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【18】ドリームカムトゥルー

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「まじでー⁉︎」

 笑いながらカミングアウトする澪に和希と由唯は驚き、思わず大きな声を出してしまった。

「やっぱり澪かぁ~! 水くさいなぁ。もっと早く教えてくれたらよかったのに~!」

 由唯が澪に言うと

「ごめーん。実は、大阪にきた頃に天満でふらっと入ったお店がすごく美味しくて、しかも他のお店にはない珍しいお酒もあって感動したことがあってん。帰ってネットで調べても見つからなくて『えっ? こんなに美味しいお店やのに何処にも載ってないやん』って思ってみんなに紹介したいと思ったのがきっかけやねん」
「そうやったんやー」
「うん、そうやねん。由唯と2人で飲みに行きだした頃には既にブログやっててんけど、せっかく由唯と仲良くなったのにグルメのブログやってるなんて変な奴って思われたくなくて言われへんかってん。その内にフォロワーが増えてしまって……。仲良くなった後も照れ臭くて言われへんかった 笑」
「そうやったん? 澪と飲みに行き始めたのって澪が来てから1年くらいしてからやもんなぁ。でも、変な奴なんて思わんよー 笑」
うん。今はそう思う。最初から言うとけばよかったって」
「でも、澪すごいやん。フォロワー40万人って。《インフルエンサー澪》やな」

 由唯は澪と仲良くなり始めた頃を思い出し、遠い昔を懐かしむように澪と話している。その頃まだ大阪にまだ居なかった和希は、会話に入らず2人の話を黙って聞いていた。

「ありがとう。でも、みんなが知らない美味しいお店をもっと知ってもらいたいって気持ちで始めてんけど、こんなにたくさんの人が読んでくれるとプレッシャーになってきて……」
「うんうん。何となくわかる気がする」
「新しいお店や美味しいお酒を探さないと! って勝手に使命感みたいになってきて、1人で飲みに行っても楽しくなくなってきて……。それで、新しく開拓する時は由唯に声掛けててん」
「最近、初めてのお店多いなぁって思っててん。それでやったんか~!」

ここでようやく和希が口を開いた。

「趣味でやってんねんから使命感みたいなん感じなくてもええんちゃうん?『ここいいなぁ~!』って、思ったお店があったら書いたらええやん?」

「うん。そうやねんけどな……」
「そうやで! 美味しいお店探すのこれからも私一緒に行ったるからー」
「由唯が美味しいの食べたいだけやろ? 笑」 

 和希が言うと由唯はペロッと舌を出して笑った。

「今までは天満中心やったけどエリアもう少し広げたらええんちゃう?」と由唯が言うと
「うん。私もそう思っててんけど1人で遠くまで行くのもなーって思って。由唯? ほんまに一緒に行ってくれる?」
「うん。行く行くー。お店のエリア広げたらフォロワーもっと増えるんちゃう?」
「増えるんかなー? でもフォロワー数を増やすことはあんまり気にしてないねんなー」
「そうなんやー。美味しいお店と美味しいお酒を紹介していきたいんやなー。でも大変やな。美味しいお店探すの……プレッシャーになるのん分かるわー」
「うん。そんなに美味しいお店ばっかりもないしな……」
「確かに。今はどれくらいのペースで更新してんの?」
「週に1回か2回。前の週に行ったお店を翌週中にUPする感じ。仕事帰りとなると近場になるからけっこう行きつくした感あって、週末にたまーに少しエリア広げて行っててん」
「そうやったんやー」
「……」

 2人の会話が一息ついたところで、和希が由唯と澪にデザートは別腹? と聞くと2人は、

「もちろん!」
「最後にデザート頼む?」

和希が2人に聞くと「うん!」と由唯と澪が声を揃えて言った。
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