燃え尽きた貴族が10年後療養してたら元婚約者に娶られてしまいまして

おげんや豆腐

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完結編 月の獅子の目は彼の者に

二十九話 目標探し

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「なにっ、魔術を教えてほしいだと? 」
億劫な行動全般、億劫という理由で行動に移すまでにワンクッション必要な怠惰な自分。

だけどそのワンクッションを乗り越えたのならもう安心(?)

立ち止まらない限りは進み続けられる。

「自分の今後について考えまして、特に良い案思いつかなかったのでとりあえず聞こうかなと」
「とりあえずかいっ、まあいいさ、意欲があるやつは歓迎しようじゃねえか」
「あざす」
「返事も雑っ、まあ弟子だどうのと誘ったのは俺だし別にいいが、んじゃあまずは受講料は「あぁ? 」 は、公爵からの給料の内に入るとして教材費 「ああ? 」も、給料の内だな、でまあ大事なのはやっぱりチップ「おい」 わーってるよ、冗談だ冗談、ニッキーサマ相手だけな」
「特別扱いですか、やったー」
合間合間にダンさんからのドスの聞いた相槌が入るのは、僕に向けてじゃないから聞かないものとしよう。

「ニッキーサマにゃ十分な給料を貰ってるし、貴重な資料を見れている、何より俺の相棒の後継者だ、弟子になりたいって言うのならまぁ……無償って程じゃねえが一般的な魔術師基準の十分の一、いやそれ以下のそれ以下の報酬で迎え入れるさ」
「ならお前への給料を下げてもいいってことか? 」
「それとこれとは別だろうがよ、泣くぞ」
「冗談だ」
「わっかんねえよ真顔で言われると」 
そう、ここまでの会話、ダンさん真顔なのである、アルゴスさんもこれには大ビビリ、当然僕も大変ビビっておりますとも、対岸の火事でも怖いものは怖い。

「ならお前こそ悪い冗談はやめてくれ、思わず手が出る」
「こええよ」
「間違えた、拳が出る」
「もっとこええよ……あー、ニッキーサマに魔術を伝授するのはダン的にはアリか? 」
「ナシよりのアリだ」
「ナシなんかい 後半のアリの意味は? 」
「ニッキー様が魔術師になるのは大反対だが魔術のなんたるかの心得は今後の生活において大いに役に立つだろう、職業としての魔術師になるのだけは流石に許さんが、よろしいですねニッキーサマ、仮に魔術師に等なりたい場合わたくしめがボケ散らかして使い物にならない五十年後あたりに目指してくださいませ」
「どんだけ長生きするつもりなんだよ、化け物じゃ…、へぶっ」
念押しされちゃった、ついでにアルゴスさんの頭に拳がでちゃった、こわ。


「い、ちおう、判断材料として気になるので具体的な魔術師の欠点をもう少しお聴きしても? 」
「勿論でございます、えーコホン、まず魔術師は基本コイツから中途半端に人情と遊びを抜いたムシケラです」
「言葉つんよ」
ピッ、と効果音が聞こえそうな速さでアルゴスさんを指差しちゃった、アルゴスさんぎょってしてる。

「そしてこいつは魔術の腕が無ければ人間のクズです」
「俺のガラスのハートが砕けちまうよ」
「強化魔術ガラスだろうが」
「泣くぜ……」
あぁ、アルゴスさんがメソメソした、憐れ。

「人間のクズにも種類がございますが、ニュアンス的にはコイツの場合いつまでも夢と浪漫を追い求める心が腐っては無いが周りを顧みない自分の快楽に素直なタイプのクズ」
「ボロカスに言いますね」
「えぇ、カスですもの、とはいえそれが嫌いになる理由にはならないのでお気になさらず」
 「ちっとは気にして欲しいんだが、事実だから言い返せねえけどよ」
「ふむ、では少しだけフォローを、彼は自覚しているという点においては情状酌量の余地があります」
「なあそれフォローになるか? 」
「自覚ということは冷静な間はある程度自制が利き、人の意見も取り入れる、出来の悪い新兵と腕前だけは一級品の魔術師のハーフと捉えればギリギリ、ギリギリ許容範囲内です」
「めちゃくちゃギリギリじゃん俺」
「あと数ミリ、例えばニッキー様を誑かして帝国に連れて帰ろうだなんてほざいた瞬間首を切ります」
「こっわ」
「帝国ってどんなところです? 」
「観光だけしに行くんなら最高の国だぜ、治安よし、魔術で発展してるから初見のインパクトよし、お土産品も華やか、そらとぶ馬車も当然ある、だが」
「だが? 」
「よーし住もうってなるととんでもねえピラミッド格差社会だ、海外からの移住者はほぼ下、上には貴族魔術師がギュッと詰まってる、外様への態度はいいが身内ノリが終わり散らかしてる、以上」
「……んー」
「興味は失せたが? 」
「それなりには」
「よーし、ダンちゃん的には今の紹介はどうだ? 」
「満点をやろう、二泊三日の観光目的でしたらきちんとした護衛付き込みでオススメですが、魔術師以外を蔑む文化が誇張抜きで滅んで欲しいので、ニッキー様には是非真っ当な職に就いて欲しく思います、エウァルド君、君の意見は如何かな? 」
そういやエウァルドさん静かだったね、アルゴスさんとダンさんの会話に相槌以外口挟めるのかは怪しいけど。


「俺は……」
「おれは? 」
「ニッキーに労働をする意味はないと感じている、職よりも趣味を開拓して欲しいが、流石に俺のワガママか? 」
「んー、ひとつの意見として受け取ります? 」
「そうか」 
そう言って満足そうに、ちょっとだけエウァルドさんが笑った。


 
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