ゲームの《裏技》マスター、裏技をフル暗記したゲームの世界に転生したので裏技使って無双する

《裏技》マスター、忍者の里へ行く

感動の再会

　忍者の人になんとか追いつき、ルリカを下ろす。

「重いぞ」

「女性に対して失礼よそれ！」

「あ、すまん。まあその剣でとかが重かったんだろ。大丈夫だ、お前自体は重くない」

「それはそれで何か失礼な気がする……」

「？」

　女性慣れしてないから分からねぇ！

「この中に、上忍の方がおられる。ご無礼の無いようにな」

「分かってる」

　というか、コイツは俺が上忍だってしらないのか？

　まあ、それならそれで良い。

　試練をバシバシ受けさせて貰えそうだし。

　……やっぱ嫌かも。

　コンコン、と彼がノックをする。

「入れ」

　そう言われたので俺らは扉を開けた――その瞬間、

『シュン』

　と風切り音がしたかと思うと、クナイが飛んで来た。

「うおっ！？」

　顔を右にグゥーと曲げて回避する。

「あっぶね！」

　クナイは奥の方にある竹に刺さった。

「おいおい、歓迎の仕方にしては相手にとって命の危険がありすぎじゃないか？」

「これも、試練の内の一つだ」

　その言葉を聞いたニルの目が見開く。

「……！　もしかして……！」

　ニルが部屋の中にズカズカと入る。

「あっおいニル！　どうしたんだ！？」

　ニルは部屋の中にいた上忍の前に立ち、こう言った。


「……イネ……！」


　彼女は、数秒間の静寂の後、

「……久しぶりだな、ニル」

　と、ニルに向かって言った。

「ああっう、うぅ……」

　ニルが俯うつむく。

　そしてポタポタと地面に涙が落ちる。

「全く……感動の、再会、なのに……涙のっ、再会なんてっ……」

「そう言うっ……イネも……泣いてる……」

「はははっ、そうだな、泣いてしまってるな」

　そしてお互い抱き合う。

「ね、ねえイイジマ」

　ルリカが俺に耳打ちしてくる。

「ん？　何だ？」

「ニルとあの人って……どんな関係なの？」

　あっ、そうか、ルリカ達は知らないのか。

「えっとだな……昔の仲間ってやつだ」

「なら……会えて良かったわね」

「ああ、本当にな」

　捕えられた後、消息の分からなかった仲間に会えたら、多分俺もああなってしまうかもしれない。

「イネェッ、イネェッ……！」

「ほーら、もう泣くなニル、後で色々話そう、な？」

「うん……分かった……」

　ニルは涙を拭いて、俺らの元へ戻って来た。

「それで、私に何の用かな？」

「その、この者達が、修行をしたいという風に言っておりまして……」

「うん、じゃあもうやらせてやってくれ」

「……え？　良いのですか？」

「だって、ニルが仲間だって思ってる人達だろ？　ならもう修行させてあげた方が良いさ」

「わっ、分かりました」

「あぁ後、私から話があるから、君は行って良いぞ」

「はっ！」

　忍者はパッとその場から消えた。

「さて」

　パタン、と、イネが扉を閉める。

「ニル、彼らは一体誰なのか、教えて貰っても良いかな？」

「えっと……イイジマと……ルリカと……レカちゃん……」

　俺ら一人一人を手で示しながら紹介した。

「そして……イイジマが……私の主様……」

「……何！？」

　イネがドシドシとこちらに近付いて来た。

「……人族が！？」

「うん……」

「ニルに、勝ったのか！？」

「うん……」

　イネが俺を穴が開くほど見る。

「えっと……」

「おい」

「あっ、はい、なんざましょ？」

　ポン、と肩に手を置かれる。

　ヤバイ、何か凄い力を入れて来て「痛ててててて！」ってなる気しかしない！

　そう思い少し後ろにずれて回避しようと思ったが……

「ニルを、丁重に扱ってくれてありがとう」

「……え？」

「人族の主には碌ろくな奴がいないからな、見た感じ、ニルはちゃんと飯も食わせて貰っていてお前を怖がっている様子もない。
だから本当にありがとう」

「そんな褒められた事じゃない」

「私にとっては、生死不明の大事な仲間なんだ。本当に感謝するよ」

「ん……まあ、どういたしまして」

「それじゃ、早速私が修行場へ案内するよ。そうだ、難易度はどのくらいが良い？」

　その質問に対して、俺はこう言った。

「最高ランクで」


「「「……は？」」」