皇国の栄光

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ゴルフ場の上司と艦橋内の上司

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太平洋艦隊司令長官のハズバンド・キンメルはハワイ方面陸軍司令長官のウォルター・ショートとゴルフに興じていた。
「キンメル、少し腕を上げたな?」
ショートが腕を組みながら言う。
「冗談を言うな。私はお前に勝てたためしがない。」
キンメルは肩をすくめながら答える。
「まあいつか勝てるだろう。」
そう笑いながらショートはカップに入ったボールを取る。
その時、港湾部で大きな爆発音がした。
「なっなんだ?」
ショートは驚いた顔をしながら、港湾部を見る。
「あれは…火か?」
「おそらく練習部隊がしくじったのだろう。気にすることはないさ。」
キンメルはゴルフを続けようとパターを振ろうとした時だった。
「長官!大変でございます。」
お供に連れてきていた副官が走ってきた。
「何事だ。」
「真珠湾が、真珠湾が攻撃されています!」
「なんだと!ではあの火は…」
キンメルは顔を青ざめた。
「ショート!君も参謀本部に帰れ!これはまずい!」
そういうとキンメルは副官に車を回してくるように命令した。
その時だった。
プロペラの音が聞こえたのは。


『特務機関の情報だとここは海軍高官のゴルフ場のようですね』
僚機がそう解説する。
岩本は地上に目を凝らし、3人の人影を認めた。
「いたぞ。3人だ。この中に1人は高官がいるだろうな。」
そういって彼の98式戦闘機はその人影にむかって降下し、7.7ミリ機銃を撃った。
1人はどこかに行っていたが他の二人は地面に伏して二度と起き上がらなかった。

太平洋艦隊司令部は大混乱だった。
突如として多数の航空機が現れ、飛行場、港湾施設、艦艇に対して攻撃を開始した。
それによる連絡網の被害も甚大でいまだ確認が取れていなかった。
そしてもう一つの混乱の理由としては上司であるキンメルがまだ司令部に姿を現さないことだ。
そんな時にアリゾナが大爆発を起こした。
彼らは結局、有効な反撃が行えず被害が拡大していった。


「被害はどうなっている!」
ウエストバージニアの艦長であるマーヴィン・シャープ・ベニオン大佐は副官に聞いた。
「アリゾナ、オクラホマは撃沈!他の艦も損害が出ています!」
「くそ!」
ベニオンはもともと日本の航空戦力を過少評価していた。
パイロット、航空機、すべてにおいて我々の方が大いに勝っていると考えていた。
だがそれは間違いだと認識せざるを終えなくなった。
彼らの爆撃隊は正確無比で、雷撃隊はウエストバージニアの艦橋からでも見下ろせた。
機体も明らかに早い。
そう考えていると僚艦のテネシーに爆撃が命中。
そしてテネシーの破片がウエストバージニアの艦橋に命中し破壊した。
ベニオンは機銃銃座まで落下した。
腹には致命傷を負っていた。
「艦長!」
下士官が駆け寄ってくる。
「私は大丈夫だ。それより状況はどうなっている?我が艦に戦闘能力はあるか?」
ベニオンは力ない声で、それでも冷静に尋ねた。
「我が艦には…戦闘力があります!現在もジャップの奴らと交戦中です!」
下士官は一瞬言い淀んだが、すぐに答えた。
ベニオンはこれが自分を安心させるため嘘であるとわかっていた。
「そうか。だがもし戦えなくなったら退艦するように。」
ベニオンは語気を強めて命令する。
「…わかりました。おい、艦長を艦橋へ。火の手が近づいてきている。」
「「「はっ!」」」
そういって水兵たちはベニオンを担架に乗せ、担いだ。
「私はいいから君たちは早く逃げろ。」
ベニオンは何度もそう言った。
やがて傾斜がきつくなるとベニオンは総員退艦を命令し、自身は艦橋に残った。
彼は最期の時を静かに待ちつつ、あの時の下士官の優しい嘘に涙を流した。
下士官だけではない。
自分をここまで運んでくれた水兵たちや、手当てをしようとしてくれた衛生兵。
自分はいい部下たちに恵まれたと思いながら目を閉じる。
総員退艦が完了した僅か3分後、ウエストバージニアは勢いよく転覆した。
そのとき、重油と赤い血だらけの海に大量の透明な血が混ざった。
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