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 週明けから学園に戻り、学園生活がまた始まった。

 キャサリンは、私を守る騎士のように寄り添っているが、何分見た目がかわいいので私に張り付いている小動物と言った感じしかしない。
 ひとつ変わったのは、ランチにアグネス様が加わる事が増えたことだ。
 タイレーン侯爵家が、ほかの二家よりラゼット侯爵家と近しい事が一番の理由らしいが、アグネス様は王太子殿下のクラスメイトなので、王太子殿下の同行もわかるし、1年先輩ということで学園のことも教えてもらえるといいことづくめだ。

「なぜ、いつもアグネス嬢がいるのだ。」

 今日も私たちの楽しいランチを邪魔する王太子殿下が、アグネス様がいることの不満をくちにした。

「あら、私たちは仲良しになったんですのよ。殿下はご存知なかったのですか。」

 アグネス様は、他のふたりと張り合ってはいるものの、王太子殿下とクラスメイトと言うこともあり比較的、殿下と行動を共にすることが多いそうで、媚びるようなこともなく、しっかり者のお姉さんタイプだった。

「シャーロット嬢に会いに来て、アグネス嬢と話をしていると、アグネス嬢に会いに来たと思われるじゃないか。」
「あら、私たちを隠れ蓑にしてシャーロット様と話すと言う芸当は、お子ちゃま殿下には、無理のようですのね。」

 さらに辛辣なキャサリンがいるので、王太子殿下は今日もスゴスゴと退散してくれて、ホッとする。

「ところでシャーロット様の婚約者のラゼット子爵ってキャサリン様の親戚になるのよね。」
「はい、叔父です。アグネス様はお会いした事があるんですか。」
「入寮日にご挨拶いただいたのですけれど、大人で素敵な方でしたわね。」
「普段はめちゃくちゃカッコよさげだけど目が笑ってなくて、シャーロットといる時は、デレデレに甘いという落差が凄いですけど。」
「キャサリン。そんなにディランって、わかりやすい?」
「そりゃあ、甘々ですからね。」

 ディラン、あなたの評価は私がからむと変わるみたいです。

 最近、殿下の顔を見てもディランに似ていると思わないのは、厳しそうな顔と甘々しか見ていないからなのか、メガネなしのディランを見慣れて、微妙な違いがはっきり分かるようになったからなのか。
 
「シャーロット、聞いていて?」
「ごめんなさい。何かしら?」
「来週末にアグネス様の邸で夜会があるのですって。叔父様と一緒にどうかしら。」
「キャサリンは?」
「私も兄か誰かのエスコートで行くわ。」
「ディランに聞いてみるわね。ところで王太子殿下も来るのよね。」
「私が婚約者候補だから招待状は送るけれど、来るかどうかはわからないわね。」
「アグネス様は、王太子殿下のことをどう思っていらっしゃるのかしら。」
「私は、あくまでも候補として恥ずかしくない女性でいようと努力をしているけれど、今は殿下は友人とか同士にしかなれないわ。恋愛感情はほとんどないかも。ただ選ばれたら、しっかりと務めを果たして、尊敬し合えるようになりたいと思っているわよ。」

 キャサリンもアグネス様も結婚を家や国を支える貴族の仕事として考えている。
 私は、ディランに全部頼りきっていて幸せだけど、いいのだろうかと心配になった。
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