燃え尽きた貴族が10年後療養してたら元婚約者に娶られてしまいまして

おげんや豆腐

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完結編 月の獅子の目は彼の者に

獅子 

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天に獅子、地に輝きを、そして底には、夢がある。


誰にも見られず、誰にも見させず、けれど誰かに見つけてほしい、そんな香りの甘い果実から漂う、素敵な香り。
けれどけれど、千年も経てば、新鮮な果実も熟し、腐敗と発酵を繰り返す。


発酵した夢は地上に、天に届き目と鼻を楽しませてくれる、だが、腐敗した夢は何処に?

果実の本体は、何処に実っている?


獅子は上の目で見ていた、砂漠の少ないながらに営もうとする人間達を、その輝きを。
獅子は左の目で見た、呪い燻る妖精の死骸たちを。

残りの目で獅子は見ていた、日陰を好む人間が、胸から心臓を取り出す様を、崩れ落ち、砂に沈んでいく様子を。


止めれば良かったのかもしれない、などと数年に一度考える、だが結果として今もなお輝く光には変えられない。

たまには獅子もまばたきをしたい、だがまばたきをすれば輝きに災いが引き寄せられる、それを止めてくれるのがあの人間だ、ありがたい。


故に、三つの目のうち一つだけ、その者の血を引く人間に向けることにした。
その者が生まれる過程の手助けをした、番を送り、子を設けるよう整えた。
生まれる瞬間の保護をした、自我の成長の助けとなるようにも努めた。
 

代を重ねる事ににマシになっているが、何故自我のない人間を作ろうと思ったのか、夢の考えることはわからない。


今回、奇跡的に生き残った個体がいた、随分と強引な手段を選んだが、生きているだけで価値がある。

記憶と自我が初期化されただけで無く定期的に夢と同期している、そのせいで自我の成長が遅いが、月に招けば解決するだろう、実に喜ばしい。


あぁ、だが、その個体を利用して輝きを損なわせようとする虫共がいる、実に嘆かわしい。


直接手を出すと輝きに怒られる、それは嫌だ、困る。



まあいい、これはまだほんの少し先の未来だ。

何かあった時に行動しよう、それならば怒られないだろう、感謝もされるかもしれない。



さて、頭を休ませる時間だ。



【クアフル、悪いが茶をいれてくれ】
「えー」




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