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完結編 月の獅子の目は彼の者に
二十四話 手をとって
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新品の服を着ると、こう背筋がピンッとする感覚がする。
ダンスをした記憶はもちろん無い、かつてあったとしても、今の僕には知りようもない、だから……だから、誰かと踊るっていうことに、すごいドキドキしてる。
「準備はいいか」
「んー……うん」
落ち着く時間をもらった、だからこそ緊張するものある……考えてても仕方ないか。
広間に続く扉の前、差し出された大きな掌に自分の手を乗せて、優しく握られる、ちょっと安心する。
ちょっと他人事に思いながら、大きな掌、太い腕、広い肩の順に目線を移して最後にエウァルドさんの顔を見ると、エウァルドさん、微笑んでいた。
「ニッキー」
「なーに」
「目標がひとつ、達成できた」
「? 」
「感謝する」
「よくわからないけど、どういたしまして? 」
「あぁ、時間だ」
しみじみな感じで言ったエウァルドさんの言葉と同時に、扉が開いて、中からダンさんがやってきて、中に案内された。
前に一回、屋敷の探検と称してきた記憶を思い起こす。
薄暗くて、広くて声がよく響いたその広間は、今、とても輝いていた。
「おぉ……! 」
輝いていた、シャンデリアの光、柱の灯が全部光っていた。
光に反射して床も光っていた。
一歩、踏み出せば靴の音が大きく響くそして、軍服を着た人たちがみんな名前のわからない楽器を持って、音が、曲が、なんて名前なんだろう。
「踊るぞ」
「え、踊れないよ僕」
「俺の足に乗れ」
「えぇ? 重いじゃん」
「重くない」
腰に回った腕に押されて、中央で向かい合うとエウァルドさんは僕を引き寄せて、言葉通りに僕を浮かせて、足に乗せて、曲に合わせて動き始めた。
「軽い、もっと重くなれ」
「んな無茶な」
「無茶じゃない、もっと、もっと重くなれ」
「こわ、おっ? 」
腰を掴まれて浮き上がってくるっと回って
また足の上に乗せられる。
くるり、くるくると緩やかに曲に合わせたダンスは続いて、ステップの踏み方もなにもわからないまま、エウァルドさんにまっすぐ見られながら、僕もエウァルドさんをしっかりと見る。
「ニッキー」
「なによ」
「何処にも行くな」
「いかないよ、というか行けないよ」
エウァルドさんは一体なにを怖がってるんだろう、こんなに大きくて強そうなのに。
「わかっている、わかっているが不安でたまらない、だから何度でも、何度でも言う」
「えー」
「いなくなられるのは嫌だ……すまん、こんなときに」
「お気にならず、何言ってんだろ位しか感想ないから……何処か行きたいならちゃんというね」
「そうしてくれ」
「おにゃっ」
また抱っこされてくるりと回転した、お腹のあたりがふえってなるから慣れない。
ん?
「ちょっと、何笑ってるの」
なんかニヤッてしたこの人。
「愉快だった」
「あんだとー」
「気に触ったか? 」
「んー、不愉快寄りではあるけど許容範囲内? 」
「よし」
「よしじゃないよなに勝手に納得してるの」
……いやそもそもダンス中になんて会話してるの。
「ところでこの曲っていつ終わるの? 」
「そろそろだ」
話して回って浮いて踊って、話に花を咲かせてなんてしてたらだんだんと曲のボリュームが下がっていって、止まった。
エウァルド主催の踊るうごきもも止まった。
なんか、体がジーンてしてる……。
「ふぅん」
「どうした」
「つかれた……」
されるがままになってるだけでも疲れるもなんだね。
ダンスをした記憶はもちろん無い、かつてあったとしても、今の僕には知りようもない、だから……だから、誰かと踊るっていうことに、すごいドキドキしてる。
「準備はいいか」
「んー……うん」
落ち着く時間をもらった、だからこそ緊張するものある……考えてても仕方ないか。
広間に続く扉の前、差し出された大きな掌に自分の手を乗せて、優しく握られる、ちょっと安心する。
ちょっと他人事に思いながら、大きな掌、太い腕、広い肩の順に目線を移して最後にエウァルドさんの顔を見ると、エウァルドさん、微笑んでいた。
「ニッキー」
「なーに」
「目標がひとつ、達成できた」
「? 」
「感謝する」
「よくわからないけど、どういたしまして? 」
「あぁ、時間だ」
しみじみな感じで言ったエウァルドさんの言葉と同時に、扉が開いて、中からダンさんがやってきて、中に案内された。
前に一回、屋敷の探検と称してきた記憶を思い起こす。
薄暗くて、広くて声がよく響いたその広間は、今、とても輝いていた。
「おぉ……! 」
輝いていた、シャンデリアの光、柱の灯が全部光っていた。
光に反射して床も光っていた。
一歩、踏み出せば靴の音が大きく響くそして、軍服を着た人たちがみんな名前のわからない楽器を持って、音が、曲が、なんて名前なんだろう。
「踊るぞ」
「え、踊れないよ僕」
「俺の足に乗れ」
「えぇ? 重いじゃん」
「重くない」
腰に回った腕に押されて、中央で向かい合うとエウァルドさんは僕を引き寄せて、言葉通りに僕を浮かせて、足に乗せて、曲に合わせて動き始めた。
「軽い、もっと重くなれ」
「んな無茶な」
「無茶じゃない、もっと、もっと重くなれ」
「こわ、おっ? 」
腰を掴まれて浮き上がってくるっと回って
また足の上に乗せられる。
くるり、くるくると緩やかに曲に合わせたダンスは続いて、ステップの踏み方もなにもわからないまま、エウァルドさんにまっすぐ見られながら、僕もエウァルドさんをしっかりと見る。
「ニッキー」
「なによ」
「何処にも行くな」
「いかないよ、というか行けないよ」
エウァルドさんは一体なにを怖がってるんだろう、こんなに大きくて強そうなのに。
「わかっている、わかっているが不安でたまらない、だから何度でも、何度でも言う」
「えー」
「いなくなられるのは嫌だ……すまん、こんなときに」
「お気にならず、何言ってんだろ位しか感想ないから……何処か行きたいならちゃんというね」
「そうしてくれ」
「おにゃっ」
また抱っこされてくるりと回転した、お腹のあたりがふえってなるから慣れない。
ん?
「ちょっと、何笑ってるの」
なんかニヤッてしたこの人。
「愉快だった」
「あんだとー」
「気に触ったか? 」
「んー、不愉快寄りではあるけど許容範囲内? 」
「よし」
「よしじゃないよなに勝手に納得してるの」
……いやそもそもダンス中になんて会話してるの。
「ところでこの曲っていつ終わるの? 」
「そろそろだ」
話して回って浮いて踊って、話に花を咲かせてなんてしてたらだんだんと曲のボリュームが下がっていって、止まった。
エウァルド主催の踊るうごきもも止まった。
なんか、体がジーンてしてる……。
「ふぅん」
「どうした」
「つかれた……」
されるがままになってるだけでも疲れるもなんだね。
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