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19話
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テラside
ムネオリは私の友人でありセフレだった人。
しかし、それをケイトに言えなかったのはもし、私とムネオリの関係がバレてしまったら…
もう、ケイトと一緒にいれないような気がしたから。
ムネオリとはたまたま、私が変な輩に絡まれていた時にムネオリが助けてくれたのがキッカケで仲良くなり、いつの間にか身体だけを満たすセフレという関係になっていた。
身体の相性は離れるのが惜しいほど良かったが、私にしてみればムネオリはどちらかと言うと恋焦がれる恋愛の相手というよりは親しい友人という方がしっくりときていた。
身体を重ねる以外は朝まで公園で月を見上げて語り合ったり、くだらない事で笑いあったり、時にはつまらないケンカしたりそんな関係が心地よかった。
しかし、ムネオリは違った。
それに気づきはじめたのはセフレになって暫くした頃だった。
ムネオリとの行為は我を忘れてしまうほど気持ちが良かったが私は絶対に避妊をさせていた。
しかし突然、ムネオリは避妊をせず生でシたいと言い始めたのだ。
その頃から違和感を覚えるようになったが、当時の私は恋愛に疎く、一生好きになる人なんて出会えないと思っていたから、こんなにも身体の相性がいいムネオリを手放すのが嫌で、そのままムネオリの言う通り避妊せずムネオリと身体を重ねていた。
しかし、ムネオリの要望は少しずつ過剰になっていき、私のことを愛しすぎるあまり、私を束縛して自分のモノにしようと必死で、次第に私はムネオリと身体を重ねる事に違和感を感じはじめ、ムネオリと身体を重ねる事が私にとってただの負担になっていた。
そんな時
私はケイトと出会った。
自分でも驚くほど私の心が一瞬でケイトに惹かれていき、心と頭の中にはケイトで埋め尽くされていくのが分かった。
ムネオリに抱かれている時もケイトを思い浮かべながら快感に溺れた。
でももう、こんな関係はダメだ。
ケイトと出会い心を入れ替える事にした私はムネオリにセフレという関係の解消を告げた。
しかし、ムネオリはそれを許さなかった。
ムネオリは私の気持ちを聞いても絶対に諦めないと言って店に来て私を待ち伏せするようになった。
それは何日も続き、はじめは私の身勝手な心変わりのせいだとムネオリに申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、次第にそれは恐怖心へと変わっていった。
店や家への無言電話や差し出し人不明の届け物が届いたり、見知らぬ人からの尾行や物陰から店内を監視するような人影もあった。
これも全てムネオリの仕業?そう恐怖に怯え嫌な予感はしていたものの…
この数日間、ムネオリが店の前で待ち伏せをする事がなくなったので、私の考えすぎでやっとムネオリも諦めてくれたんだとホッとひと安心した矢先の出来事だった。
K「覇道組の若頭が…友人……?いや襲ってきた相手が知り合いの手下なら尚更…テラさんを1人にはできません…。もし、テラさんがまたこんな目に遭って連れ去られそうにでもなったら……俺が耐えられない。」
ケイトは眉間にシワを寄せてそう言うと私をギュッと抱きしめ、驚いた私は思わず肩をすくめるとケイトは私の顔を覗き込む。
K「俺がそんな風に思うの…迷惑…ですか……?」
T「ううん…びっくりしちゃっただけ……私はここにいても…いいのかな?」
確かにあんな目にあって1人で家で過ごすのは怖いし、ムネオリには家も店も全て知られてしまってるから不安だ。
おまけにもし、今までの出来事が全てムネオリの仕業だったとしたら……想像するだけでも恐ろしい。
しかもムネオリはセフレだった頃、私にも自分が覇道組の若頭であることを隠していた。
そんなムネオリに対する不信感と恐怖心がさらに募り、私はケイトの手をギュッと握った。
K「もちろんですよ。すぐに部屋の準備…させますね?」
T「うん…ごめんね…」
K「あと…顔の怪我のこともあるのでヨナさんには連絡してる方がいいかもしれませんね…その傷だとしばらくはお店でお客さんの前に出れないでしょうから…ここにスマホ置いておきますね。」
そう言われて私は窓に映る自分の顔を見ると、口の横が内出血をし瞼の肌の色が変わってしまっていた。
T「うん…ありがとう…連絡してみる……」
ケイトが部屋を出て行くと私はケイトが置いたスマホを手に取りヨナに電話をかけた。
何度かコール音が響くものの、ヨナが電話に出る気配がない。
チラッと時計を見れば時計の針は10時過ぎを指していて私は不思議に思う。
もう…寝た?
そう私は首を傾げながら電話を切った。
K「ヨナさんと電話終わりました?」
ケイトが部屋の中に戻ると私の横にある椅子に座りながら問いかけた。
T「それが…電話出なくて…寝ちゃったのかな…?」
K「寝るには早くないですか…?また、後でかけ直してみましょう?部屋の準備が出来たので案内しますね?」
T「うん。」
ケイトが手を出し私はその手を借りながら立ち上がるが、殴られたみぞおちが痛み思わず声が出る。
T「ゔぅ……」
そんな私の様子を見てケイトは慌てて横に置いてあった痛み止めを手に取り、私の腕を自分の肩に回して私の腰を抱いた。
K「俺に体重かけてください。部屋に着いたら痛み止め…飲んでくださいね?このままだと今日眠れないと思うんで…」
T「うん…ありがとう…」
私はケイトに頼りながらゆっくりと歩き部屋を出た。
つづく
ムネオリは私の友人でありセフレだった人。
しかし、それをケイトに言えなかったのはもし、私とムネオリの関係がバレてしまったら…
もう、ケイトと一緒にいれないような気がしたから。
ムネオリとはたまたま、私が変な輩に絡まれていた時にムネオリが助けてくれたのがキッカケで仲良くなり、いつの間にか身体だけを満たすセフレという関係になっていた。
身体の相性は離れるのが惜しいほど良かったが、私にしてみればムネオリはどちらかと言うと恋焦がれる恋愛の相手というよりは親しい友人という方がしっくりときていた。
身体を重ねる以外は朝まで公園で月を見上げて語り合ったり、くだらない事で笑いあったり、時にはつまらないケンカしたりそんな関係が心地よかった。
しかし、ムネオリは違った。
それに気づきはじめたのはセフレになって暫くした頃だった。
ムネオリとの行為は我を忘れてしまうほど気持ちが良かったが私は絶対に避妊をさせていた。
しかし突然、ムネオリは避妊をせず生でシたいと言い始めたのだ。
その頃から違和感を覚えるようになったが、当時の私は恋愛に疎く、一生好きになる人なんて出会えないと思っていたから、こんなにも身体の相性がいいムネオリを手放すのが嫌で、そのままムネオリの言う通り避妊せずムネオリと身体を重ねていた。
しかし、ムネオリの要望は少しずつ過剰になっていき、私のことを愛しすぎるあまり、私を束縛して自分のモノにしようと必死で、次第に私はムネオリと身体を重ねる事に違和感を感じはじめ、ムネオリと身体を重ねる事が私にとってただの負担になっていた。
そんな時
私はケイトと出会った。
自分でも驚くほど私の心が一瞬でケイトに惹かれていき、心と頭の中にはケイトで埋め尽くされていくのが分かった。
ムネオリに抱かれている時もケイトを思い浮かべながら快感に溺れた。
でももう、こんな関係はダメだ。
ケイトと出会い心を入れ替える事にした私はムネオリにセフレという関係の解消を告げた。
しかし、ムネオリはそれを許さなかった。
ムネオリは私の気持ちを聞いても絶対に諦めないと言って店に来て私を待ち伏せするようになった。
それは何日も続き、はじめは私の身勝手な心変わりのせいだとムネオリに申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、次第にそれは恐怖心へと変わっていった。
店や家への無言電話や差し出し人不明の届け物が届いたり、見知らぬ人からの尾行や物陰から店内を監視するような人影もあった。
これも全てムネオリの仕業?そう恐怖に怯え嫌な予感はしていたものの…
この数日間、ムネオリが店の前で待ち伏せをする事がなくなったので、私の考えすぎでやっとムネオリも諦めてくれたんだとホッとひと安心した矢先の出来事だった。
K「覇道組の若頭が…友人……?いや襲ってきた相手が知り合いの手下なら尚更…テラさんを1人にはできません…。もし、テラさんがまたこんな目に遭って連れ去られそうにでもなったら……俺が耐えられない。」
ケイトは眉間にシワを寄せてそう言うと私をギュッと抱きしめ、驚いた私は思わず肩をすくめるとケイトは私の顔を覗き込む。
K「俺がそんな風に思うの…迷惑…ですか……?」
T「ううん…びっくりしちゃっただけ……私はここにいても…いいのかな?」
確かにあんな目にあって1人で家で過ごすのは怖いし、ムネオリには家も店も全て知られてしまってるから不安だ。
おまけにもし、今までの出来事が全てムネオリの仕業だったとしたら……想像するだけでも恐ろしい。
しかもムネオリはセフレだった頃、私にも自分が覇道組の若頭であることを隠していた。
そんなムネオリに対する不信感と恐怖心がさらに募り、私はケイトの手をギュッと握った。
K「もちろんですよ。すぐに部屋の準備…させますね?」
T「うん…ごめんね…」
K「あと…顔の怪我のこともあるのでヨナさんには連絡してる方がいいかもしれませんね…その傷だとしばらくはお店でお客さんの前に出れないでしょうから…ここにスマホ置いておきますね。」
そう言われて私は窓に映る自分の顔を見ると、口の横が内出血をし瞼の肌の色が変わってしまっていた。
T「うん…ありがとう…連絡してみる……」
ケイトが部屋を出て行くと私はケイトが置いたスマホを手に取りヨナに電話をかけた。
何度かコール音が響くものの、ヨナが電話に出る気配がない。
チラッと時計を見れば時計の針は10時過ぎを指していて私は不思議に思う。
もう…寝た?
そう私は首を傾げながら電話を切った。
K「ヨナさんと電話終わりました?」
ケイトが部屋の中に戻ると私の横にある椅子に座りながら問いかけた。
T「それが…電話出なくて…寝ちゃったのかな…?」
K「寝るには早くないですか…?また、後でかけ直してみましょう?部屋の準備が出来たので案内しますね?」
T「うん。」
ケイトが手を出し私はその手を借りながら立ち上がるが、殴られたみぞおちが痛み思わず声が出る。
T「ゔぅ……」
そんな私の様子を見てケイトは慌てて横に置いてあった痛み止めを手に取り、私の腕を自分の肩に回して私の腰を抱いた。
K「俺に体重かけてください。部屋に着いたら痛み止め…飲んでくださいね?このままだと今日眠れないと思うんで…」
T「うん…ありがとう…」
私はケイトに頼りながらゆっくりと歩き部屋を出た。
つづく
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