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第二十二話
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「まさか、ルティアがリュオン殿下の婚約者になるとはのう」
「お父様、またそれですか。昨日からずっとそうではありませんか。婚約が決まったのはかなり前だというのに」
「そりゃあ、王家から正式発表されると気の持ち方も違うではないか。テスラー伯爵も慌てよったわい。息子が殿下の婚約者に手紙を送り続けるとは不敬とみなされてもおかしくないからのう。はっはっはっ」
笑いごとではないんですけどね。
ともかく、私とリュオン殿下が婚約したという事実は公式に発表されました。
そして、今から私は殿下と共にエリナさんとローウェル様の結婚式に出席するためにルーメリア王国へと向かいます。
「国外に出るのは初めてですわ。楽しみです」
「あなた、本当に出席するのですか? 招待状にはゲストの家族も是非……とは書いてありましたが」
「もちろんです。わたくし、エリナさんの親友のレナの友達ですから。友人枠というやつですの。レナも呼ばれていますし」
そういえば、マルサス様はエリナさんの婚約を知らなかったのに、シェリアは知っていたんでしたね。
エリナさんはシェリアと同い年でしたっけ。
「お前たち、くれぐれも、くれぐれも……ルーメリアで粗相をするなよ。リュオン殿下もいらっしゃるのだからな」
「「はい」」
「シェリア、丁度いいから結婚相手も見つけて来なさい。辺境伯殿の式には家柄の良い者も多かろう」
「お父様、粗相をするな、ではありませんの?」
そういうことで、私とシェリアはこの度……隣国のルーメリア王国へと出発しました。
エリナさん、マルサス様と別れることになったのは彼が彼女と結婚するためでしたのに、今、私は婚約者と彼女が結婚する別の方との式に出席することになっています。
「なんだか、この状況はマルサス様としては凄い状況ですわね。仲間外れにされていますもの」
「別に外した訳ではありません。彼が全力で走り去っただけですから」
「あら、お姉様もそういう皮肉が言えたのですね」
「皮肉ではなくて、事実です」
マルサス様は、恐らく悪意とかそういうのはゼロなのです。それが怖いのですが。
物凄いエネルギーを持っていて、それをぶつけるにあたって、照準が明後日の方向になってしまっていることが残念なのかもしれません。
毎日、送られている手紙の数々、シェリアによれば謎解き短編小説になっており、謎が解ければキーワードが一文字ずつ浮かび上がる仕様みたいです。
彼はどんな女性を想定して、そんな手紙を書いているのでしょう。
「あなた、マルサス様のファンとか言って、手紙も毎日読んでいるみたいですが、彼のことが好きなのですか?」
「ええ、好きですわ。わたくしの暇を潰してくれるのですから。……おバカなワンちゃんって可愛いじゃないですか。あんな感じです」
「では結婚相手にしようとかそのような感じでは――」
「ありませんから。心配しないでくださいな。……もしマルサス様が結婚するならば。あの方の全部を受け入れて、全てコントロール出来るくらいの器が大きな女性でも見つけなくては無理そうですわね」
とりあえず、妹が変な方を好いている訳でないと知れてホッとしております。
しかし、婚約指輪をむしり取って、婚約者のいる幼馴染にプロポーズした後に、別れた元婚約者にフラッシュモブで再プロポーズする男性の全てを受け入れられる女性などいるのでしょうか――。
「お父様、またそれですか。昨日からずっとそうではありませんか。婚約が決まったのはかなり前だというのに」
「そりゃあ、王家から正式発表されると気の持ち方も違うではないか。テスラー伯爵も慌てよったわい。息子が殿下の婚約者に手紙を送り続けるとは不敬とみなされてもおかしくないからのう。はっはっはっ」
笑いごとではないんですけどね。
ともかく、私とリュオン殿下が婚約したという事実は公式に発表されました。
そして、今から私は殿下と共にエリナさんとローウェル様の結婚式に出席するためにルーメリア王国へと向かいます。
「国外に出るのは初めてですわ。楽しみです」
「あなた、本当に出席するのですか? 招待状にはゲストの家族も是非……とは書いてありましたが」
「もちろんです。わたくし、エリナさんの親友のレナの友達ですから。友人枠というやつですの。レナも呼ばれていますし」
そういえば、マルサス様はエリナさんの婚約を知らなかったのに、シェリアは知っていたんでしたね。
エリナさんはシェリアと同い年でしたっけ。
「お前たち、くれぐれも、くれぐれも……ルーメリアで粗相をするなよ。リュオン殿下もいらっしゃるのだからな」
「「はい」」
「シェリア、丁度いいから結婚相手も見つけて来なさい。辺境伯殿の式には家柄の良い者も多かろう」
「お父様、粗相をするな、ではありませんの?」
そういうことで、私とシェリアはこの度……隣国のルーメリア王国へと出発しました。
エリナさん、マルサス様と別れることになったのは彼が彼女と結婚するためでしたのに、今、私は婚約者と彼女が結婚する別の方との式に出席することになっています。
「なんだか、この状況はマルサス様としては凄い状況ですわね。仲間外れにされていますもの」
「別に外した訳ではありません。彼が全力で走り去っただけですから」
「あら、お姉様もそういう皮肉が言えたのですね」
「皮肉ではなくて、事実です」
マルサス様は、恐らく悪意とかそういうのはゼロなのです。それが怖いのですが。
物凄いエネルギーを持っていて、それをぶつけるにあたって、照準が明後日の方向になってしまっていることが残念なのかもしれません。
毎日、送られている手紙の数々、シェリアによれば謎解き短編小説になっており、謎が解ければキーワードが一文字ずつ浮かび上がる仕様みたいです。
彼はどんな女性を想定して、そんな手紙を書いているのでしょう。
「あなた、マルサス様のファンとか言って、手紙も毎日読んでいるみたいですが、彼のことが好きなのですか?」
「ええ、好きですわ。わたくしの暇を潰してくれるのですから。……おバカなワンちゃんって可愛いじゃないですか。あんな感じです」
「では結婚相手にしようとかそのような感じでは――」
「ありませんから。心配しないでくださいな。……もしマルサス様が結婚するならば。あの方の全部を受け入れて、全てコントロール出来るくらいの器が大きな女性でも見つけなくては無理そうですわね」
とりあえず、妹が変な方を好いている訳でないと知れてホッとしております。
しかし、婚約指輪をむしり取って、婚約者のいる幼馴染にプロポーズした後に、別れた元婚約者にフラッシュモブで再プロポーズする男性の全てを受け入れられる女性などいるのでしょうか――。
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