転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

文字の大きさ
515 / 532
第7章 女神の封印

7.1.6 未踏ダンジョンへの挑戦

しおりを挟む
 31階層は、壁が少し黄色くなっていた。黄金色ではなく、カレーのような色だ。
 出てくる魔物は20階層とそれほど変わらない。
 30階層の階層主だけがレベルが高かったのか?
 そのまま特に何の障害も無く35階層に到達した。
「どうする?」
「30階層から35階層はそれほど難易度は高くなかったけど、地図無しで進んだから少し疲れたよ。戻ろう」
「そうだね、戻るか」

 そうして僕らはダンジョンの入り口に戻った。
 ダンジョンから出る時に門番から声をかけられた。
「30階層をクリアされたのでしょうか」
「ああ、クリアした。35階層から戻ったよ」
「さすがです、できればそのまま冒険者ギルドに顔を出して頂けると助かります」
「冒険者ギルド? なんで」
「ギルド長が30階層の階層主の魔石を確認したいそうです。後は地図を撃って欲しいそうです」
「ああ、なるほど。わかったよ」

 僕らはそのまま冒険者ギルドによってギルド長に魔石を提出して地図も渡した。
 魔石は売って欲しいと言われたのでダンジョンで入手した魔石も含めて納品した。
「それでミノタウロスはどうやった倒したのだ」
「魔法でダメージは与えられませんでしたが、全身を凍らせて行動を止めることができたので、後は剣で切りまくったら倒せましたよ」
「なるほど、倒し方は解ったが、普通の冒険者が簡単にできるのかは不明だな」
「もしかしたらですけど、今後のミノタウロスはもう少し簡単に倒せるかもしれません」
「なぜだ?」
「ミノタウロスを倒したら鎧と斧も残りました。つまり特殊な装備品なので、次の階層主は身に着けていない可能性があります。その場合、魔法をはじく効果は鎧に付与されていましたので、魔法が通用するかもしれません。そして斧ももっと小型のものになるかもしれません」
「そうか、初回のみだった可能性があるのか、念のために装備を整えて調査に行かせてみるか、有益な情報をありがとう、情報料も込みで報奨金を出しておく」

 僕らは、冒険者ギルドを出て再び宿屋へ向かった。

 翌日、僕らはさらに下の階層を目指してダンジョンに入った。
 そして40階層の階層主と相対する。
 40階層の階層主は馬顔だ。
 ケンタウロスらしい。
 ケンタウロスって、上半身が人で下半身は馬じゃなかったのか。
 今回の魔物は顔が馬なだけで30階層のミノタウロスと体型はそっくりだ。
 防具は一緒に見えるが、持っている武器が鞭だ。かなり素早く動き攻防一体の武器になっている。エイミーもクリスタも近づけずに防戦側になった。
 バーニィの氷魔法も弾かれて殆ど到達できず凍らせることができなかった。
「イシス、大量の水をぶつけて、僕が凍らせる」
「わかったのじゃ」
 イシスがミノタウロスで使った時よりも大きな水球を作り出して攻撃する。
 当然だが鞭では迎撃できずに大量の水がケンタウロスに到達した、僕が近づいて水を凍らせ、中に閉じ込めた。
 後は、それを外から切って小さくする。
 最後に溶かして魔石だけをゲット。
 今回は余裕があったので、鎧をゲット。残念ながら鞭は途中に絡まっていたので細切れになってしまった。

「まあ、無事に倒せたかな、エイミーどうしたの」
「2戦つづいてあんまり役に立ってない気がする」
「そんなことないよ。気を引いてくれているから魔法が撃てる。前衛が居ないと魔法を撃つ余裕がないよ」
「そう。なら良いけど。でももっと華々しく活躍したかったよ」
「この傾向が続くと、どんどん厄介な敵が出てくるよ。華々しく活躍して散られると困るから、泥臭くてもちゃんと生き残ってよ」
「それはもちろん。これが終わったら結婚式だしね」
 クリスタとエイミーは8月に結婚予定だ。
 お互いに別々のお相手を見つけるのが面倒だったからと言うわけではない。
 ちゃんとシルビア様に確認して進めたのだ。
 クリスタがエイミーを受け入れるのは簡単だったのが、エイミーがクリスタに興味を持つようにイベントを用意するのはとても大変だった。
 おそらく貴族ルールを持ち出して適当に相手を見つけて結婚させる方が楽だったと思う。
 そうしていろいろな困難を乗り越えて二人がようやく結婚の意思を決めたのだ。
 僕が学園を卒業後に結婚と決めていたが、僕が1年早く卒業となったので、結婚も前倒し、この夏に結婚となったのだ。
 結婚後は二人ともエルドラ王国に行ってしまうがしょうがない。
 だがシルビア様の予想では子供が生まれて数年したらエイミーと子供はラルクバッハに戻るそうだ。
 なぜなら、クリスタは剣神を目指すからだそうだ。
 剣神になるには、まだまだ修行が必要で長い間家を留守にするからエイミーがエルドラにいてもラルクバッハに居ても一緒なので、シルビア様のところにいるよりもラルクバッハに居ることを選ぶはずとのことだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...