燃え尽きた貴族が10年後療養してたら元婚約者に娶られてしまいまして

おげんや豆腐

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完結編 月の獅子の目は彼の者に

二十六話 次はきっと もっと楽しく踊れそう

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目を閉じて耳を澄ますと、演奏の音の合間に外の雨音が聞こえた。
目を開けて、前を見れば僕を観察するエウァルドさん。
目線を広間の中央へずらして、後ろにいるであろうダンさんに声をかけた。


「ところで、ひとつお聞きしたいんですけど」
「はいなんでしょう」
中央からそれた場所に椅子とテーブルをセッティングしてもらってそこに溶けてるニッキーでございます。


「メルディアさんと踊ってるあのでっかい人ってどなたです? 」
疲れました、えぇえぇ、えぇ疲れましたとも。

一回踊って練習込みで踊ってさらにもう一回踊って、大変疲れたニッキーです。
息切れとかじゃなくて体がもう無理ね、て気怠くしてる感じの疲れ、新しいもの覚える疲れ&肉体的疲れのコンポよ、というこで、寛いで休憩中なんだけども、演奏してくれた人とかが暇になるらしいのでお好きになさってねー、てしたら演奏する人と踊る人で分かれてパーティー続行である。

くるくる回る人たちを見るのは興味深い、面白い、といった感情が頭に浮かぶので割と好き。


なんだけど楽しそうにしてるメルディアさんと一緒にいるクマみたいな人を僕はみた記憶がない。

「彼氏らしいですよ」
「まじで……?! 」
「あちらの男性側からのアタックで結婚を前提にしているそうですよ」
「えぇ……意外」
「まったくです、仮にも貴族の籍に入っているのですから身元のしっかりした人間を選んでほしいもの……というのは野暮ですね」
「しっかりしていないというと? 」
「傭兵です、彼」
「あぁ、納得かも」
体、クマ、大きさ、クマ、遠目から見たかんじの顔、虎。
 
これで文系ですって言われたら失礼かもだけどギャップ萌えしちゃうわ……なんかエウァルドさん怖い顔してない?

「ニッキー」
「へいなんでしょ」
「俺は安定した暮らしを提供できる」
あん? 

え?

「遠回しに身元安定してないあの人ディスってる? 」
「ちがう、共に暮らすなら俺の方が良い、そういうことだ」
「どゆことよ」
「もっとストレートにものを言いませんと伝わりませんよ」
「他の男をみないでくれ、心配になる」
「どうゆうことよ」
めっちゃ真面目な顔でなにを言ってるの、あとダンさんも、変なの助長させないでおくれ。

「彼、ヴラッドさんを招待した理由としましてはメルディアの相手というのもありますが、以前から街で出没していた不審人物の対処をして頂きまして、お礼も兼ねてお招きしました」
「不審人物? 」
「大きく分けて二つ、明らかに怪しい服装をしている者、もう一つは一見普通の観光客に見せかけて所作や言葉遣いが貴族かぶれの方々などですね、お忍びにしても数が多すぎましたので、彼の束ねる傭兵の皆様にお力添えをと」
「よく受けて貰えましたね」
「メルディアとの仲の進展狙えるから是非に! と」
「えぇー」
「元々脈アリの両思いでしょうにこれ以上なにを進めるんでしょうねー」
「さあー? 」

くるくる楽しそうにしてるメルディアさんとクマさんことヴラッドさんを眺めながらふーんと適当に相槌をうつ。

「ニッキー」
「へいなんでしょ」
「あまり他の男をみないでくれ、悲しくなる」
「なんでよ」
雨が降ってるからかなんか湿っぽいエウァルドさんに引きつつ、ちょっと伸びをする。


よし。

「んじゃあエウァルドさん、最後にもう一回踊りたいです、どうでしょ「踊ろう」 返事が早いよ」
よいしょと立てば目の前に飛んできたエウァルドさんに手を引かれてギュッとされた。


「くるしい」
「少し堪能させてくれ」

あんまり会話が成立してない気がする。





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