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歩き方を覚える前に立ち方を覚えよう 4
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綾人の容赦ない言葉に少なからず心折れた良家の子供と怒られたばかりでこれぐらいでは心折れないけど今まで縁のない人達を近くで見てしまった為にビビっているチキンなお子様を見て綾人はほっこりと和んでしまうのはチキン不足と思っている。
少なからず謎の満ちたりた顔をしている綾人はランチタイムのお客様と一通りの挨拶を終えれば柊中心に畑仕事をさせている裏庭へと足を運んだ。
「畑の拡張はどうなった?」
麦わら帽子に首にはタオル。長靴軍手にサングラスとマスクも忘れないいつもの農作業ファッションに一瞬静寂が訪れる。どうしたと思うも
「アヤト、幾らなんでもダサすぎだろ?」
農業を知らない奴はまずそう言う。
だけどそんなセリフは既に何度も言われ続けた言葉。むしろ国が変わっても言う事は同じかいと言う反応のつまらなさにスルーする。別に斬新な言葉を言って欲しかったわけではないのだが植田達と同レベルかと思えばあまりにも普通すぎて残念過ぎるお子様達に綾人の反応は逆に不安を与えてしまう。
「あ、いや。なんて言うか効率的って言うか……」
突っ込んで置いてのセルフフォロー。なんでもつっかかって来ていたアレックスにしては素晴らしい成長が見れて感心してしまう。いや、この場合はもっと突っかかって来てほしかった故の残念な成長だ。
「作業用の服を持ってるからな。着替えが足りなければ洗濯機使ってもらえばいいから使い方わからなかったらアイロンのかけ方含めて教えるから今のうちに聞いておけよ。あと叶野は柊にやらせるのは禁止だ」
「お、俺だって自分のパンツ位アイロンかけますよ!」
そんな言葉にお前パンツにまでアイロンかけているのかよと思ったけど
「ではまず失敗しない靴下から慣れて行きましょうね」
ハンカチじゃないのかよとつっこむも
「だったら俺も教えてほしいです。いきなりシャツの襟は難しいので靴下からお願いします」
なぜかやる気を見せるケリーにくすくすと笑いながら柊が後で一緒に俺が教えますよと朗らかに笑う。と言うか靴下までアイロンかけるのかと逆に
「え?パンツや靴下までアイロンかけるか普通?」
驚く綾人だったが
「アイロンかかってるとピシッとして気持ちいいじゃないですか」
ウィルが当然と言う様に言えば
「乾燥機で乾かしてもどこか湿っぽいですからね。最後にアイロンでパリッと仕上げれば気持ちいいですからね」
お国事情と言う奴だ。
母国とは違い家の外であまり洗濯物を干す習慣はないと言う集合住宅に住むジェムはどの家も乾燥機付きの洗濯機で乾かすと言う。大体そのすぐ側にはアイロン台があって乾燥を終えたらアイロンをかけて片づけると言う。いや、東京に暮らしてた時は確かにブラウスやシャツ、ハンカチ位はアイロンをかけていた姿を覚えていたが、ジーンズやセーターにまでアイロンはかけない。
「そういやうちも選択物全部って位アイロンかけてたな」
アレックスの家もそうだと言い、何だか俺の感覚の方がおかしいのではと言う錯覚になる。
思い出してみればこちらの洗濯機は七十度のお湯で洗濯ができるし、寧ろ機能的にはこちらの方が優秀のようにも思えた。
ただし、シルクとかカシミアのセーターに七十度のお湯でなんて洗えない。そう言う気の気配り方では母国の方が優秀に思えるが、基本乾燥機と室内星がメイン。室内干しの匂いとか洗濯槽の黴臭さ対策なのだ。匂い付柔軟剤でも誤魔化せない対策は熱処理がベターだろう。洗濯とは奥が深いなと感心しながら俺も後学の為に柊とジェムが教えるアイロン講座に参加する事にした。
そんな選択談義に明け暮れるティーンズを横目に畑周辺の木々の枝打ちをしていれば、枝回収係のケリーが話しかけるタイミングを待っていたので手を止めれば
「アヤトはこの城を畑に変えるつもりですか?」
当然ながらの疑問が出てきた。
その切りだしを期におばちゃん顔負けの洗濯談義は終わり
「この城を俺は五つのブロックで切り分けている」
いきなり始まった俺の話しに
「城を中心に門からの通路の左右と城の裏側の左右と言う事で良いですか?」
柊が確認を取るように聞いてくれたのは俺が想定したブロック分けがあっていたのもあって機嫌よく頷く。
「表のレストランがある側は完全に外のお客用に作っている。その丁度城を挟んだ裏側は趣味の遊び場だな。馬小屋もあるし、サマーハウスじゃないが大人の遊び場として既に完成を目指している」
「目指してるんだ?」
寧ろあれだけ弄ってて感性じゃないんだと突っ込まれれば
「生涯進行形の遊び場に感性と言う文字は要らん。弄り続けてこその遊び場だ」
なるほどーとほんとに納得してるのか何てどうでもいいと言う様に無視をして
「その城の裏側の反対側が今ここでやってるように畑となる。
かなり放置されてたけどオリオールの為に直ぐに食べれるようにって畑を作ったんだが、想像以上に本格的に畑化が進んでいる。もうどうにでもなれって事でどんどん畑化して畝を作って苗を植える事にする。
ただしオリオールのリクエストでオーガニックを要望されている。
つまり化学農薬や化成肥料を使わない縛りが発生したと言う事だ。
確かに憧れるよねオーガニック。
理想だよねオーガニック。
だけど理想と現実は一致しないのが当たり前で生産者は僅かな規格の隙と言うのはおかしいが、既定のギリギリを通過して畑作りをしている。
ありがたい事に放置された城なので農薬何て蒔き散らかされてないのがありがたい。そしてまだやっと雑草を抜いて耕して石や雑草の根を取り除いて辛うじて畑の形を作っただけ。ありがたい事に母国よりも規格が厳しいこの国では有機肥料が充実しすぎで逆に困るくらいなので近所の農家さんのお宅拝見に行く始末。あんなにも甘みの強い凄腕のトウモロコシを作る農家なので参考にさせてもらいながら土づくりを進めていた。
そんな感じでどうにかなるだろう畑はまだまだ山の畑よりも土が重いので改良の余地ありだとやっぱり烏骨鶏買うべきかと悩んでしまう。
「あのと残りの表側の庭だが、そこは趣味の庭造りをしようと思う。
今の所は周囲をぐるりと気が囲むだけの芝生だけのまっ平らな庭だが、それなりになだらかな斜面を作ったりしてバラ園を作ろうかと思ってる。勿論バラだけじゃないが、理想はある」
言った所で庭造りなんて全くの興味のないアレックスは土をほぐすようにどんどん畑を拡張していく。同じくクリフも手伝い、そして農業って憧れますよねと言うジェムが積極的に手伝うと言う意外な組み合わせが仲良く仕事をしていた。
「コッツウォルズの荘園の庭が理想で夢だ。一度ロードの庭造りもみんなにも見てもらいたいと言う位作り込んだ庭にしたいんだ」
「アヤト何無謀なこと言ってるの?」
ロードの荘園を知っているのかケリーは何を言っていると言う顔で俺を見ていたが
「あくまでも理想だ。何百年と受け継がれた家の庭を真似る何て時間が追いつかない」
それは深山の家でもよく理解している。
ジイちゃんが達が何代にもかけて世話をした山は平地の庭ならかなりの庭園になるはずだ。
特に裏庭なんかどの樹も厳しい環境に驚くほどの表情を持ってる。まるで熟練の職人のような手を伸ばしたかのような枝ぶり。
オヤジとオフクロの事でグダグダ悩んでいた頃の俺でさえそんな小さなことでなやんどうすると言うくらいの風格は眺めているだけで慰められるようなそんな長い時間吉野を見守ってくれて来たおじいちゃんのようなぬくもりを感じていた。
もちろんそれはロードの庭にも漂っていて……
何れこの城が人の手に渡る時が来るだろう。
その時にこの庭造りで少しでも休まれる人が居ればいい、そう願いながら誰かこの中から一人ぐらい庭造りに興味を持って世話ができるようになる奴いないかなーなんて考えている綾人だった。
少なからず謎の満ちたりた顔をしている綾人はランチタイムのお客様と一通りの挨拶を終えれば柊中心に畑仕事をさせている裏庭へと足を運んだ。
「畑の拡張はどうなった?」
麦わら帽子に首にはタオル。長靴軍手にサングラスとマスクも忘れないいつもの農作業ファッションに一瞬静寂が訪れる。どうしたと思うも
「アヤト、幾らなんでもダサすぎだろ?」
農業を知らない奴はまずそう言う。
だけどそんなセリフは既に何度も言われ続けた言葉。むしろ国が変わっても言う事は同じかいと言う反応のつまらなさにスルーする。別に斬新な言葉を言って欲しかったわけではないのだが植田達と同レベルかと思えばあまりにも普通すぎて残念過ぎるお子様達に綾人の反応は逆に不安を与えてしまう。
「あ、いや。なんて言うか効率的って言うか……」
突っ込んで置いてのセルフフォロー。なんでもつっかかって来ていたアレックスにしては素晴らしい成長が見れて感心してしまう。いや、この場合はもっと突っかかって来てほしかった故の残念な成長だ。
「作業用の服を持ってるからな。着替えが足りなければ洗濯機使ってもらえばいいから使い方わからなかったらアイロンのかけ方含めて教えるから今のうちに聞いておけよ。あと叶野は柊にやらせるのは禁止だ」
「お、俺だって自分のパンツ位アイロンかけますよ!」
そんな言葉にお前パンツにまでアイロンかけているのかよと思ったけど
「ではまず失敗しない靴下から慣れて行きましょうね」
ハンカチじゃないのかよとつっこむも
「だったら俺も教えてほしいです。いきなりシャツの襟は難しいので靴下からお願いします」
なぜかやる気を見せるケリーにくすくすと笑いながら柊が後で一緒に俺が教えますよと朗らかに笑う。と言うか靴下までアイロンかけるのかと逆に
「え?パンツや靴下までアイロンかけるか普通?」
驚く綾人だったが
「アイロンかかってるとピシッとして気持ちいいじゃないですか」
ウィルが当然と言う様に言えば
「乾燥機で乾かしてもどこか湿っぽいですからね。最後にアイロンでパリッと仕上げれば気持ちいいですからね」
お国事情と言う奴だ。
母国とは違い家の外であまり洗濯物を干す習慣はないと言う集合住宅に住むジェムはどの家も乾燥機付きの洗濯機で乾かすと言う。大体そのすぐ側にはアイロン台があって乾燥を終えたらアイロンをかけて片づけると言う。いや、東京に暮らしてた時は確かにブラウスやシャツ、ハンカチ位はアイロンをかけていた姿を覚えていたが、ジーンズやセーターにまでアイロンはかけない。
「そういやうちも選択物全部って位アイロンかけてたな」
アレックスの家もそうだと言い、何だか俺の感覚の方がおかしいのではと言う錯覚になる。
思い出してみればこちらの洗濯機は七十度のお湯で洗濯ができるし、寧ろ機能的にはこちらの方が優秀のようにも思えた。
ただし、シルクとかカシミアのセーターに七十度のお湯でなんて洗えない。そう言う気の気配り方では母国の方が優秀に思えるが、基本乾燥機と室内星がメイン。室内干しの匂いとか洗濯槽の黴臭さ対策なのだ。匂い付柔軟剤でも誤魔化せない対策は熱処理がベターだろう。洗濯とは奥が深いなと感心しながら俺も後学の為に柊とジェムが教えるアイロン講座に参加する事にした。
そんな選択談義に明け暮れるティーンズを横目に畑周辺の木々の枝打ちをしていれば、枝回収係のケリーが話しかけるタイミングを待っていたので手を止めれば
「アヤトはこの城を畑に変えるつもりですか?」
当然ながらの疑問が出てきた。
その切りだしを期におばちゃん顔負けの洗濯談義は終わり
「この城を俺は五つのブロックで切り分けている」
いきなり始まった俺の話しに
「城を中心に門からの通路の左右と城の裏側の左右と言う事で良いですか?」
柊が確認を取るように聞いてくれたのは俺が想定したブロック分けがあっていたのもあって機嫌よく頷く。
「表のレストランがある側は完全に外のお客用に作っている。その丁度城を挟んだ裏側は趣味の遊び場だな。馬小屋もあるし、サマーハウスじゃないが大人の遊び場として既に完成を目指している」
「目指してるんだ?」
寧ろあれだけ弄ってて感性じゃないんだと突っ込まれれば
「生涯進行形の遊び場に感性と言う文字は要らん。弄り続けてこその遊び場だ」
なるほどーとほんとに納得してるのか何てどうでもいいと言う様に無視をして
「その城の裏側の反対側が今ここでやってるように畑となる。
かなり放置されてたけどオリオールの為に直ぐに食べれるようにって畑を作ったんだが、想像以上に本格的に畑化が進んでいる。もうどうにでもなれって事でどんどん畑化して畝を作って苗を植える事にする。
ただしオリオールのリクエストでオーガニックを要望されている。
つまり化学農薬や化成肥料を使わない縛りが発生したと言う事だ。
確かに憧れるよねオーガニック。
理想だよねオーガニック。
だけど理想と現実は一致しないのが当たり前で生産者は僅かな規格の隙と言うのはおかしいが、既定のギリギリを通過して畑作りをしている。
ありがたい事に放置された城なので農薬何て蒔き散らかされてないのがありがたい。そしてまだやっと雑草を抜いて耕して石や雑草の根を取り除いて辛うじて畑の形を作っただけ。ありがたい事に母国よりも規格が厳しいこの国では有機肥料が充実しすぎで逆に困るくらいなので近所の農家さんのお宅拝見に行く始末。あんなにも甘みの強い凄腕のトウモロコシを作る農家なので参考にさせてもらいながら土づくりを進めていた。
そんな感じでどうにかなるだろう畑はまだまだ山の畑よりも土が重いので改良の余地ありだとやっぱり烏骨鶏買うべきかと悩んでしまう。
「あのと残りの表側の庭だが、そこは趣味の庭造りをしようと思う。
今の所は周囲をぐるりと気が囲むだけの芝生だけのまっ平らな庭だが、それなりになだらかな斜面を作ったりしてバラ園を作ろうかと思ってる。勿論バラだけじゃないが、理想はある」
言った所で庭造りなんて全くの興味のないアレックスは土をほぐすようにどんどん畑を拡張していく。同じくクリフも手伝い、そして農業って憧れますよねと言うジェムが積極的に手伝うと言う意外な組み合わせが仲良く仕事をしていた。
「コッツウォルズの荘園の庭が理想で夢だ。一度ロードの庭造りもみんなにも見てもらいたいと言う位作り込んだ庭にしたいんだ」
「アヤト何無謀なこと言ってるの?」
ロードの荘園を知っているのかケリーは何を言っていると言う顔で俺を見ていたが
「あくまでも理想だ。何百年と受け継がれた家の庭を真似る何て時間が追いつかない」
それは深山の家でもよく理解している。
ジイちゃんが達が何代にもかけて世話をした山は平地の庭ならかなりの庭園になるはずだ。
特に裏庭なんかどの樹も厳しい環境に驚くほどの表情を持ってる。まるで熟練の職人のような手を伸ばしたかのような枝ぶり。
オヤジとオフクロの事でグダグダ悩んでいた頃の俺でさえそんな小さなことでなやんどうすると言うくらいの風格は眺めているだけで慰められるようなそんな長い時間吉野を見守ってくれて来たおじいちゃんのようなぬくもりを感じていた。
もちろんそれはロードの庭にも漂っていて……
何れこの城が人の手に渡る時が来るだろう。
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