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3.1 王子として生まれる

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 前回同様、3歳になった頃に人格が統合され目覚めた。
 ただ目覚め方が明らかに違った。3歳になるまで前世の記憶が無い。3歳の誕生日に、いや正確には洗礼式を受けている最中に目覚めたのだ。
 きっかけは、ウルカヌス神を祭った像を見た時だ。
 神様ってこんな姿なんだ。
 何気に思った時に、神様と話した事を思い出した。そしてその時に姿が見えなかった事それから一瞬で前世の事を思い出した。

「では、幼名アースをアースヴェルギウスと命名する。
ウルカヌス神よ、信者アースヴェルギウスに魔法を授けよ。
そして健やかな成長をお祈りください」
 あ、体の中の鍵が外れる感じ。たぶん魔法を使えるようになった。

 今回の僕は貧民から格上げされなんと王子として生まれたのだ。いきなりの最高位だ。これは何気に嬉しい。まずもって普通に3歳まで生きる事が出来た。
 意識が目覚め、改めて周りを見回すと壮大な場所にいるのだ。幻想的な絵が壁や天井に刻まれ、床の絨毯も分厚い。さすが王家が洗礼を受ける教会なだけはある。
 自分が母親と住んでいる後宮よりも綺麗ではないだろうか。王様のいる王宮本殿もこんな風に綺麗なのかもしれない。
 洗礼を行ってくれた高位と思われるとても良い服を着た人に一礼をして、隣にいた教会関係者に連れられて母親の所へと戻った。
「アース、いえアースヴェルギウス。無事に魔法を授かったかしら」
 アースヴェルギウスの名はさっき聞いたばかりだったが、事前に両親とも話し合っていたのか、そもそも両親が決めていたのか母親は名前を知っているようだ。
「ええ、母上。無事に魔法を習得しました。
ご覧ください。
着火。
洗浄。
照明」
 前回の転生で生活魔法は習得済みだ。この体は前回よりも魔力量も多いようだし問題なく魔法を使えた。
「まあ、アースヴェルギウス。
洗礼を受けた直後に魔法が使えるなんて。
あなた達が魔法の事を教えてくれたのですか?」
 母親が後ろにいた教会関係者に尋ねるが、彼らはぶんぶんと全力で首を振っている。
「では、アースには魔法の才能があるのね。
まだ早いと思っていたけれど、陛下にお願いして先生を付けて貰いましょうね」
「では、文字を読めるようになりたいです。
他にも地図や物語を教えてください」
「ええ、良いわよ。アースはお勉強が好きだったのね」
「はい」
 これでようやく、文字を習得する事ができるぞ。

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