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《裏技》マスター、教会と戦う

【SIDE 教会】会議に混じる者

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「それでは、会議を再開しよう」

 現教皇のアーガストがそう言った。

 先程、会議が行われようとしたが、ヴァイナ・リョコタの自室付近で言伝者が死亡していたことが確認された為、一時中断となったのだ。

「まずなのだが、言伝者が死亡していた件について少し話し合いたい。
場所は光の教会の5階、東側の方な訳だが……ヴァイナよ」

「はい☆」

「心当たりは?」

「……言ってよろしいのやら~☆」

 その場にいた者が「は?」という表情になる。

「どういう意味だね?」

「恐らくですが~☆ 殺ったのはぁ~☆ 〝彼ら〟なんです~☆」

 そう言うとアーガストは、はっとした顔をした。

「まさか……」

「そうだ、そのまさかだ」

 アーガストの背後から一人の男が出て来る。

「君は……」

「久しぶりだね。アーガスト」

ッ……!」

「彼女もいるよ」

「……」

 いつの間にか、あの黒い服を着た女が立っていた。

「君らは、何故言伝者を殺した?」

「俺らの事を知ろうとしたんだ」

「たったそれだけでか!?」

 アーガストが勢いよく席を立つ。

「? 何がおかしい? 俺らの事を知るという事は…………分かるだろ?」

「分かって、いるとも……」

「ならばあの言伝者がやった罪の重さも分かるはずだ」

「っ……」

 アーガストは黙って、席に座る。

「それで、何をしに来られたのですかな?」

 ビラナが彼らにそう質問をする。

「あぁそうだった。我が主があの者を早く消して欲しがっていてね」

「あの者、とは?」

「今君達が逃している、逸脱者君だよ」

「「「「「!」」」」」

 大司教達がビクッと体を動かす。

「早く捕まえて欲しいのだが……時間はまだかかりそうか?」

「ご安心を。それほど時間はかからないかと思われます」

「ふむ。まあそれが嘘だとしても今は良い。それよりも、主より君達に命令が下った」

「それは何でしょうか?」

くだんの逸脱者を発見しだい……全力で殺せ、との事だ」

「全力で……ですか」

「ああ、主にとって相当邪魔な存在の様だ」

 ビラナは両肘を机に突き、両手の指にあごを乗せた。

「しかし彼は、世界を混乱に可能性が高い。というだけであり、まだ可能性です。まだ監視や拘束などで良いと思うのですが」

「……」

「何です?」

「神の命令に君は背くのかい?」

「いえいえまさか、ただ少々疑問に思っただけです」

「まあ良い。取り敢えず、すぐに取り掛かってくれたまえ」

 そう言うと彼らは暗闇に消えた。

「……ふぅ」

「何とかなったな……」

「それよりどうするの? 早く消さないと……」

「我々が消される……か……」

 シン、とその場の音が消える。

「……ここまで探して見つからないとなれば、忍びの里は移動していると思う」

 アーガストが大司教に語りかける。

「移動している?」

「方法は分からない。だが、忍術とかそういうものを使ったんじゃないだろうか」

「それはまた、何とも現実味のない……」

「一応神話にそういうのはありますけれどね。確か臙脂えんじの……何でしたっけ?」

「えぇ、臙脂のぉ……炎ですぅ……」

「そう、それ」

「おい、関係の無い話をするな。ひとまず我らはあの逸脱者を捕まえねばならぬのだ」

「そういえば~☆ ラースレさんはその逸脱者にぃ~☆ 一回やられてましたよねぇ~☆?」

「……そうだ」

「何か~☆ 攻略の鍵になりそうな事とか~☆ 分からなかったんですかぁ~☆?」

「…………」

 ラースレは考える素振りを見せた後、

「あいつの攻撃方法は、恐らく銃、またはただの素手のみだ」

「はっ☆?」

 ヴァイナは固まった。

 ラースレの言っている意味が分からなかったからだ。

「本当よ」

 ファレスチナが続ける。

「彼と戦った時、彼は魔法とスキルを使えない状態にあったの。それに銃も使ってなかったわ。それなのに私達を撤退させた……悔しいけど、本当に強いわよ。でも、壁を貫通したりする力を持っていたわ」

「ふぅ~む☆ なるほどぉ~☆」

 ヴァイナが少しだけ上を見て考える。

「私~☆ それに関して少しだけ面白い事を持ってるんですよ~☆」

「面白い、事?」

 アーガストが体を前のめりにさせる。


「この世界の~☆ 不備についてぇ~☆」
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