13 / 53
13. 自己嫌悪
しおりを挟む
ポーン、と通信球が鳴ったのは、それから二週間後の夜だった。ほぼ反射的に腰の通信球をはじき、対応文句を口にする。
「はい、ゼーア工房のヴィクトールです」
「あっ、ヴィクター! チーズありがとう! また熱出したって聞いたけど平気?」
映し出されたのはエックハルトだった。半透明の映像の向こうでふわふわと笑っている。
「あ、うん……元気。もう大丈夫」
お土産をエックハルトとアルマのもとへ送る時、そういえばカイが手紙をつけていた。そんなことまで書かなくていいのに、と思いながらもそもそと答える。
カイとラクレル村に行った後、ヴィクトールは風邪をひいて数日寝込んでいた。カイと出かけられたのが嬉しくてはしゃぎすぎたのだろう。事情を知らないカイには心配されたが、ロジウムには大いに呆れられてしまった。
「ならよかった。ところでさ、もうそっち雪解けしたよね? カイの顔も見たいし、遊びに行ってもいいかな?」
「いいよ」
答えてしまってから、心にひやりとしたものを感じる。
(……来るんだ、エックハルト)
ヴィクトール個人としては、エックハルトに会えるのは嬉しい。だが、カイの顔を見に来るという点に懸念がある。師匠として弟子の顔を見に来るのは当然なのだが、カイがエックハルトに想いを寄せていると気づいてしまった今、できれば顔を合わせてほしくない。
「えっと……再来週の店休日にお邪魔してもいいかな?」
画面の向こうで手帳を繰ったエックハルトが、無邪気に提案してくる。特に断る理由もないので、いいよ、というしかない。
「その頃には二世花咲いてるかな。あの花きれいだよね」
「あー……どうだろう。早ければ咲いているかもしれないけど、例年だと開花はもう少し先だからなあ」
咲いていたら何だっていうんだ。お前には何も関係がないだろう。何でもない世間話にすら無性に噛みつきたい気持ちになり、ヴィクトールは自己嫌悪に陥った。違うのだ。何もエックハルトは悪くない。ただヴィクトールの心が狭くなってしまっているだけなのだ。
平静を装いながらチーズの感想を聞き、ラクレル村へ行ったときの話などをして、通話を切る。ちょうどカイが風呂から戻ってきたところだった。
「カイ君、エックハルトとアルマが再来週来るって」
「え? し、師匠とアルマが……来る、んですか」
まだ湿り気を帯びたまつ毛の下で、焦げ茶色の目が揺れる。悲しそうに一瞬下を向いた後また持ち上がった顔には、取り繕うような笑顔が張り付いていた。
「久しぶりですね! 楽しみです」
「そうだね」
うわべばかりの空虚なやり取りをする。だがそれ以上の会話が続かず、しん、と気まずい沈黙が下りた。カイの顔を見、目線が合いそうになって慌てて少しそらす。
「カイ、風呂出てきたんなら夕飯出すわよー、食器準備しなさい」
互いにちらちらと顔を見ながら相手の出方を伺っていると、キッチンからロジウムの声が聞こえた。気まずさから解放されたことにほっとしながら、ヴィクトールはぱたぱたと走っていくカイの背中を見送った。
夕食後、カイが自室に向かったのを確認してヴィクトールも寝室に向かう。
カイがその日着ていたシャツをこっそり部屋に持ち帰るのは、もはやヴィクトールの日課になりかけていた。回数を重ねるごとに感じる後ろめたさは募っていたが、一度味わってしまった快感には抗いがたいものがある。それに、こうでもして気を紛らわせないと、心が壊れてしまいそうに軋むのだ。
(……ああ、やっぱりまだ、カイはエックハルトのことが好きなんだ)
自室のベッドの上でカイのシャツを抱きしめながら、ヴィクトールはカイに師匠の来訪を告げたときのことを思い出していた。あんなに悲しそうな顔をするなんて。彼のことを忘れようとしてここに来ていただろうに、かわいそうなことをしてしまった。やはりなんと理由をつけてでも、エックハルトの来訪は阻止すべきだったのだ。いや今からでも遅くはない。当日急な体調不良になったと言えばいいのだ。
(でも……それじゃ一時しのぎにしかならないし、仮病じゃカイが了承しないだろうし)
大体、そこまでしてエックハルトに会うことを避けるのはおかしいだろう。手紙のやり取りをしているから、ヴィクトールが勝手に断ってもばれてしまうだろうし。そもそもエックハルトに嘘はつきたくない。
(どうしたらよかったんだ)
カイのシャツに顔を押し当てると、微かに鼻をつく匂いがする。今日少しだけメッキをやらせてみたから、その下処理やメッキに使う液の匂いが付いたのだ。強酸の液を扱ったりするし、あまりカイに危ないことはやらせたくないのだが、あまりに興味津々の顔で見てくるのでつい「やってみる?」と聞いてしまったのだ。
エックハルトにカイの成長を見せたい、だがカイには会ってほしくない。矛盾した気持ちの落とし所が分からず、腕の中にあるシャツの襟に噛みついた。
「うぅ……っ」
本当は、エックハルトではなく自分を見てほしい――声にすらできないその感情を、何度も強く噛みつくことで宥めていく。
カイが工房に来てくれて、生活を共にできることが嬉しい。だが、そのせいで彼への想いは募っていく一方だった。毎日同じ食卓を囲み、仕事を教え、微笑む彼を間近で見るのだ。日ごとにより愛おしく、そしてより苦しくなるのは当然である。
良き先達として彼を指導するのが、自分の役目だ。そう言い聞かせ、妄想で自分を慰める。それしか今のヴィクトールにはできないのだった。
「はい、ゼーア工房のヴィクトールです」
「あっ、ヴィクター! チーズありがとう! また熱出したって聞いたけど平気?」
映し出されたのはエックハルトだった。半透明の映像の向こうでふわふわと笑っている。
「あ、うん……元気。もう大丈夫」
お土産をエックハルトとアルマのもとへ送る時、そういえばカイが手紙をつけていた。そんなことまで書かなくていいのに、と思いながらもそもそと答える。
カイとラクレル村に行った後、ヴィクトールは風邪をひいて数日寝込んでいた。カイと出かけられたのが嬉しくてはしゃぎすぎたのだろう。事情を知らないカイには心配されたが、ロジウムには大いに呆れられてしまった。
「ならよかった。ところでさ、もうそっち雪解けしたよね? カイの顔も見たいし、遊びに行ってもいいかな?」
「いいよ」
答えてしまってから、心にひやりとしたものを感じる。
(……来るんだ、エックハルト)
ヴィクトール個人としては、エックハルトに会えるのは嬉しい。だが、カイの顔を見に来るという点に懸念がある。師匠として弟子の顔を見に来るのは当然なのだが、カイがエックハルトに想いを寄せていると気づいてしまった今、できれば顔を合わせてほしくない。
「えっと……再来週の店休日にお邪魔してもいいかな?」
画面の向こうで手帳を繰ったエックハルトが、無邪気に提案してくる。特に断る理由もないので、いいよ、というしかない。
「その頃には二世花咲いてるかな。あの花きれいだよね」
「あー……どうだろう。早ければ咲いているかもしれないけど、例年だと開花はもう少し先だからなあ」
咲いていたら何だっていうんだ。お前には何も関係がないだろう。何でもない世間話にすら無性に噛みつきたい気持ちになり、ヴィクトールは自己嫌悪に陥った。違うのだ。何もエックハルトは悪くない。ただヴィクトールの心が狭くなってしまっているだけなのだ。
平静を装いながらチーズの感想を聞き、ラクレル村へ行ったときの話などをして、通話を切る。ちょうどカイが風呂から戻ってきたところだった。
「カイ君、エックハルトとアルマが再来週来るって」
「え? し、師匠とアルマが……来る、んですか」
まだ湿り気を帯びたまつ毛の下で、焦げ茶色の目が揺れる。悲しそうに一瞬下を向いた後また持ち上がった顔には、取り繕うような笑顔が張り付いていた。
「久しぶりですね! 楽しみです」
「そうだね」
うわべばかりの空虚なやり取りをする。だがそれ以上の会話が続かず、しん、と気まずい沈黙が下りた。カイの顔を見、目線が合いそうになって慌てて少しそらす。
「カイ、風呂出てきたんなら夕飯出すわよー、食器準備しなさい」
互いにちらちらと顔を見ながら相手の出方を伺っていると、キッチンからロジウムの声が聞こえた。気まずさから解放されたことにほっとしながら、ヴィクトールはぱたぱたと走っていくカイの背中を見送った。
夕食後、カイが自室に向かったのを確認してヴィクトールも寝室に向かう。
カイがその日着ていたシャツをこっそり部屋に持ち帰るのは、もはやヴィクトールの日課になりかけていた。回数を重ねるごとに感じる後ろめたさは募っていたが、一度味わってしまった快感には抗いがたいものがある。それに、こうでもして気を紛らわせないと、心が壊れてしまいそうに軋むのだ。
(……ああ、やっぱりまだ、カイはエックハルトのことが好きなんだ)
自室のベッドの上でカイのシャツを抱きしめながら、ヴィクトールはカイに師匠の来訪を告げたときのことを思い出していた。あんなに悲しそうな顔をするなんて。彼のことを忘れようとしてここに来ていただろうに、かわいそうなことをしてしまった。やはりなんと理由をつけてでも、エックハルトの来訪は阻止すべきだったのだ。いや今からでも遅くはない。当日急な体調不良になったと言えばいいのだ。
(でも……それじゃ一時しのぎにしかならないし、仮病じゃカイが了承しないだろうし)
大体、そこまでしてエックハルトに会うことを避けるのはおかしいだろう。手紙のやり取りをしているから、ヴィクトールが勝手に断ってもばれてしまうだろうし。そもそもエックハルトに嘘はつきたくない。
(どうしたらよかったんだ)
カイのシャツに顔を押し当てると、微かに鼻をつく匂いがする。今日少しだけメッキをやらせてみたから、その下処理やメッキに使う液の匂いが付いたのだ。強酸の液を扱ったりするし、あまりカイに危ないことはやらせたくないのだが、あまりに興味津々の顔で見てくるのでつい「やってみる?」と聞いてしまったのだ。
エックハルトにカイの成長を見せたい、だがカイには会ってほしくない。矛盾した気持ちの落とし所が分からず、腕の中にあるシャツの襟に噛みついた。
「うぅ……っ」
本当は、エックハルトではなく自分を見てほしい――声にすらできないその感情を、何度も強く噛みつくことで宥めていく。
カイが工房に来てくれて、生活を共にできることが嬉しい。だが、そのせいで彼への想いは募っていく一方だった。毎日同じ食卓を囲み、仕事を教え、微笑む彼を間近で見るのだ。日ごとにより愛おしく、そしてより苦しくなるのは当然である。
良き先達として彼を指導するのが、自分の役目だ。そう言い聞かせ、妄想で自分を慰める。それしか今のヴィクトールにはできないのだった。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
冤罪で追放された王子は最果ての地で美貌の公爵に愛し尽くされる 凍てついた薔薇は恋に溶かされる
尾高志咲/しさ
BL
旧題:凍てついた薔薇は恋に溶かされる
🌟2025年11月アンダルシュノベルズより刊行🌟
ロサーナ王国の病弱な第二王子アルベルトは、突然、無実の罪状を突きつけられて北の果ての離宮に追放された。王子を裏切ったのは幼い頃から大切に想う宮中伯筆頭ヴァンテル公爵だった。兄の王太子が亡くなり、世継ぎの身となってからは日々努力を重ねてきたのに。信頼していたものを全て失くし向かった先で待っていたのは……。
――どうしてそんなに優しく名を呼ぶのだろう。
お前に裏切られ廃嫡されて最北の離宮に閉じ込められた。
目に映るものは雪と氷と絶望だけ。もう二度と、誰も信じないと誓ったのに。
ただ一人、お前だけが私の心を凍らせ溶かしていく。
執着攻め×不憫受け
美形公爵×病弱王子
不憫展開からの溺愛ハピエン物語。
◎書籍掲載は、本編と本編後の四季の番外編:春『春の来訪者』です。
四季の番外編:夏以降及び小話は本サイトでお読みいただけます。
なお、※表示のある回はR18描写を含みます。
🌟第10回BL小説大賞にて奨励賞を頂戴しました。応援ありがとうございました。
🌟本作は旧Twitterの「フォロワーをイメージして同人誌のタイトルつける」タグで貴宮あすかさんがくださったタイトル『凍てついた薔薇は恋に溶かされる』から思いついて書いた物語です。ありがとうございました。
「役立たず」と追放された神官を拾ったのは、不眠に悩む最強の騎士団長。彼の唯一の癒やし手になった俺は、その重すぎる独占欲に溺愛される
水凪しおん
BL
聖なる力を持たず、「穢れを祓う」ことしかできない神官ルカ。治癒の奇跡も起こせない彼は、聖域から「役立たず」の烙印を押され、無一文で追放されてしまう。
絶望の淵で倒れていた彼を拾ったのは、「氷の鬼神」と恐れられる最強の竜騎士団長、エヴァン・ライオネルだった。
長年の不眠と悪夢に苦しむエヴァンは、ルカの側にいるだけで不思議な安らぎを得られることに気づく。
「お前は今日から俺専用の癒やし手だ。異論は認めん」
有無を言わさず騎士団に連れ去られたルカの、無能と蔑まれた力。それは、戦場で瘴気に蝕まれる騎士たちにとって、そして孤独な鬼神の心を救う唯一の光となる奇跡だった。
追放された役立たず神官が、最強騎士団長の独占欲と溺愛に包まれ、かけがえのない居場所を見つける異世界BLファンタジー!
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる