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キャンプ・キャンプ・キャンプ 11
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少し寂しげな視線の陸斗が見守る先では背広を脱いだ先生が四人分のシチューと陸斗と園田の夜食用のおにぎりを総て食べ終えるのを俺達も唖然とするように見守っていた。
嘘でしょ?あの量食べちゃうの?
見ている方もびっくりな最初から最後まで食べ終わるスピードの変らなさに後で吐かないでくれと願いつつも避けられない違和感を突き詰めて行く。
明日の朝食を譲ったのだ。
それぐらい聞かせてもらう権利はあると陸斗が最後にお茶を皆にも持って来てくれた所で切り出した。
「先生、あんた寝てないだろ?今どれぐらいのペースなんだ?」
面と向かっては聞いた事はない不眠症。そんな物見ればわかると言うように聞けばお茶をすすりながら
「大体三十分を四回ぐらい」
合計二時間。
ぎょっとする園田と陸斗に聞かせるべきじゃなかったなと思うも、ここに居る間はせめて三時間は寝る、それにプラスしてゴロゴロうたた寝とする位で四~五時間程度は寝ているはずだと園田達もよく知る先生の生態から離れすぎている事に圭斗は舌打ちしながら
「目の下のくまが酷いな」
「ああ、久々の実家は明るくて、賑やかでな」
離婚から始まった不眠症は全く完治してなかった。むしろ悪化した。
「で、今のストレスの原因は……新しい学校に馴染めてないのか?」
転校のいじめは何も生徒だけの問題ではない。
特にこんな田舎の底辺校から何故か都会の進学校に行ってしまった挙句に担任が三年生。
「まぁ、今時の高校生は全員スマホ装備だから前の学校のレベルをみて教師のレベルを決めつけるな」
「私立の教師でもないのに?移動は仕方ないのに?」
「まぁ、そこがお子様な所なんだよ」
そんでどうなったんだかと思えば
「まぁ、一応先生理科と数学が担当なわけよ」
「ほんとここと変わらないんだな」
そうなのよと頷きながら
「まぁ、クラスの大半が居眠りしたり遊びだしたり」
「高三で余裕だな」
「そこは内申書に書くだけだから問題ない」
生徒には大問題だなと黙ってしまう。
「まぁ、教室で騒ぐから隣の教室からも苦情が来て、自主と言う事で図書館行けってなったらクラスの四分の三近くが居なくなった、今ココ」
「つまり、図書館に行くと苛められる奴らだけが残ったと?」
「そんな学力がヒエラルキーの学校で大多数に入れてもらえない少数派集団相手に勉強教えるわけだ」
そりゃ鬱にもなるなと耳を傾けながらも
「とりあえずは久しぶりに風呂でも入ってこれば?
って言うか、家にはこっち来ること言ってある?」
隣から圭斗のどこのオカンだと苦笑が響くも
「あ、いけね。衝動的に来たから連絡してねーや」
ダメな大人を再確認した。
とりあえずスマホ片手に家へと連絡すれば弟さんが出たようで何やら謝りながらも日曜には帰ると約束していた。
その間俺は押入れに片づけていた先生のジャージや下着など一式を取り出して来て、電話が終わった所でそれを渡した。
「ゆっくりしておいで」
「悪いな」
ジャージ片手に通り慣れた台所から日本酒ももって行く。
ぶれないスタイルだと感心しながら振り向けば困惑を浮かべた園田と陸斗が居た。
彼らなりに心配している顔に苦笑する。部活程度の接点しかない二人だが助け上げてくれたきっかけを与えてくれた恩師の姿に不安そうな顔には俺が堂々とした笑みを浮かべ
「先生は大丈夫だよ。ちゃんと逃げる場所もあるし、逃げる勇気もある。
ここに助けを求めに来たんだから休めばいいんだし、自分で決めて行動をしているから信じて見守るのも俺達の役目だ。
二人とも心配しないでもう寝ると良い。何だったら圭斗もおまけにつけるぞ?」
言えば普段ならアホかと殴られるところだったが
「圭ちゃん」
陸斗の不安そうな声に振り上げた手を無理やり方向を変えて陸斗の頭に置く。無理やりな方向転換に園田と凄いなと眺めながら
「心配だよな。なら今日は三人で寝るか。綾人も先生に報告もあるだろうし」
「先生の家の事ですね」
そんな園田のフォローに頷いておく。
「どっちにしてもプロの教師が来たから明日からはみっちり勉強できるからしっかり寝ろよ」
「先生として教え方は上手いと思ったんですが」
「あれじゃあ納得しないのが今の学校の生徒なんだよ」
まだるっこしいんだよなと思う意見には正直当時の俺も賛成なので気持ちがわからないわけじゃないが、あくまでも教科書に則った学校の授業だ。教師になにを求めているんだと言う物だと思うもそれが分らないのが生徒なんだとぼんやりと考えながら二階に上がる三人にお休みと言って、先生が出てくるのを待つ事にした。
嘘でしょ?あの量食べちゃうの?
見ている方もびっくりな最初から最後まで食べ終わるスピードの変らなさに後で吐かないでくれと願いつつも避けられない違和感を突き詰めて行く。
明日の朝食を譲ったのだ。
それぐらい聞かせてもらう権利はあると陸斗が最後にお茶を皆にも持って来てくれた所で切り出した。
「先生、あんた寝てないだろ?今どれぐらいのペースなんだ?」
面と向かっては聞いた事はない不眠症。そんな物見ればわかると言うように聞けばお茶をすすりながら
「大体三十分を四回ぐらい」
合計二時間。
ぎょっとする園田と陸斗に聞かせるべきじゃなかったなと思うも、ここに居る間はせめて三時間は寝る、それにプラスしてゴロゴロうたた寝とする位で四~五時間程度は寝ているはずだと園田達もよく知る先生の生態から離れすぎている事に圭斗は舌打ちしながら
「目の下のくまが酷いな」
「ああ、久々の実家は明るくて、賑やかでな」
離婚から始まった不眠症は全く完治してなかった。むしろ悪化した。
「で、今のストレスの原因は……新しい学校に馴染めてないのか?」
転校のいじめは何も生徒だけの問題ではない。
特にこんな田舎の底辺校から何故か都会の進学校に行ってしまった挙句に担任が三年生。
「まぁ、今時の高校生は全員スマホ装備だから前の学校のレベルをみて教師のレベルを決めつけるな」
「私立の教師でもないのに?移動は仕方ないのに?」
「まぁ、そこがお子様な所なんだよ」
そんでどうなったんだかと思えば
「まぁ、一応先生理科と数学が担当なわけよ」
「ほんとここと変わらないんだな」
そうなのよと頷きながら
「まぁ、クラスの大半が居眠りしたり遊びだしたり」
「高三で余裕だな」
「そこは内申書に書くだけだから問題ない」
生徒には大問題だなと黙ってしまう。
「まぁ、教室で騒ぐから隣の教室からも苦情が来て、自主と言う事で図書館行けってなったらクラスの四分の三近くが居なくなった、今ココ」
「つまり、図書館に行くと苛められる奴らだけが残ったと?」
「そんな学力がヒエラルキーの学校で大多数に入れてもらえない少数派集団相手に勉強教えるわけだ」
そりゃ鬱にもなるなと耳を傾けながらも
「とりあえずは久しぶりに風呂でも入ってこれば?
って言うか、家にはこっち来ること言ってある?」
隣から圭斗のどこのオカンだと苦笑が響くも
「あ、いけね。衝動的に来たから連絡してねーや」
ダメな大人を再確認した。
とりあえずスマホ片手に家へと連絡すれば弟さんが出たようで何やら謝りながらも日曜には帰ると約束していた。
その間俺は押入れに片づけていた先生のジャージや下着など一式を取り出して来て、電話が終わった所でそれを渡した。
「ゆっくりしておいで」
「悪いな」
ジャージ片手に通り慣れた台所から日本酒ももって行く。
ぶれないスタイルだと感心しながら振り向けば困惑を浮かべた園田と陸斗が居た。
彼らなりに心配している顔に苦笑する。部活程度の接点しかない二人だが助け上げてくれたきっかけを与えてくれた恩師の姿に不安そうな顔には俺が堂々とした笑みを浮かべ
「先生は大丈夫だよ。ちゃんと逃げる場所もあるし、逃げる勇気もある。
ここに助けを求めに来たんだから休めばいいんだし、自分で決めて行動をしているから信じて見守るのも俺達の役目だ。
二人とも心配しないでもう寝ると良い。何だったら圭斗もおまけにつけるぞ?」
言えば普段ならアホかと殴られるところだったが
「圭ちゃん」
陸斗の不安そうな声に振り上げた手を無理やり方向を変えて陸斗の頭に置く。無理やりな方向転換に園田と凄いなと眺めながら
「心配だよな。なら今日は三人で寝るか。綾人も先生に報告もあるだろうし」
「先生の家の事ですね」
そんな園田のフォローに頷いておく。
「どっちにしてもプロの教師が来たから明日からはみっちり勉強できるからしっかり寝ろよ」
「先生として教え方は上手いと思ったんですが」
「あれじゃあ納得しないのが今の学校の生徒なんだよ」
まだるっこしいんだよなと思う意見には正直当時の俺も賛成なので気持ちがわからないわけじゃないが、あくまでも教科書に則った学校の授業だ。教師になにを求めているんだと言う物だと思うもそれが分らないのが生徒なんだとぼんやりと考えながら二階に上がる三人にお休みと言って、先生が出てくるのを待つ事にした。
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