幽霊祓い

第2章 再臨編

第162話 対 餓流餓羅①

「紅葉術・木の葉の地こうようじゅつ   このはのちッ!!」

「百華術・金糸梅ひゃっかじゅつ  きんしばいッ」

餓流餓羅は2つの術をかわしつつ、俺との距離を詰めた。

「蒼天術・直そうてんじゅつ  ちょく」

餓流餓羅は腕で直を弾き飛ばし、俺に殴りかかろうとした。

「テメェは俺の奥義の中で再び負けろッ、雷術・奥義・雷轟雷恐宮主殿らいじゅつ  おうぎ  らいごうらいきょうぐうしゅでんッ」

雷翔が奥義を使用し、餓流餓羅は閉じ込めようとした。しかし、この時、雷翔は限界を超えていた。その結果、雷翔は奥義の使用に失敗し、餓流餓羅を閉じ込めることはできなかった。隙を見て、続いて、俺が奥義を使う。

「蒼天術・奥義・蒼天そうてんじゅつ  おうぎ  そうてんッ!!」

餓流餓羅は吹っ飛んだ。しかし、怯んだ様子もなく、立ち上がると、今度は紅葉  那由他の方へと向かっていった。餓流餓羅の右手には黒く輝く剣がついている。名はミネルヴァ。人混みの中、一振りで、数百人は殺せるほどの殺傷力を持つ。そして、今、ミネルヴァを紅葉  那由他は自身の紅葉刀で受け止めた。

ミネルヴァ・・・それはローマ神話において、知恵・工芸・戦争の女神とされている

餓流餓羅の力はミネルヴァが戦争を司ることからきており、ミネルヴァで斬った、もしくはミネルヴァの攻撃を受け止めた相手は知恵を奪われ、その者の持つ工芸品は能力を失う。先程も述べたように、紅葉  那由他は今、ミネルヴァを自身の持つ紅葉刀で受け止めた。そう、紅葉  那由他は知恵を奪われ、廃人と化したのだ。

「紅葉さん・・・？」

紅葉さんが餓流餓羅の右手についている剣の攻撃を自身の刀で止めた瞬間、動かなくなった。と、次の瞬間、紅葉さんの首が宙を舞った。雷翔も限界を迎えるなか、残されたのは青山  優牙と篠崎  真奈だけだった。