転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.14.2 シドニアからの帰還

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「やっぱり、呪いが返って来たから?」
「そのようだ。意識は戻ったが魔法が使えなくなっていた。鑑定で見る限り封印となっていたから、呪いの弊害だろう」
「そうなんだ。意識が戻ったなら何か情報は?」
「どんな事を聞きたいのだ?」
「他にもそう言った技術のある者がいるのかとか、あとは精霊を暴走させた魔道具についてかな」

「その二つは質問済みだ。呪いを使って魔物を操る術が使える者はまだ数名いるらしい。だが今回捕まえた祈祷師がもっともレベルが高いと言っていた。自画自賛で怪しいがな。それと精霊を暴走させる魔道具。あれも祈祷師が作っている魔道具らしい。古い文献に書かれていた魔道具で、特殊な材料がひつようなので簡単に作れる物ではないらしい」
「残りはいくつあるの?」
「あれの里にもう一つ残っているそうだ」
「まだあるのか」
「いつか壊しに行かんとな」
「すぐに行くわけじゃないんだ」
「すぐに行く必要はない。一つと言っても、今の段階で使えるわけではないそうだ」
「完成してないってこと。もしくは壊れてるの?」
「壊れている」
「なら大丈夫か」

「そういうことだ」
「じゃあ、この転移ができる人達をどうするか」
「転移板がなければ転移はできないんだ。出来ても瞬転でちょっと移動できるぐらいのこと。我らの里や、我らしか知らぬ悲境に連れて行けば抜け出せんぞ」

「やっぱりそういう考えになるよね。コハクやコテツが捕らえられていた場所はどう?」
「ふむ、あそこならば父様と私、それにジルベールしか知らぬな。そもそも人類はこの数百年たどり着かなかった場所だ。地理的にはクロスロードからそれほど離れておらんが地上からは行けない。水場はあるし、開拓すれば住めるが」

「逆に何も無い。空間魔法以外に魔法が使えなくて、住めるかな?」
「襲ってくるような魔物はおらんが、物資は運び込まんと無理だろう。隔離にはなるが放置すると餓死するぞ」
「やっぱり。でも20人もいるんだからストレージは使えるし物資を持って移動して頑張ってもらうしかないかな」
「ジルベールは、この者達を自由にするつもりなのか?」
「薬漬けで被害者だろ」
「そうだな」
「あ、こっちの人達は自殺用の魔道具は持ってなかったの?」
「魔法禁止で捕縛したからな。怪しい魔道具は外したから大丈夫だ」
「薬の影響は?」
「不本意だが、薬を打ち続けている。今のところは大丈夫だ。あっちでコハク殿の治療が始まっておらんのか?」
「今日、ようやく診断をしてもらうところ」
「そうか」

「ティアマトはどうするべきだと?」
「ジルベールに捕縛を頼まれたから協力はしたが、わらわたちは祈祷師以外には干渉せぬ。そなたらが好きにするが良い」
「ふーん、そういうもの?」
「本来ならば、転移者の捕縛もせぬが、今回は同朋が迷惑をかけておるからな。多少協力しただけだ」

「なるほど、そういう立場か。じゃあ、アルマイクはこの後どうするの?」
「本来はすぐにでも竜の里に戻り修行のやり直しであろうが、我の所為で人社会に混乱の目を与えたのは事実。ここの復旧が終わるまでは治安の安定に協力するつもりだ」
「じゃ、残るんだ。ティアマトは」
「わらわの用事は先ほど終わったからな。ジルベールと共にクロスロードに戻るぞ」

「そっか、クロスロードに戻る日取りは予定通りのつもりなんだ。だからとりあえずシドニアの王城に戻るんだけど、この後、一緒に帰る?」
「ああ、行くぞ」
「あ、でも僕もティアマトも居なくて転移能力者は大丈夫なの?」
「着けている腕輪が魔法力の回復を邪魔しておる。転移ができるほど魔力が溜まらんようになっておるから、勝手に転移できん。それに明日には王都に向かって移動が始まる」
「じゃあ、大丈夫だね。それじゃあ戻ろうか」


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