譲りしましょう」
「ありがとう」
「就寝用の服へお着換えを」
 そう言われて、おばあちゃんと若い侍女さんの二人で浴衣のような簡単な物に着替えさせられた。着替えが終わるとワゴンで食事が運ばれてきて。
 簡単に作れる物だけだが、素晴らしい連携だ。
「では、我々はこれで部屋を出ますが、食事が終わりましたらそのままにしておいてください。目覚められましたらそちらのベルを」
「はい、じゃあ休ませ貰います。えっと、丸1日経っても起きないようなら起こしてください」
「夕食の時間でなく、丸1日ですか」
「魔力がかなり減ったので、起きているよりも寝ている方が魔力の回復は早いから。それにかなり疲れたのでそのくらい寝るかも」
「わかりました。では」

 周りの侍女達も一斉に部屋から出て行った。
 僕は、食事を済ませ、ベッドにもぐりこんだ。

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