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切れ長の目からは強い意志を感じるし、鼻筋が通っているせいか
とても高く見える。
唇は少し薄めではあるが形が良く、笑みがなんと言ってもかっこいい、
こんなに自信に満ちてなおかつかっこいいと思ったのは生まれて初めてだった。
「名はなんという? 青年でいいのかな?」
俺が俯こうとするとその手が遮り、
「俺は、高校生だ」
と答えるしかなかった。
それを聞いた瞬間、目の前の男の表情が変わったのが分かった。
先程までの余裕のある表情ではなく、獲物を見つけた肉食獣のように
舌なめずりをすると、
「そうか、俺は、カミュだ、宜しくな?」
そう言いながらそっと微笑まれると手を離された。
食わないのか?
っと、内心ほっとしたのだが、次の瞬間、腕を掴まれ引き寄せられると
耳元で囁かれたのだ。
「安心しろよ、ちゃんと食ってやるからさ」
その言葉に背筋が凍るような恐怖を感じたのだった。
それからというもの、毎日の様に呼び出されるようになった。
内容はたわいのない会話、好きな食べ物や趣味など他愛もない話ばかりだ。
最初は警戒していた俺も少しずつ打ち解けていき、
今では普通に話せるようになっていた。
そんなある日のこと、いつものように呼び出された先で、
突然言われた言葉に耳を疑った。
今なんて言ったんだ?
「好きだって言ったんだよ、聞こえなかったか?」
いやいやいや、聞こえてるけど意味がわからないっていうか、
そもそも男同士だし、それに俺には好きな人がいるわけで、
動揺する俺を見てクスリと笑うと、更に追い打ちをかけるかのように
こう言ってきたのだ。
「知ってるぜ、お前の想い人だろ? そいつより俺の方がお前を幸せに
してやれる自信があるんだけどな?」
そう言って顔を近づけてくるものだから、
恥ずかしくなって顔を背けようとすると顎を掴まれてしまった。
そしてそのまま口づけられてしまう。
初めてのキスだった。
柔らかく温かい感触が伝わってくると同時に、口の中に舌が入ってきて
絡め取られるような感覚に襲われる。
息が苦しくなり離れようとしても許してくれず、それどころかますます
激しくなっていく一方だった。
ようやく解放された時にはすっかり力が抜けてしまっていた。
そんな俺を抱き寄せると優しく頭を撫でてくれる。
それが心地よくてつい身を委ねてしまう自分がいた。
しばらくして落ち着いた頃を見計らって話しかけられる。
「なぁ、俺と付き合わないか? 絶対に後悔させないからさ」
そう言われて考えるよりも聞いていた。
「食わないの?」
そう聞くとキョトンとした顔で見つめられたので恥ずかしくなったけど、
意を決して聞いてみることにした。
「俺のこと食べないんですか?」
そう言うと一瞬きょとんとした顔をした後、
笑い出したかと思うといきなり抱きしめられた。
「召喚した時は、食う気だったよ、でも今は沢山愛してやりたい」
と答えられたのでドキッとした。
同時に心臓が高鳴るのを感じた。
ドキドキしながら続きの言葉を待っていると不意に唇が重ねられる。
柔らかい感触と共に温かさを感じて頭が真っ白になるほどだった。
とても高く見える。
唇は少し薄めではあるが形が良く、笑みがなんと言ってもかっこいい、
こんなに自信に満ちてなおかつかっこいいと思ったのは生まれて初めてだった。
「名はなんという? 青年でいいのかな?」
俺が俯こうとするとその手が遮り、
「俺は、高校生だ」
と答えるしかなかった。
それを聞いた瞬間、目の前の男の表情が変わったのが分かった。
先程までの余裕のある表情ではなく、獲物を見つけた肉食獣のように
舌なめずりをすると、
「そうか、俺は、カミュだ、宜しくな?」
そう言いながらそっと微笑まれると手を離された。
食わないのか?
っと、内心ほっとしたのだが、次の瞬間、腕を掴まれ引き寄せられると
耳元で囁かれたのだ。
「安心しろよ、ちゃんと食ってやるからさ」
その言葉に背筋が凍るような恐怖を感じたのだった。
それからというもの、毎日の様に呼び出されるようになった。
内容はたわいのない会話、好きな食べ物や趣味など他愛もない話ばかりだ。
最初は警戒していた俺も少しずつ打ち解けていき、
今では普通に話せるようになっていた。
そんなある日のこと、いつものように呼び出された先で、
突然言われた言葉に耳を疑った。
今なんて言ったんだ?
「好きだって言ったんだよ、聞こえなかったか?」
いやいやいや、聞こえてるけど意味がわからないっていうか、
そもそも男同士だし、それに俺には好きな人がいるわけで、
動揺する俺を見てクスリと笑うと、更に追い打ちをかけるかのように
こう言ってきたのだ。
「知ってるぜ、お前の想い人だろ? そいつより俺の方がお前を幸せに
してやれる自信があるんだけどな?」
そう言って顔を近づけてくるものだから、
恥ずかしくなって顔を背けようとすると顎を掴まれてしまった。
そしてそのまま口づけられてしまう。
初めてのキスだった。
柔らかく温かい感触が伝わってくると同時に、口の中に舌が入ってきて
絡め取られるような感覚に襲われる。
息が苦しくなり離れようとしても許してくれず、それどころかますます
激しくなっていく一方だった。
ようやく解放された時にはすっかり力が抜けてしまっていた。
そんな俺を抱き寄せると優しく頭を撫でてくれる。
それが心地よくてつい身を委ねてしまう自分がいた。
しばらくして落ち着いた頃を見計らって話しかけられる。
「なぁ、俺と付き合わないか? 絶対に後悔させないからさ」
そう言われて考えるよりも聞いていた。
「食わないの?」
そう聞くとキョトンとした顔で見つめられたので恥ずかしくなったけど、
意を決して聞いてみることにした。
「俺のこと食べないんですか?」
そう言うと一瞬きょとんとした顔をした後、
笑い出したかと思うといきなり抱きしめられた。
「召喚した時は、食う気だったよ、でも今は沢山愛してやりたい」
と答えられたのでドキッとした。
同時に心臓が高鳴るのを感じた。
ドキドキしながら続きの言葉を待っていると不意に唇が重ねられる。
柔らかい感触と共に温かさを感じて頭が真っ白になるほどだった。
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